Flowers for Algernon
アルジャーノンに花束を
musical
原作 ダニエル・キイス
脚本・作詞・演出 荻田浩一
音楽 斉藤恒芳
振付 港ゆりか
2006.2/22(wed)〜3/5(sun) 銀座博品館劇場
2006.3/8(wed) 静岡市民文化会館中ホール
2006.3/9(thu) 大阪厚生年金会館芸術ホール
2006.3/10(fri) 愛知厚生年金会館
Cast
浦井健治(チャーリー・ゴードン)
永山たかし(バート・セルドン/フランク/リロイ)
森新吾(アルジャーノン/アーニィー/ウェイター/チャーリー子ども)
小野妃香里(フェイ・リルマン/ジョー)
朝澄けい(ヒルダ/ファニー/ローズ回想/ノーマ)
小田島クリスティン(ルシル/エレン/ノーマ回想)
戸井勝海(ハロルド・ニーマー教授/ギンピイ)
宮川浩(ストラウス博士/アーサー・ドナー/マット)
安寿ミラ(アリス・キニアン)
Musician
小枝英隆
皆川真里奈
観劇記
大阪と名古屋で観ました。
両方とも大きな劇場で
大阪は超満員、名古屋はそうでなく
とても対称的だったけど
どちらも充実した舞台だったと思いました。
原作はヤンさんがご出演になると聞いて初めて読んだのですが
なんとも凄い作品で、後半は読むのが辛いほどでした。
これがいったいどんなミュージカルになるんだろう?
荻田先生だし、音楽は斉藤さんだし
きっと素敵になるだろう、とは思いつつ
不安も少し^^;
ファンが気にしたってはじまらないのにね。
またヤンさんはどの役なのかしら?と
チャーリーは浦井さんと分かっていたけど
共演の方々の取り合わせからちょっと限定しにくかったし
って、ファンが考えてもしかたないんだけどね^^;
わはは
でもこれがファンのお仕事みたいなもんで^^;
制作発表があって
配役が分かり
ヤンさんはアリス・キニアン先生!
ヤッタ!って思わず心の中でガッツポーズしちゃいました。
素人心にもいい役よね〜なんて思ってましたもん。
そして東京銀座博品館劇場で幕が上がり
聞こえてくる話しはどれも
感動しました〜
良かったわ〜
中には予想外に、って言葉がついてるのもあったけど
なによりチケットがない状態ってのが
良い作品だってことなんだろうな〜と
ひたすら大阪の公演を待ちわびておりました。
いざ
大阪!!
夜公演1回きりですからね〜〜
5感を総動員して観るぞ〜!!とハッスルハッスル
大きな劇場の2階のてっぺんまでぎっしり人が入って
うわ〜〜〜という客席の熱気
開演前のざわめきもなかなか静まらず
電気が消えて真っ暗になり初めてシーンとなる感じ。
始まるわ!と居住まいをただす間もなく
グレーのコートを着たヤンさんが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
きゃあ〜〜〜〜〜〜〜
ヤンさんや、ヤンさんや、と静かに興奮した私は
「ヤンさんや」と隣りの友達をひじでつついてしまった。
分かっとるっちゅうに。
だって、最初から登場されるなんて思ってなかったから〜
心臓に悪いわ、と思いつつも
冷静で優しげなキニアン先生のお言葉に歌に耳を傾けました
♪チャーリー・ゴードン
ビークマン大学知的障害成人センターの優秀な生徒/チャーリー
そこの教師/アリス・キニアン
ビークマン大学の精神科医、脳外科医/ジェイ・ストラウス博士
ビークマン大学の心理学部長/ハロルド・ニーマー教授
ビークマン大学心理学部の大学院生/バート・セルドン
看護婦/ヒルダ
看護婦/ルシル
ほか、登場人物が勢揃いしたあと、
舞台のあちこちに点在するついたてが移動し、その後ろから
声だけ聞こえていたチャーリーが登場する
♪ぼくわかしこくなりたい
このナンバーの優しいメロディー
なんて素直なメロディーなんでしょう
かしこくなりたいと歌うチャーリーの可愛いこと
そのためにキニアン先生が推薦してくれた
しじつ(手術)を受けたいと願い
怖いけれどさまざまなテストを受けるチャーリー
手術でかしこくなったねずみアルジャーノンを紹介され
アルジャーノンと迷路の競争をする
チャーリーとアルジャーノンのダンスナンバー?
もっと見たかったです。
IQが低すぎるとチャーリーの起用を反対するニーマー教授
彼の性格の良さ、好奇心の旺盛さ、熱心さをかうストラウス博士とキニアン先生
ヤンさん(キニアン先生)宮川さん(ストラウス博士)戸井さん(ニーマー教授)
3人が舞台に揃うと圧巻でしたね〜〜
大人のオーラと安定感、芝居に奥行きが出るっていうか
ほお〜〜〜〜と見とれてしまいました。
議論はあったけれどチャーリーは合格し手術を受けることに。
テスト、議論、手術がひとつのナンバーの中で
象徴的に表現されていき、
ロールシャッハテストは舞台のつい立ての裏側やキャストが持って出たり
無駄無く話が展開していきます。
♪ぼくがぼくでなくなるとき
手術の許可をする家族はチャーリーの妹ノーマ
つい立てに向かって、話している。
真っ白な布がストラウス博士と看護婦によってはためき
よこたわるチャーリーの上にふわりとかけられ
目が覚めると手術は終わっている
舞台上には何枚かのつい立てと
円形の、ハムスターが中で駆けてくるくるまわる遊具のような
円形のセットがあり中は中2階になっている
目覚めたチャーリーは「かしこくなっている」と期待しているが
それはすぐには分からない。
♪ぼくはかしこくならない
キニアン先生は「勉強しなければダメよ」と母親のように言う
かしこくなったかどうか分からないチャーリーは苛立つが
バートに「君はアルジャーノンに勝ったんだよ」と教えられ
アルジャーノンより優位に立ったチャーリーは
「アルジャーノン可哀想、チーズをあげてもいい?友達になってあげる」と言う
このあたり、チャーリーとまわりの人々との関係を象徴していると思うのだけど
チャーリーはそのことにまだ気付いてはいないよね
病院での生活に気詰まりを感じ元のパン屋にもどることになったチャーリー
(チャーリー転機のたびに大人3人の場面があるのです
最もチャーリー側に立つのがキニアン先生
真ん中がストラウス博士
遠いところにいるのがニーマー教授)
チャーリーはパン屋にもどってきました!
♪ドナーズベーカリーへの帰還
キャストは役柄をかねているので、それぞれ舞台上や袖で衣装を簡単に変えて
それでヘンシーン!!
これくらいさらっと出来ると気持ちよいわね
パン屋のオーナー、ドナーさん
主任みたいな人がギンピイさん
ほかにフランク、アーニー、ジョー、ファニー
パン屋の人たちはチャーリーがそんな手術をしたのを知らないので
(言ってはいけないのです)
最初は大歓迎して迎えるんだけれど
だんだん、チャーリーの異変に恐れを感じるようになるんですね〜
動かない粉練り機を動かしたり
難しい本を読んだり
新しい仕事を覚えようとしたり
そんなチャーリーをフランクやギンピイたちはお酒を飲みに連れ出し
そこでエレンという女の子と一緒に踊らせるのですね
するとチャーリーの身体は自然に反応し
それをからかわれ、パニック状態に陥る
チャーリーはこうやって少しづつ小さい時のことを思い出していきます
母親がいて、けれど妹のノーマと自分の身体が違うことに気付いて
それを母親が厳しくせめて折檻する
父親がかばおうとしても母親は耳を貸さない
チャーリーはこのことをストラウス博士に相談し
博士はそれは自然なことなんだよ、と安心させる
チャーリーはキニアン先生
いや、アリスを映画に誘う
キニアン先生からアリスへ
チャーリーの中でアリスの姿が大きく形を変えていく
(同時にチャーリーの衣服も変化していく)
舞台の中央で背中合わせにすわるふたり
チャーリーの独白で話はすすむ
映画どころじゃない、アリスに触れたい、キスしたい
そういう思いでいっぱいのチャーリー。
アリスの肩にのばしかけた腕を結局は自分の頭の後ろで組むしかなかったってくだりは
クスっとおかしかった。
もしヤンさんがチャーリーだったらここで笑いを取ってたかも〜
なーんてね^^;
「ぼくは君が好きだ」
「私も好きよ」
「そういう意味じゃないんだ」
「今はまだ(だめよ)」
♪男の子は恋をする
ヤンさんのソロナンバー
素敵だったなあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜←長いっちゅうの!
合わさりそうで合わさらない二人の気持ち
アリスは実験の途中でチャーリーは進歩している途中で
これからどう変わるかしれない
自分はたまたま近くにいただけで通り過ぎていかれるにすぎない存在かもしれない、と
チャーリーに告げる
そして「あなたが傷つかないことを祈っている」と。
チャーリーは男女のことについてはまだ子どもなんだと思い知る
さらに問題が起きる
パン屋のギンピイのごまかしに気付いてしまったのだ。
どうすれば良いのか分からないチャーリーは
アリスの元にやってくる(「彼はやってきた、私の元へ」だっけね)
「自分で決めるのよ、チャーリー」
この時だったかどうか忘れたけどチャーリーはさらにアリスに近づこうとするのね
この場面はミーハーとしては見逃せない
はずせない、目がサラになる、まばたきしたくない
身を乗り出したい、巻き戻したい!
ドキドキする場面でした(笑)
浦井チャーリーにガシッと腕をつかまれて
キャー
顔をのぞきこまれて
キャー
抱き寄せられて
キャー
でも、彼を突き放し、顔をそむける
キャーキャーキャー
あほかいな、と言われてもかましまへん
おいしい場面はおいしいんどす
真摯なテーマであってもときめくシーンは大事なんどす!
キッパリ!!
チャーリーはさらにアリスに!って時にまたパニックに陥ります
小さい頃、性的欲求が起こるたびに母親に折檻されてた記憶がよみがえるのですね
小さい子どもが自分たちを見ている!と言って
これは実際母親や家族にとっちゃどう対処すべきか
とまどいあせり実に困難なことで
ローズさんのように折檻なんかしちゃいけないけど
ローズさんの気持ちは分かるわ、って感じです。
このあたりは追求し始めるとキリがないので
やめておきます。
女性に関することだけでなく
パン屋でのちょっとしたやりとりの中からも
チャーリーは過去の色んなことが分かってきます。
友達だと思って一緒に笑っていたけれど
それはからかわれていただけだったって事とか、
妹とのこと。
兄にヒドイことを言うと妹が父親に叱られたり
ナポレオンという名の犬のこと
本当のお兄ちゃんじゃないのと言われたことなどなど。
大学の教授や博士も実はただの人だったということが分かってきてしまいます。
♪彼はラハジャマティーを知らない
そんなとまどいと混乱の中、母校を訪ねたチャーリーに
アリスは「そんな目であの子たちを見ないで!」と言い放ちます。
そして「貴方のその目、そんなふうに一笑にふされる時
たまらなくみじめになる」と。
♪今のままでは
アリスのソロナンバー
賢くなり過ぎたためにアリスと自分は遠く離れてしまったと感じるチャーリー
ドナーズベーカリーも解雇され
アルジャーノンの異変を聞かされ
アルジャーノンを連れて姿を消す
♪檻の外へ
1幕はこれで終わり。
ここまであっという間でした。
もう終わり?
流れるように飽きる瞬間がひとつもなく
話の頂点に!!
休憩は15分だ!
ダッシュ!!
2幕が楽しみ〜〜〜と
わくわくしながら開幕を待つ
チャーリーがねずみを連れて行方不明!
大きく揺れる研究者たち
家族にもマスコミの取材は押し寄せ
妹ノーマと母ローズは困惑する
チャーリーはアパートを借り
そこで自身に関する研究を始める
そのアパートの隣人がフェイなのである
おもしろい役ですよね
「デュエット」のソニアのもっと奔放版って感じ
彼女は多分、初めて会った時に直感で
「彼(チャーリー)と愛し合いたい」って思ってたんだと思う
奔放だけれど誰彼となく愛し合ってるわけじゃない
彼女の心の琴線に触れる男性とだけ。
情深くていい女、ですよね〜〜
小野妃香里さん、とっても良かったわ。
でもね
実は私、原作を読んだ時、ヤンさんのフェイを見たいって思ったの
コケティッシュな役お得意でしょ
ダンスが大好きって役だし、ヤンさんのダンスが見れるかも〜って。
チャーリーも突拍子もなくハジケた女性フェイに惹かれ
彼女となら上手く行くんじゃないかと
小さい頃の自分が邪魔をしないんじゃないかと思うんですね
でも飲み過ぎて酔っぱらったチャーリーは
手術を受ける前のようになってしまう。
もちろん、フェイを満足させることも出来なかった
チャーリーは自分の中のもうひとりのチャーリーの存在を確信する
そして再び挑戦^^;
今度はフェイと愛し合うことが出来る
♪彼女は非常階段
チャーリーにとっちゃ大きな自信になったでしょうね
でもアリスは・・‥・
またフェイがアルジャーノンの恋人にと連れてきたねずみのミニイを
アルジャーノンは噛み
フェイの指にも噛み付いた
チャーリーはそんなアルジャーノンと共に研究室に戻る
モルモットの行き先
冷凍室か焼却炉か
ぼくの行き先はそのどちらですか?
チャーリーは激しく博士や教授にせまる
ウォレン養護学校
なんてこと!
母親が放り込んでしまおうとした学校
ハーマンおじさんがやるまい!とし
ドナーさんが引き取ってくれて行かなくてすんだ学校
結局最後はそこに行き着くのだ
チャーリーはアルジャーノンが死んだらぼくに引き取らせてほしいと頼む
♪アルジャーノンに花束を
チャーリーは家族に会いに行く
母は会おうとはしなかった
妹のノーマは母の面倒をひとりで見ていた
妹ノーマとチャーリーの会話はとても心に残っている
「私、あなたにひどいことを言っていた?」
妹だって寂しかったのだ
まだ子どもだったんだ
犬にナッピーと名付けている妹になんの罪もない
けれどその妹が産まれてから母の態度が一変したのだ
悲しいことです
どうすれば良かったのでしょう、家族は
チャーリーは今は床屋をしている父親に会いに行きます
けれど父親ももう忘れてしまっていた、自分のことを。
「あのちょっと」と呼び止められた時のチャーリーの嬉しそうな顔
けれど「3ドル5セント(合ってるかしら?)」と料金を請求されて
やっぱり、と落胆する様子
あまりやないですか。
そして刻々と退行していくチャーリー
昨日読めた本が今日は読めない
昨日分かっていたことが、今日は分からない
こんなチャーリーをアリスはどんな思いで見つめていたことか
ふたりは静かに唇を重ね
いまこの時を愛おしむように身体を寄せ合う
涙するアリスに
「泣かないで、アリス」
思い出しただけでも涙が出てきちゃう
この時の宮川浩さんのソロがもうせつなくてせつなくてたまりませんでした
♪見えるのは世界(多分)
ある日チャーリーはアリスを「キニアン先生」と無邪気に呼んだ
アリスの大きな瞳からこぼれる涙
アリスが大好きだったチャーリーの笑顔が
涙でくもる
アルジャーノンが死に
アルジャーノンの墓に花をたむける人々
けれどもチャーリーは笑顔を忘れないで上を向いて生きている
自分に預けられたもの全てを一身に引き受けて笑っている
憎しみも哀しみも愛したことも忘れてしまうのだけれど
♪ぼくわかしこくなりたい
幕
見終わって時が経つにつれ
胸がじわ〜〜と熱くなる作品なのですね
浦井健治さんの無邪気で純粋なチャーリー
真摯に役を生きておられる姿と
ヤンさんの優しく自分の弱さを知るアリス
万感の思いを込めてチャーリーを見つめるまなざしには
ヤンさんご自身の包容力、母性も感じてしまいました
クールなおもざし、内に秘めた温かなるもの
ヤンさ〜〜〜〜ん
またまた大好きになってしまいました
ヤンさんのファンでいれてほんとにほんとに幸せです!!
読んで下さってありがとうございましたm(__)m