「セラミックガール」

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『ふたりで一緒に朝を迎えたら、当たり前の幸せが来るかな?』

毎晩、「おやすみ」でドアを別れて、毎朝、「おはよう」で向かい合う、それはそれで同じ時を過ごすうちのひとつの選択だと思うけれども、どちらかのおはようで起きる朝というのもありなんじゃないか?うむありだな。と急に考えた。
例えば、いつもの眼鏡が無くて、尚且つ目が閉じられた無防備な顔が横にあるんだなとか、ああでも、布団を取り上げない自信が無いぞとか、あいつが私に触れてくる手はどんな温度を持つのだろうかとか。
ちょちょちょちょっと待て。考え始めてみたら何だか色々とんでもない方向に行きそうになったので、ひとまずここらで強制終了とする。

「例えば続き」で、高杉・緒方君をはじめ、友人たちのことを考えてみる。
あっちの方は、素直に「好き」とかなんとか言える奴らだ。なんでこう、口からストレートにそういう想いを相手に届けられるものか。いやいや私だって、あふれる知性・穏やかな物腰の私なのだからな、何かこう、たまには言ってやらんものでも無いし、それくらいはお茶の子さいさいで…

いや、だが、やはり私は。

誰かみたいになれたら、なんて今までに一度も思ったことはない。
自分の幸せとは?なんて誰かが決めることじゃないし、私の幸せは私の中と千太郎との間にあればいい。
約束をした、それだけでしかないけれども、千太郎は私の後をずっとついてくると信じている。それだけはまがいものや嘘では決して無いのだ。なんだろう、この強い気持ちは?とも思うが、まあそれは、私自身が強くてたおやかだからだろうな。

『ふたりで一緒に朝を迎えたら、当たり前の幸せが来るかな?』

もしも、千太郎がそう言いだしたら、それはその時私が叶えてやろう。

本当は、すぐに試してみたいけれど。

おしまい。


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