3月4日(火)くもり

 3月になりましたが、相変わらず雪がよく降ります。
 でも、陽も長くなり、陽射しも日に日に暖かくなってるようで、お天気のいい日は
雪が溶けているのがよくわかります。
 気分も春めいてきました。

 さて、今月末の春休みには、こどもたちの小劇場の「夢てんと」公演があります。
 今年も3日間、「たくさんの人形劇とパフォーマンス」という事で、地元と招聘団体
合わせて15グループによって、たくさんの作品が上演されます。
 3回目の「夢てんと」公演ですが、その前の年には北海道人形劇フェスティバルでの
「夢テント」もこの旭川の地でありました。

 地元のアマチュアは、それぞれが生真面目に日々創作、上演活動をしていますが、
お互いの作品を観るという機会はなかなかないものです。
 ひとつの催しの取り組みをするようになって、当然ながら共に顔を合わせることが
増え、作品を観る機会も増えました。
 自分の劇団という狭い見方から地元の人形劇として、未来を見るような視点での話も
頻繁に生まれるようになりました。
 また、他の街から人形劇人を招く事で、そこでの出会いや交流がより広がったものも
生み出している。
 何か立派に語ろうと思っているより、夢中で動いた結果として自然に生み出されてい
く事の方が圧倒的に力がある。そんな風に思うこの頃です。


3月12日(水)くもり

 どこへ行っても子ども達は本当によく見てくれる。
 楽しい事好きだからね。
 楽しみたい生き物だから、座って待ってる時から、期待してるよ、しっかり
楽しませろよ!という顔をしている。
 それを感じると、はい、真剣にやりたいと思います!と姿勢も正される。
 
でも、中には、最初っからつまらなさそうな顔をして座っている子がいたり
もする。別に人形劇に興味がない子だっているだろうし、それはいいんだけど、
妙にそういう子が気になったりする。
 それとか、上演中どこまでも、あまのじゃくな反応ばかりする子もいたりし
て、君は君、みんな同じじゃつまらんものだ、とそれはそれでかまわないんだ
けど、でも時にそれも妙に気になったりする時がある。

 そんな中、最近の公演で、ふ〜んと思う事がふたつばかりあった。
 4歳かな5歳かな
、ちょっと斜にかまえて妙に大人びたポーズの子がいた。
 開演前から「けっ、人形劇かぁ」という態度で、挨拶前に会場でスタンバイ
してる私の顔を上目にみては、ふんと目をそらす。

 そんなんだったんだけど、上演後お部屋に帰る時、その子、私の顔をちらっ
と見て、クールなポーズで片手を上げてったんだ。
 もう一方の手はポケットに入っていた。
 へ?っと後ろ姿を見たあと、私は吹き出した。
 おかしいやら、かわいいやら、かっこいい〜!やら。
 わたし、惚れそうだったよ。
 なんだ、君おもしろかったんだね、と思った。
 
 それともうひとつは、上演中、チャチャを入れまくってる子がいてね。
 あれは、「手でやったんだ!」とか、「後ろでやってるんだって!」
と、まぁ何ともまわりの観てる子に「うるさい!」と言われるくらいしゃべっ
てて、お話に入りにくい雰囲気を一人で作っていた。

 そうしたら終わった途端、ケコミに走ってきて、私に「見せてくれ!」って
言う。「何を?」と聞くと、「仕掛けだよ」と言う。
 「どの仕掛け?」と聞くと、じれったそうに「全部だよ!!」と言う。
 「気になるんだ!見せてよ!」と言う。
 「いいよ」と言ってたら、先生に首根っこつかまれ、連れていかれちゃった。
 なんとも口惜しそうに目だけはこっちを向いてた。
 今も引き止めて見せてやればよかった、と思っている。
 
 その子にとっては、どうして人形の鳥の羽が動くのかとか、何故幕から影が
浮かび上がるのかとか、舞台転換で動く事とか、とにかく気になってたらしい。
 お話よりも仕掛けに興味があって、上演中もその子の内部ではめまぐるしく
何かが動いていたのだろうな。

 幸いにも上演後、垣間見る事ができたけど、普段はほとんど何もわからない
ことでもある。
 ほんとにつまらん!と思ってる子もいるだろうけど、ただ、表面的に見ても、
こちら側からは何もわからないもんだなと思う。
 その子の内部でどんな精神活動がされてるかなんて、想像できない。

 下手をすると、上手に観れないとか、反応が悪いとか、自分達のやってる事は
棚に上げといて、勝手な判断をしちゃう危険も多々あったりするんじゃないかな。
 確かに真剣に熱中して観てたり、たくさん反応を返してくれたりする公演は、
いい公演だったように感じるけど、それも言い切ってしまえるものでもない。
 ストレートな表現ばかりがあるわけでもないし、何を見ているかも一人ひとり
違う。その子が受け取ったものやこだわったものだけに意味は生まれてくるのだ
し、それは誰〜にもわからないことだ。

 
最近は、ちっとも活動日とリンクしていない日記になってるな。
 本日は、明日の公演のための前日仕込に行きました、っと。


3月21日(金)はれ

 避けられないのですね……
 とうとう戦争が始まってしまいました……

 今、25日(火)から始まる3日間の『夢てんと』に向けて、各劇団が準
備を始めている最中ですが、たくさんのこどもたちと楽しい3日間をという
思いとはあまりにも裏腹で……
 引きずらないで気持ちを切り替えなきゃ……とも思ってるんですが常に
イラク報道が耳に入ってきて、胸が痛い……
 「夢てんと、はじまるよ〜ん♪」と声を出してみると、「始まる」という
言葉に神経が過敏になってて、なんだか悲しい……

 元気に笑えるという事は、とても大事な事とあらためて思う。
 子ども達の笑顔は未来へとつながっている。


3月24日(月)はれ

 今日は暖かったですね。
 用事で街に出ましたが、街の中心部の温度計が11°になってました。
 なんてったってプラスです。
 マイナスではありません!と、ここはわざわざ断って書くべきところです。

 いよいよ明日からです『夢てんと』。
 23日に地元劇団の手で舞台器材を持ち寄り、会場設営・舞台を仕込みました。
 本日は、明日の上演の札幌人の搬入仕込もありました。
 
 いい雰囲気の会場です。
 第40回フェスでのテントの客席がそのまま生かされ続けて、舞台前はカー
ペット、後方はビールケースとコンパネで組んだベンチにかわいい座ぶとんを
乗せた、これはもう旭川の人形劇の会場スタイルとして定着しつつあります。

 15グループによる3日間、6ステージ。作品数にして23演目。
 どのステージを観ても、バランスよく楽しめると思います。
 たくさんの子達に楽しんでもらいたい♪と思います。 夢てんと案内  


3月29日(土)くもり時々ゆき

 「夢てんと」無事盛況にて終了しました。
 どのステージも面白い組合せで楽しめたのではないかと思っています。
 舞台の裏方をしていたので、まともに舞台前から観ることのできた作品は
なかったのですが、その代わり全ての演じ手の横顔を3日間ずっと見続けて
ました。
 そこから学んだ事は数知れないです。
 プロが幕開け前に見つめているものを肌身で感じた事もひとつかな。
 これはちょっと言葉では言い表わすのは難しい。
 その時、舞台に流れ込む空気の違い、ここに決定的な違いがあると感じま
したです。決して初めて出会うような場面ではないのだけれど、今回は、なん
というか感覚的に自分の表皮を通して伝わるという感じでした。

 そしてね、アマチュア活動と言っても抜けたグループには、やはり同じもの
がある、ということも感じるわけで。
 これは単純にうまいとか下手とか、面白いとか笑えるとかいうところとは別
ものなんですね。
 細かな事、舞台装置や人形や技術面といった目に見えて学ぶ事も多かったけ
ど、これは、あっ……という気づきなんですね。
 わかるようなわからんような話になっちまいました。

 
 昨日は「夢てんと」の翌日ながら、休みじゃなくて集まりでした。
 みんな休みにしないんだ……と思いながら出勤。
 そしたらね、バースディケーキが待っていました!!
 大きなデコレーションケーキでした。
 「他の人の時は切って食べた方がいいけど、あんたの時はみんなでつついて
山崩しのように食べる方が似合う!」という事で、スプーンで四方八方から
食べました。
 「これ、やってみたかったんだぁ〜!」
 「わ〜い! 行儀悪いのって楽しい〜なぁ〜!」と皆ではしゃぎました。
 ……でも、なんで私の時なんだろ?
 みんな納得してるけど、私だけが意味がわからん。
 「ありがとう」という言葉では思いが伝わり切れないことってあります。
 ほかにも言葉を探してみたけれど、照れるしかできなかった。