血友病と障害年金

血友病患者の障害基礎年金


(1)概要
   血友病のような生まれつきの病気の場合は、国民年金の障害基礎年金の
  20歳前障害に該当します。
   つまり血友病は、血液造血器疾患による障害の出血傾向群(凝固因子欠乏
  症等)として扱われます。関節障害で車いす生活でなければもらえないという
  ことではありません。
   20歳前障害とは、通常の障害基礎年金が国民年金を掛けている間に障害
  になったからもらえる、つまり、生命保険や火災保険のような考え方なのに
  対し、国民年金に入っていない(入りたくても入れない)20歳前に障害になった
  人に対し社会福祉の観点から障害年金を支給するものです。
   国民年金の保険料を払った当然の見返りとして、障害年金が出るとの考え方
  ではないので、通常の障害年金と違って、受給者の所得が一定以上あると
  支給停止になります。
   生まれつきの障害である限り、現在会社に勤めていても厚生年金の障害
  年金の対象にはなりません。

(2)障害認定基準
   障害基礎年金には1級と2級があり、認定基準・認定要領が定められており
  ます。血友病だからといって、全てで認定されるものではありませんので、申請
  にあったては、障害の程度・状態が分かるように気を配り、申請書を準備しまし
  ょう。    
   原則的な考え方としては、1級は寝たきり状態、2級は身の回りのことはでき
  るが働けない状態とされていますが、障害認定基準に該当していれば働いて
  いても、障害年金が支給される例はいろいろとあります。
   また、関節障害もあれば診断書を2枚提出して、血友病と関節障害と併せて
  認定します。

(3)障害基礎年金の金額(平成19年度)
   1級ー−−−−→990、125円(2級の25%増し)
   2級−ーーーー→792、100円(国民年金の老齢年金の最高額と同額)
   18歳未満の子供がいると1人目、2人目は各227、900円3人目以降は
  各75、900円が加算されます。     
   これだけで生活できる金額ではありませんが、現在の収入にこれだけプラス
  があれば生活は楽になると思います。

(4)所得制限
   扶養家族の数に応じて定められている、一定額以上の所得があると年金が
  支給停止になります。

(5)申請できる年齢
   20歳の誕生日から65歳の誕生日の前々日まで申請が可能で、申請した月

  
の翌月分から支給されます。
   65歳になると老齢年金を受給できる年齢ということで、障害年金の申請はで
  きなくなります。
   65歳前でも、国民年金の老齢年金を繰り上げて受給していると、申請できま
  せん。
   一方、厚生年金を60歳から受給している場合は、65歳までは申請できます。
 
(6)20歳にさかのぼる申請
   障害基礎年金は、20歳から対象になるわけですから、20歳から何年も過ぎ
  ている場合でも、現在の診断書と20歳のときの状態の診断書と両方を提出で
  きれば、20歳にさかのぼって受給権が発生して、実際の支給は、時効の関係
  で最大5年分さかのぼって支給されます。
   具体的には、20歳到達後3ヶ月以内の日付の診断書が必要です。
   しかし、20歳当時の血液検査の数字等が必要ですので、カルテがすでに廃
  棄されている場合もありますし、現在の時点で20歳当時の診断書が取れる
  場合に限られます。
   一般的には、ずっと同じ医師にかかっていて、かつ当時のカルテが残ってい
  る場合でないと、20歳当時の診断書の入手は難しいと思われます。
   昔の診断書を取るということが、本来異例なことなのですから、あまり医師
  病院に無理強いはしないで下さい。
   もし、医師に相談して20歳当時の診断書を書いてもらえるようなら市区町村
  役場で、さかのぼった請求について、相談してみてください。

(7)法定免除
   障害年金が認められると、毎月の国民年金の掛け金を払わなくてもよくなり
  ます。
   これを、法定免除といいます。
   ただし、国民年金だけの話で、給料天引きの厚生年金の掛け金は免除には
  なりません。

(8)もらい初めてからの手続き
   障害年金をもらい始めると毎年7月に市町村役場から、現況届けの用紙が
  届くので提出します。
   一般の年金は、誕生日の月に現況届けを提出しますが、20歳前障害だけは
  所得制限の調べがあるので、7月に誕生月に関係なく一斉に行います。
   また、何年かに一度現況届けと一緒に診断書を提出します。
   これは、症状の変化を見るためで、何年ごとに提出するかは最初の年金の
  決定の時に指定されます。(2年が多いようです)
   障害の程度が変わると2級が1級になったり、2級が非該当で年金が止まった
  りします。
   ただ、血友病の場合は、まず変化はないと思われます。

(9)併給調整
   障害年金は、一度もらい始めると所得制限を超えるか、診断書で障害非該当
  とされない限り一生もらえますが、別に国民年金や厚生年金の老齢年金の
  権利ができたときは、どちらか一方しかもらえません。
   これを、併給調整といいます。
   従って、会社にある程度の期間お勤めになった方は、厚生年金の老齢年金
  の金額の方が多いので、障害年金はそれまでの間となります。
   一方、国民年金に加入の方は2級の障害年金の額は、国民年金の老齢年金
  の最高額と同じ金額なので、通常は障害年金のままとなります。

(10)具体的な請求の仕方
  実際に障害年金を請求する手順は以下の通りです。 
  年齢
   20歳以上でないと請求できません。
   また、65歳を過ぎると請求できません。
  所得の確認
   先年の所得から社会保険料控除を控除した金額が、扶養家族の数に応じた
  一定の金額以下ならOKです。(金額は市町村役場におたずねください)
   学生さんなら、通常はアルバイト程度ですからまったく問題はありません。
  診断書等の入手
   住所地の市町村役場へ行って以下の用紙をもらいます。
   診断書用紙(血液造血器その他の障害用)
    関節障害の診断書も出すなら肢体の障害用ももらう
   受診状況申立書
   発病および初診日に関する証明書(血友病には基本的には不要)
   その他、戸籍等が必要ですのでよく聞いておいてください。
  発病および初診日に関する証明書について
   この証明書は20歳前障害か、一般の障害年金かを区別するために必要な
  書類で本来は極めて重要な書類です。
   しかし。生まれつきの病気の場合は20歳前障害に決まっていますから本来
  は不要なのです。
   しかし、一般の市町村や社会保険事務所の職員には、どの職員が生まれつ
  きなのかがわかりませんし、わかる場合でもとにかくこの書類を提出させるとし
  ている場合もあります。
   そのため、この証明書が提出できなければ、申請ができないといわれて困る
  場合があるようです。
   その場合は、病院でカルテを破棄したので証明できないとの形で、病院の印
  だけもらってくればOKです。
  診断書を書いてもらう
   かかりつけの医師に診断書を書いてもらいます。わずかな所見の差でも、却下
  される可能性もありますので、内容を確認しながら記入してもらいましょう。
  裁定請求
   書類がそろったら、市町村役場に申請(裁定請求)します。
   申請が認められれば、2−3ヶ月ほどで年金証書が届きます。

(11)これまでの経緯
   数年前に障害年期の申請が始まった当初は、愛知県では認められたのに
  岐阜県では却下されたことがありました。
  また、同じ程度の症状なのに、1級になった人と2級になった人がいました。
  ただ、その後の申請の積み重ねで、少なくともある程度血液製剤を使用する
  ような血友病患者であれば、2級に認定されるようです。
  20歳以降の患者の多くは、すでに受給していると思われますが、これから
  20歳になる患者さんは、20歳の誕生日の少し前に市町村役場へ相談に行き
  用紙をもらっておいて、20歳になり次第診断書を書いてもらうのがよいと思い

 
 ます。

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