「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」

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逢えないままどれくらい経ったのだろうか。
だけども、もうきっと。

今日、高杉先輩にばったり街中で逢った。
この人は相変わらずパーフェクトな人だな、と思った。だがその、パーフェクト、と思った瞬間、あの人の事を思い出して、高杉先輩に「それとなく」を意識しながら聞いてみた。どうやらあの人も相変わらずなような感じがした。でもそれだけ、あとは何も。

中・高・大学とあの人の事を見ていて、もしかしたら高杉先輩とは真逆の意味で、あの人もパーフェクトなのでは、と思ったことがあった。だがそれは、憧れの目では決して無く、どちらかというと呆れの目が半分で、厭味はそれ以上。
それでもよくよく思い出してみると、唯我独尊だったり、なんでこんなに偉そうなんだと思いきや、人のすごくちいさな悩みでも気にしたり、結構面倒見がよかったり、気さくに笑ってくれたりもした。掴めない風のような、でも、ある時もの凄く温かみを感じさせる様なあの人のスタイルを見ながら、その目の前に立ってる自分が揺らがないように、視線をそらすことのないように、とずっと考えていたのも、認めたくはないが本当の事だ。
それでもあの人の目に、自分が映る事なんて無かったのだろう。たぶん最初から最後までずっと。
そんな事を思ったら気付いてしまった。バカみたいだな、と何度も思った。離れてしまったらもう二度と振り向かないその眼が自分に向けられていた、あの瞬間だけを、ずっと心の中に抱えたままでいる自分に対して。そして、どうしても後戻りなんて出来ない自分に対して。

逢えないままどれくらい経ったのだろうか。
だけども、もうきっと、手をのばしてもあの人へは届かない。

あの人の事を考えるのはもう最後だ、とすべて投げ捨てた。
ここからすべてが始まる、再会前日の夜。

おしまい。


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