珪藻の有用性について
●【珪藻と栄養価について】
珪藻類は珪酸ガラスの殻を持つ植物プランクトンのグループです。淡水や海水など、さまざまな環境に生息し、
生態系の中で生産者として重要な役割を担っています。
珪藻は、緑色の葉緑素の他に赤茶色のカロチノイド色素、キサントフィル、フコキサンチン、ディアディノキサンチ
ン、ディアトキサンチンなどの黄色をした補助色素も含まれているので、黄褐色系統の色をしています。珪藻が光
合成の結果として作り出す有機貯蔵物質は、緑色植物にみられるデンプンとは違い、クリソラミナリン(β−1,3グ
ルカンを主体)とよばれる多糖類および脂質です。脂質成分は、種によって、またその生育環境によって組成が異
なりますが、代表的なものは不飽和脂肪酸のC14のミリスチン酸、C16のパルミチン酸やパルミトレイン酸、C18の
オレイン酸、C20のEPA(イコサペンタエン酸)であり、C20のEPAが豊富であることが特徴です。C22のDHA (ドコサ
ヘキサエン酸)さえも含む種もほんのわずかですが知られています。
海産魚介類の稚仔飼育餌料には以前より珪藻類が使われています。特に二枚貝、アワビなどの軟体動物やウ
ニなどの棘皮動物、エビ・カニ類などの甲殻類には必須の餌料です。この理由は珪藻類に豊富に含まれる高度不
飽和脂肪酸にあります。
飼育家の間でグリーンウォーターと呼ばれているものはクロレラなどの淡水緑藻です。
淡水緑藻はタンパク質が豊富ですが、珪藻のような不飽和脂肪酸を生産できません。このため、貝類や甲殻類で
はほとんど生長できないかまたは栄養欠乏を起こして死滅します。また、海産魚のほとんどと淡水魚の多くでは淡
水緑藻のみを与えると、奇形発生率が極めて高くなります。