「Butterfly」

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あの人にしか見えない風の流れでもあるみたいに、ひらひら。

捕まえたいと思ったわけではないけれども、あの人の歩く先をつい目で辿ってしまう。
と思ったら、何も無かった顔して自分の目の前に来て、俺の事を好きなようにひっかきまわして、そしてまた去っていく。
その後ろ姿は、もう何も聞こえないようで、常に視線はまっすぐ。
たぶんもう、また俺のことなんて忘れてる。

蝶のようにひらひら、なんて思ってた自分を強制消去。
そんなんじゃない、まるで戦闘機のタッチアンドゴー。笑いながら上書き、舌打ちの気分で空を見上げる。
目は空へ、立っている地面は、溶けたタイヤの跡と焼け野原。

おしまい。



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