CONTENTS
●海産稚仔魚に必要な栄養
●最初に与える餌料(ワムシ)について
●ワムシの次に与える餌料(ブライン)について
●優れた栄養強化餌料(Nannochloropsis Green Water)について
1.海産稚仔魚に必要な栄養
海産・淡水産にかかわらず、稚仔魚には多くの栄養が必要とされています。これらの必要な栄養は
人工的に配合した飼料で作ることはできますが、これを与えても稚仔魚は見向きもしません。
そこで使われるのがブラインやワムシなどの生餌です。最初に与える餌料はワムシ、次に与える餌料は
ブラインです。これらの生餌には稚仔魚に必要な栄養のほとんどが含まれています。ほとんどと言うのは
すべてではないと言う意味です。ビタミンB12は少なく、不飽和脂肪酸はほとんど含まれていません。
淡水魚の場合、ほとんどの種では不飽和脂肪酸を多く必要としないため、培養したワムシを与えれば仔魚
は育ちますが、海産魚では多くの不飽和脂肪酸を必要とするために培養したワムシを与えても仔魚は育ちません。
2.最初に与える餌料(ワムシ)について
仔魚に最初に与える餌料はワムシです。海産ワムシはL型、S型、SS型に分けられます。以前はすべてが
タイプの異なる同じ種類と考えられてきましたが、現在では異なる種とされています。ここでは従来からの
シオミズツボワムシL型、S型、SS型として扱います。
海産仔魚には多くの場合S型が使われます。これは仔魚の口の大きさで決めるもので、魚種によって異なります。
クマノミの場合は基本的にはS型を使えば良いでしょう。ワムシを長期間与えたい場合は途中からL型に変えていきます。
クマノミは海産魚ですから不飽和脂肪酸を多く要求します。ワムシを培養したらネット(20μm)で洗浄回収した後に
ビタミン強化した海産珪藻(Chaetoceros)または海産緑藻(Nannochloropsis)を与えます。12時間程度で海産珪藻や海産緑藻に
含まれるビタミンと不飽和脂肪酸がワムシの体内に同化されます。この栄養強化されたワムシが仔魚の餌料に使えるわけです。
わむし屋では餌料の単体または強化済みの複合体をそれぞれ以下の商品として販売しています。
S型ワムシ培養キット●メールわむしS
海産珪藻濃縮液●Chaetoceros Brown Water
海産緑藻濃縮液●Nannochloropsis Green Water
栄養強化S型ワムシ高密度培養体●クマノミ用S型ワムシ高密度培養体
3.ワムシの次に与える餌料(ブライン)について
ワムシを与えて1週間から2週間を経過し、稚魚に育ってきた頃を見計らってワムシからブラインに切り替えていきます。孵化した
ブラインも栄養が不足していますから、ワムシと同じように栄養強化する必要があります。
稚魚はこの頃から斃死率が増加します。ワムシからブラインに切り替える時はワムシとブラインを併用し、徐々にブラインの比率を
上げていきます。また、飼育水に海産緑藻を直接投与し、環境の変動を防ぐことでより多くの稚魚が生き残ります。
4.優れた栄養強化餌料(Nannochloropsis Green Water)について
先に紹介したNannochloropsis(ナンノクロロプシス)は海産緑藻です。淡水緑藻は不飽和脂肪酸を生産できませんが、このNannochloropsis
は珪藻のように不飽和脂肪酸を生産します。保存性に優れ、豊富な栄養を含むため、海産稚仔魚の飼育には極めて有効な餌料です。
餌料としての有効性の反面、Nannochloropsisは増殖が極めて遅い、固まる、ワムシの増殖が遅い等、自分で培養することが難しい緑藻です。
わむし屋ではNannochloropsisを長期間培養し、濃厚液としたNannochloropsis Green Waterを販売しています。この液体を稚魚に直接与える
ことで安定した飼育環境を作ることが出来ます。