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国際活動

砂漠化防止

人工造林活動

●砂漠緑化活動に対する誤解

砂漠緑化活動を行っている私たちに常にある種の疑問がつけられる。つまり、砂漠というのは、地球の生態環境を構成する一部分であり、自然そのものであるので、無理な緑化活動等は生態系のバランスを崩し、逆に自然を破壊する行為である。まして、学術的に降水量が400mm以下の地域で、植林ができないという定説もあるらしい。当然、広大で不毛な砂漠を見て、人間の存在が如何に無力か身に沁みて感じるし、このように諦め半分で考えてしまうのも自然かもしれない。そして、砂漠の厳しい自然条件の中で1本の木を育てることは、非常に困難であり、地下水も使わざるを得ない。砂漠緑化活動は、下手をすれば、逆に緑化区域の土地の荒廃と砂漠化に拍車をかけることになる可能性が大きい。砂漠緑化という言葉は、かなり親しみやすく、一般社会に広く認知されている原因は、人間がそのようなロマン或は夢を求めている現われかもしれない。厳密に、我々は地球上の砂漠を全部緑化してしまうではなくて、砂漠の拡大を防ぎ、かつての草原や森林を再生させようと目指している。「砂漠緑化」という言葉より、「砂漠を防ぐ緑化」と言い換えるほうがより活動の実態を反映できる。

しかし、「砂漠緑化」はただのロマンであるならば、「砂漠を防ぐ緑化」も至難な業である。人類社会の発展に伴い大量な化石燃料の消費によって地球温暖化を引き起こしたと同じく、砂漠化の原因も人類活動によるものである。温暖化によって、気温が上昇し氷河や南極の氷が解けて、海水が上昇し島国や沿海の都会に壊滅的な影響を及ぼすと予想されている。同様に、砂漠化が進むにつれ、草原や農地が砂漠に飲み込まれ、食料の不足と飢餓、巨大な砂嵐によって人間の生存環境がますます奪われる。地球温暖化と砂漠化と、どのような因果関係があるかは、はっきりとした答えがないけれど、地球環境全体が悪化する一途で、危機的な状況に置かれている。どれもこれも、難しい課題であるが、未来の子どもたちに豊かな自然環境を残すために、一刻も早い行動が求められているのではないかと考えている。


●砂漠地域における人工造林活動の基本的考え方

(1)砂漠の拡大を食い止める「鎖辺」植林活動

「鎖辺」という中国語の意味は、砂漠の辺縁地帯に沿って人工造林を行い、鎖のように砂漠の拡大を止める。砂漠が風に乗って広がり、農地、牧場及び遊牧民の民家を飲み込んでいるので、生態環境の修復を考える場合に、やはり防波堤のように砂の進む道を断ち切る事が先決である。しかし、砂漠に近い地域での造林は非常に困難な作業である。特に、大風によって一晩に何十センチの砂が飛ばされ、植えた苗木が飛んでしまったり、根が露出し枯れてしまったりする。逆に、低い場所に植えられた苗木が砂に埋もれて、やはり駄目になる。草方格で囲んで植える方法もあるけど、何度も何度も植えなおす努力が要る。 そして、砂の上に苗木を植えるので、降水量と蒸発量による水収支に極端な差が出てくる。大規模な灌水施設を整備し、地下水を汲み上げて使わない限り、やはり苗木が活着しない。当然、植えているのが現地自生の郷土樹種の潅木である。地上に出ている高さに比べ、その何倍以上の深いところまで根を伸ばして、強い蒸発に対応するだけの水分を吸収しようとする。その根が幅数十メートルまで広げていくのが、自然の力に感心する。しかし、このような強い生命力の持つ植物でも、きちんと活着するまでに適度な灌水が必要である。仮に、一度活着し4、5年経っても平年なら何とか乗り越えられるものの、大干ばつにはやはり一遍に枯れてしまう。このようなことで、砂漠の縁での植林が困難を極める作業であるし、大規模な灌水施設も整備しなければならない。かつて、当会のこのような活動は、悪魔のレッドドラゴンを鎖で縛ると例えられていたが、まさにその通りではないかと思う。


(2)草原の自然再生を図る活動

自然の復元力を生かして、砂漠化された草原を再生させ、生態系環境のバランスを取り戻すには、やはり人間の活動を最小限に抑える必要がある。もちろん、放牧と農地開拓の二つは辞めなければ、何も変わらない。 2002年頃から、中国中央政府の「退牧還草」政策(放牧をやめて草原に戻す)がアラシャンの一部の地域にも適用され、遊牧民が放牧をやめる代わりに政府から補助金が支給されるという仕組みである。一方、新規に農地の開拓も厳しく制限されている模様。しかし、放牧禁止される地区にいくつもの保護柵(針金のフェンス)が設置され、膨大な費用がかかっていることに多少理解し難い。中国では砂漠化された草原の再生に最も効果的手段は「封育」(保護柵で囲んで放牧させない)と言われているけど、「封」があっても「育」はないのが現状ではないか。脆弱な生態環境と過酷な自然状況の中で、自然の復元力も限界がある。だから、考えられるのは人間が草原の復元に「手を貸す」程度のことはできないか?

一般的に砂漠化防止には、灌漑による緑化が考えられるが、年間降水量が100mm以下と極端に少なく、年間蒸発量が4000mm前後と極端に大きいゴビ砂漠のアラシャンの自然条件下で、地下水による灌漑を中心とする緑化活動は長期に続けることが困難であり、その効果も限られてしまう。地下水は一般的に100m以下から汲み上げるため、緑化にかかる費用が非常に高くなり、塩分含有量の高い地下水で塩害を引き起こす恐れもある。このため、このような環境下での砂漠緑化方法は、砂漠に自生する、耐乾性、耐寒性、耐塩性を有する花棒、砂捌棗、梭梭などの灌木種子を大量に供給し、自然の自生力で草原を回復させる方法が最も効果的であることが実証されている。 しかし、驚くほど砂漠化防止にせよ砂漠緑化にせよ、出発点となる潅木の種子が少ないこと。何とゴビ砂漠自生の幾つかの優良な灌木種の趣子の価格は、米や小麦などの作物の数倍もする。野生の潅木の林が少ないことに加え、「開花の水があり、結果の水がなし」と自然条件かでは種子が実らないそう。アラシャン地域で年間の砂漠化防止活動に必要な潅木種子の7割が外部に依存している。それにしても、値段が高すぎる!!だから、まず現地自生の潅木種の採種センターを作って、種子を大量に撒布し、脆弱な草原の再生を促進しようと計画している。雨乞いの神業がない限り、人間が自然の再生に「協力」できる最適な方法ではないかと考えている。

持続可能な地域づくり

持続可能とは

持続可能という言葉は生態環境分野だけではなく、社会生活の中でもかなりに使われている。その意味はさほど難しくはなく、「続けられる」、「継続できる」と字面通り理解しても間違いがないだろう。かつて経営学の学習の中で、「会社の目的は」という問題に対して、「金儲け」「社員或は株主の利益」「社会貢献」と様々な答えが出たけど、正論かどうか分からないけど、「会社が存続する」が答えだった。「会社が残らないと何も意味ないだろう」と納得いかなくても理解できよう。これを拡大解釈して、人間社会も地球環境も当てはまる。やはり、残ること、或は限りなく残れるような仕組みとシステムにすることは、最大で最高の使命である。生態環境分野において「持続可能」を「循環型」と置き換えたほうが理解しやすい。食物連鎖みたいに循環がないと、持続も継続もやはり不可能である。
しかし、地球上で最も知的能力が発達する人類は、循環型ではなくてどちらかと言えば消費型である。生態系環境を崩すまで自然資源を消費し、知的能力によって循環できないものまで一杯消費している今日である。温暖化、砂漠化、そして生物種の絶滅、地球環境の危機的状況は、循環型ではない人類社会に由来しているに違いない。温暖化の原因は化石燃料の過度な使用、砂漠化の原因は過放牧と農地開拓、生物種の絶滅は化学汚染など、我々一人一人が今日の地球環境問題を引き起こしていることを再認識する必要がある。

生態研究活動

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