2009年3月22日(日)クインテット三部作〜ガイア幻想紀


ガイア幻想紀

(1993年エニックス/制作:クインテット)
ジャンル:ロマンチックARPG


総評:ガイア現実紀


 クインテットは今知ってる人どれくらいいるのかってくらい過去の存在になってますが、SFC時代のエニックスの中でも心に残る名作を世に送り出した制作会社だと思います。

いわゆる「クインテット三部作」は『ソウルブレイダー』『ガイア幻想紀』『天地創造』ですが、今回は第二作目の『ガイア幻想紀』について特集します。

このゲーム、題に「幻想」とついてますがそんなファンシーな内容ではありません
子ども向けのゲームでありながらその深く重い内容に大人も考えさせられてしまいます。

少しでも多くの人にこのゲームを知って欲しいので、これから全編ネタバレで紹介します。
内容が過激で移植できない=今後世に出る機会がなさそうなゲームにつき踏み切りました。
ガイアが俺にもっと感想を書けと囁いている。



 あらすじ

白鳥座から一定の周期で飛来する巨大な彗星の力は、生物を進化させてきた。
人類は進化の果てに兵器となる魔物を作り出したせいで絶滅の危機に瀕する。
そこで最後の望みを託し「光と闇の戦士」を作り、彼らは魔物を消し去った。
そして遥かなる時が流れ、歴史の変わった地球で主人公テムの冒険は始まる。


 注目すべき点

■あの世界遺産が冒険の舞台!
アンコールワットとか万里の長城を冒険できるので世界遺産好きにはたまらない。

■キャラデザは少女マンガ家の萩尾望都先生
重たい話満載にも関わらずロマンチックARPGが成り立っているのはそのおかげかと。
ちなみに主人公の少年テム、年齢は12歳くらいかと思っていたが物語後半で「なんと一人でおしっこいけるようになりました!」と自慢していたので、見当もつかなくなった。

■戦闘時の変身機能が便利
主人公の武器がという無謀なゲームですが、闇の騎士フリーダンと究極生命シャドウ(敵みたいな姿)に変身できるので、謎解きやバトルのバリエーションが楽しめます。

■台詞が流れる音の高低や文字の色がキャラごとに違う
これを一番強調したいです。技術が限られてる時代の苦肉の策なのか芸が細かい。


 物語の内容

【物語の始まり】

教会の居残りを終え、いつも通り洞窟で仲間と遊ぶ主人公テム。

ちなみにメンバー構成↓

テム:超能力者。父は冒険先で遭難、母は死去。おじ、おばと暮らしている。
ロブ:熱血漢で大食漢。父は同じく冒険先で遭難、病弱な母と二人暮らし。
モリス:あだ名は「不幸のブラックホール」。両親は喧嘩が耐えず家庭崩壊寸前。
エリック:泣くと凶暴になるやせっぽちなチビ。家は金持ち。おかんがおもろい

なんかこれだけでも一つのドラマができそうですが、物語はここから始まります。

夕方、テムが家に帰ると見知らぬ女の子と豚がいました。
エドワード王国の城を抜け出した王女カレンと、そのペットの豚ぺギーです。

何やらフラグが立つ

カレンの父エドワード王は暴君で、テムの持つ水晶の指輪を手に入れるためテムを城に呼び出し、地下に監禁します。
テムはそこで闇の戦士として目覚め、妖精リリィの力を借りて脱出し、カレンを連れてリリィが住む村へと旅立ちます。


【インカ帝国】

イトリー族の村でテムは”世界に散らばる遺跡に隠されたミステリードールを集める”という使命を知り、まずインカ帝国の遺跡でミステリードールを入手します。

それから船でカレンとリリィ、そして三人の仲間達と合流しますが、海の魔物リバイヤサンが接近しモリスだけ真っ先に喰われ、船は難破してしまいました。

しかしテムはカレンと漂流して二人きりに
おやおやお約束のラヴシチュエーションですか?と思いきや甘くないのがこのゲームです。


【漂流人生教室】

カレンは最初の方こそ「海が綺麗、一日中見ても飽きないわ」等と余裕かましてますが、段々お嬢様根性をむき出しにしてきます。

「お魚さん可愛い〜」と言ってるカレンの横で魚を獲って喰う主人公
「なんてことするのよ!!」とキレるカレンに「何も食べなきゃ死ぬぞ」とテムは反論。

「こんな可愛いお魚さん、食べたら可哀相じゃない!
ていうか生魚なんか気持ち悪くて食べれないわよ!!」と本音を口にする王女。

しかし空腹も限界になり、ようやくカレンも魚を食べ始めます。

しおらしくなる王女

漂流して一週間、テムは「カレンが自分の中で特別な存在になった」と独白します。

そんなある日、二人が乗るイカダの周りをサメがグルグル回ります。
しかし、サメはお腹が空いてないのか、そのまま通り過ぎていきました。

悟り始める王女

漂流して二週間、テムもカレンもボロボロの姿になっていました。

ギャグに目覚める王女

2ドット...今はもう通じないかもしれない。というか、いいのかこの発言。

彗星が空に輝く夜、さらに二人の仲が深まります。

彗星の絆

「この時間が続きますように」と願うかの如く寄り添うカレン。
一方、「早く帰れますように」と願うテム。

その後テムは栄養失調で気絶、カレンが「私を一人にしないで」と泣き叫び画面は暗転。


【花の都フリージア】

なんだかんだでカレンの方が丈夫という事実が判明したところで二人は救助されました。

次に向かった先は花吹雪が舞うおとぎの街フリージア。
宿屋でリリィ達と合流するもロブは記憶喪失エリックは失踪と穏やかではありません。

さらに街の裏通りを抜けるとそこはスラム街で、なんと奴隷の取引が行われていました。

奴隷オークション会場

ちなみに本作では”赤い宝石”という”小さなメダル”的なコレクトアイテムが存在するんですが、ここではそれを入手するため奴隷商人に逃げた奴隷の居場所を教えなければならないという鬱展開が待ってます。

そこでテムは多くの奴隷を解放し、奴隷にされたエリックを助け、助けた奴隷から”記憶が戻る歌”を教えてもらい、ロブの記憶を戻しました。


【ナスカの地上絵・ムー大陸・地底探検】

テムのいとこの科学者ニールおじさんと共にナスカの地上絵から空中庭園へ移動。
飛行機の墜落で海底神殿にたどり着くと、そこからムー大陸への道が開けました。

この辺りは実にファンタジーらしい展開なのですが、問題はその後の地底脱出編。

テム一行が地底を彷徨っていると、上でリバイヤサンの暴れる音がします。
モールス信号として解読した結果、そのリバイヤサンはインカでリバイヤサンに喰われたモリスだということが判明しました。

「モリス可哀相...」と涙ぐむ一同(それまでモリスのこと忘れてたが

しかしニールおじさんは、モリスはある意味幸福だと諭します。

ところで、やっぱり「モールス」信号と「モリス」はかかっているのだろうか。


【堕天使の町】

やっとのことで地上に出、今度は住民が全員鬱入っている「堕天使の町」を訪れます。

人間が進化した姿らしい

退廃的な町と対照的に、主人公一行が生き生きしているのが、この面の見どころです。

リリィがテムにべたべたするのを見てカレンは嫉妬し、狂言自殺をはかります。
それによるテムとカレンの変化に、リリィは何かただならぬものを感じ始めました。
一方、ロブはリリィに惚れており、リリィの誕生会で告白するとテムに宣言します。

何やら修羅場の予感です。


【ウォータミア/万里の長城】

暗い展開が続きましたが、ようやく水上家屋の街ウォータミアで明るい話題が。

ロブが遭難していた父と感動の再会!と思いきやロブの父は心が遭難していました。
ロッキングチェアーでゆらゆら揺れる、気がふれて幼児化した父...トラウマですね。

ロブは気を取り直し、宣言通りリリィの誕生会でリリィに告白します。
しかし、返事をしないままリリィは逃亡、やぶれかぶれのロブも失踪
どうやらロブは父のために、万里の長城へ薬を採りに行ったようです。

テムも万里の長城へ向かい、そこでリリィとロブを引き合わせると....
リリィはロブに「私もずっとロブのこと好きだった」耳を疑うような事を告白。
これはリリィがテムから身をひき、ロブに同情したという解釈でいいんだろうか。

こうしてロブとリリィは、ロブの父の介護のために街に残ることになりました。

カップルが成立する一方、テムは砂漠を渡るため”ロシアングラス”に挑戦します。
どれか一つに毒が入ったグラスを一対一で飲み合うというカイジのような展開です。
テムは超能力で毒が入ったグラスがわかるので、相手の男が当然負け(死に)ます。

男の遺書には「俺は不治の病だから死んだつもりで博打をしただけだ、気にするな」とありましたが、残された妻は「私はお金なんていらない、少しでも一緒にいられればそれでよかったのに...」とイカサマで勝利した主人公の心をえぐるようなことを言いました。


【エウロ】

大都市エウロは、ニールおじさんの両親が経営する貿易会社で潤っていました。
が...久々に再会したニールおじさんの両親は実は悪魔で、本物は既に殺されていました。

悪魔は教会の裏で奴隷貿易をしている

悪魔を追い払った後、ニールおじさんは会社を継ぐために主人公達と別れます。

テム、カレン、エリック、そしてカレンのペットの豚ぺギーとアンコールワットへ...
ぺギーは今までナリを潜めていたのに突然ここで合流するんですが、これがまさかあんなことになる伏線だとは思いもしませんでした。


【原住民の村/アンコールワット】

三人と一匹は無人の村に泊まると、やってきた村人たちに縛り上げられてしまいます。

なんとここは『人食人種の村だった...』(アナウンス)。火であぶられそうになる三人。

すると豚のペギーがやってきて...

自ら火に飛び込みました。

ブッダのようにテムの母が登場。

ペギー、合流したばかりなのに...これじゃ焼かれるために登場したも同然です。

ひどい(笑)

ペギーが犠牲になったことで三人は助かり、村人の心にも変化の兆しが見えました。

多分これ、ガイアをプレイした人の「トラウマになったシーン第1位」だと思います。

ここのダンジョンはアンコールワットですが、正直このイベントの方がキツかったです。
アンコールワットではボスがいない代わりに、魂が自分の運命について教えてくれます。

今の地球は間違った進化をしているので、正しい地球に戻すため彗星を退けろとのこと。
しかし、正しい進化をさせた地球のサンプル画像には新宿が映っています。

「これが正しい進化をした地球?灰色一色で気味が悪い!」と嫌がるテム。
しかし魂は「森がビルになり、川が車の流れになっただけだ」と諭します。

90年代には珍しい、文明に肯定的な意見

ガイアはここが一番の山場だと思います。ペギー焼身自殺も含めて。


【砂漠の町ダオ/ピラミッド】

一行は最後のミステリードールがあるピラミッドに行くためダオに到着。
そこにも奴隷市場がありましたが、それ以上にトラウマなのが織物業。

四人の少女が黙々と織物をしている

フリージアの奴隷といい、おぼえる人多すぎ

ピラミッドではカレンを追って来た王様の刺客と対決することになりますが、テムは笛を吹き防犯用の仕掛けを作動させて焼き殺します。ロシアングラスといい、何気に卑怯ですね。

どう見てもテムも燃えてる

最後のミステリードールを入手し、ついに最終決戦の地バベルの塔へ出発です。


【バベルの塔】

カレンだけは「テムと共に最後まで冒険したい」と言って、ついてきました。
バベルの塔の内部は彗星の影響により、恐ろしい速度で時間が過ぎています。

テムとカレンは人類が作り出した光と闇の戦士なので中に入っても平気らしいです。
ここまでくるともう何が起こっても驚きません

ここでテムは塔内の急激な進化によって霊体になってしまった父と再会します。
父によれば「カレンと心を一つにすれば究極奥義ファイアーバードが出せる」そうです。
ここまでくるともう何が起こっても驚きません

最上階では魂となったモリス(結局死んでたのかよ)やぺギーにも再会しました。
カレンと心を一つにしたテムはファイアーバード(火の鳥をぶつける技)で彗星を撃破。
そして感動のラストへ...


【エンディング】※一応反転しておきました

正しい進化を始める地球を彗星からながめるテムとカレン。
テムの両親から「地球に帰ると間違った進化である今の状態が正しい進化に上書きされるため、全ての記憶がなくなってしまう」と聞いた二人は、”私あなたを忘れない””何年かかっても探すよ”と約束し合い、地球へ戻りました。

場面は変わり、そこは夕日の沈む「1993年のバベルの塔」こと都庁
「森がビルに、川が車道に変わっても、そこにいる人々は幸せそうだ」等、アンコールワットで聞いた話にリンクするような台詞が流れ、エンドロールに入ります。

エンドロール後、下校するテムとすれ違うカレンや仲間達の画でTHE END。
この最後の下校シーンがゲームの冒頭と同じなのが粋だなあと思いました。


【まとめ】

このゲームはご覧の通り、やたらと鬱なイベントがあるのが特徴です。
ガイアには「マップ移動が一方通行で強制的にイベントをやらされてる感がある」という批判がありますが、(好みの問題ですけど)自分はそれが逆に長所だと感じました。

この形だからこそシナリオが記憶に残るし、紙芝居として見ても面白いです。
「人類は滅んでも遺跡は1万年くらい残る」と聞いてからは世界観にも惹かれます。

自分の中で「ガイア幻想紀」は何度プレイしても飽きないゲームです。
(ゲームにシナリオを求めない人にはARPGとして物足りないかもしれません)
機会がありましたら、ぜひこの幻想という名の現実を体験してみて下さい。


---


エンディング後、もう一度この場面を見ると意味深だと感じる。


戻る