SONG&DANCE
歌舞劇
田園に死す

新国立劇場・中劇場 2006.10.4〜8

cast

日本

安寿ミラ
中村蒼

高塚恵理子
横山道子
横山 愛
原 章子

佐野大樹(*pnish*)
森山栄治(*pnish*)
鷲尾 昇(*pnish*)
土屋裕一(*pnish*)

中国

中国文化部歌劇舞劇院 劇団員

staff

作 寺山修司
台本・演出・美術 栗田芳宏

音楽 宮川彬良
振付 孟 嘉・陳慶曄・港ゆりか 


「も〜いいかーい」

「ま〜だだよー」

幼い日のかくれんぼ、鬼になって目隠ししている間に
みんなみんな居なくなってしまう
空が夕闇に覆われ、鴉がカア〜と鳴いたりすると
その寂しさは一段と身にしみる

少年が探しているのは誰?
かあちゃん?
それとも自分??

「血の起源」は“女の見た夢”
「田園に死す」では“少年”が夢を見る

〜サーカス〜

♪呪われた誕生日

頭は一つしかないのに
帽子を3つも持って次々にかぶり変えては
得意げな少年
美しい民族衣装を翻し、くるくる廻るお人形のような少女
宙返り、とんぼ返り、凡人には出来ない技を
懸命に練習しているサーカスの団員たち

少年は彼らの間を彷徨い
遠い恐山に向かって
「かあちゃんの霊を降ろして下さい!」と叫ぶ

♪誰がまわした風見鶏〜

巫女かヤンさんか
「かあちゃんか?」

きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
われらがヤンさん〜〜〜〜
恐山からゆらゆらと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

綺麗な綺麗な巫女さま、お母さま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

赤い紐で髪巫女風に
紅白メデタイ衣装をつけて
着物カラーにラテンなフリル

いやいや

赤は血の赤、恨みの赤
白は純潔、清らかな母

田畑の畦に山裾にキラキラと咲く
曼珠沙華

曼珠沙華の精のようなヤンさんでした〜〜〜

風見鶏の歌に
ワッショイワッショイワッショイワッショイが重なり
収穫祭の始まり
ここのとこの音楽の盛り上がりが好きでした〜〜

少年の夢の中で
母はサーカスの男たちと戯れ始めます

ひええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ヤンさんは中国の若者たちの背中に仰向けになり

開脚!
キャア〜!っと客全驚!!

ひええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

柱時計は叫ぶ(聞こえたのか!)
「ア、アンタらこ、こ、こんなとこで、な、何してんまんねん」

ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、
真っ赤になって鼻血寸前!!
だから壊れてしまったにちがいない!!

ボーーーン

もとい

母ちゃんは女なんです
悪い方を捨てて良い方だけ残して生きてくれ!って
ハムレットみたいなこと言われたって無理なんです

ヤンさんがパンフレットでハムレットみたいって
おっしゃってましたが、ほんとにそうだわ〜〜って思いました。

来年の2月にはヤンさんがそのハムレットを
三たびお演じなるのですわ〜

楽しみ!

さて、4人の子を産む母

収穫祭の思い出は

赤い櫛を土に埋め
似合うお面を探して・・・
土を探せば櫛ばかり
夢の中で母が語る

それにこたえて少年が語りかける
「母ちゃん、一緒に田舎に帰ろう」

おっ、しみじみといい感じになってきましたね〜と思いきや!

次なる男が登場!

母ちゃん〜〜〜
それはないよお〜〜〜〜〜〜
by少年

柱時計の後ろに隠れる少年

オーマイ〜〜〜

少年ガクッ
柱時計の後ろからペッタンペッタン
少年の夢の中の少年は(ややこしいがな)
自らの「血の起源」を知ってしまったのですね〜〜〜

夢の中の母は5人の子供を産み落とすんだけど
自分の父はどちらなのか?

このあたり「血の起源」

「血の起源」をすっぽりと包み込んだ「田園に死す」
というのが私流解釈(笑)

柱時計の後ろの少年っていうのは
この舞台では寺山少年だけど
家で時を刻み続けてきた時計の影から
何代も何代もつなぎ続けた血
自分の「血の起源」を知って動揺し愕然とし続けてきた
少年たちの系譜ではあるまいか

けど〜〜〜
その少年だっていずれは、自分がおぞましく思った
「血の媒介者」になるんでしょ

そのへんはどうなんでしょねえ〜〜


そうこうしてるうちにサーカスは華やかな本番に!

♪人の成る木

「血の起源」ではこのナンバーが最大の見せ場のひとつでありました!
水しぶきを上げながら5人のバレエダンサーたちが
シャープにたくましく踊りまくる
生命感あふれるシーンでした

今回は中国川劇(せんげき)院の方たちの
民族衣装きらぎやかな
目にもまばゆい舞
手にはチョキチョキと音のする拍子木のような物を持ち
優雅で華やかなシーン
ダンスというよりは“舞”。

「人の成る木」は生命誕生の讃歌
さらにつっこめば
男女の営みの讃歌でもあります!
(暴言?)

少年の戸惑いなんてそっちのけで
祝えや祝え収穫祭
人の成る木だ
ワッショイワッショイ!


♪家族合わせ

あなたのお父さんを下さい!
お母さんを下さい!

ええーーーい、もうヤケクソだあ〜〜〜〜〜
家族なんてクソくらえ〜〜〜〜
こっちの母ちゃん、あっちの父ちゃん
入れ替えたって同じことだ〜〜

「血の起源」では♪家族合わせは寂しい少年の一人遊び
家族を求める物悲しいゲームの歌に聞こえたのに
「田園に死す」では家族を否定する歌に聞こえました
不思議です〜〜〜〜

そして母はまた子を産み落とす
生んではならぬ戌月の子

ずらりと並んだ5人の子

まるでサーカスの見せ物のように
ぺんぎんダンス(笑)を踊って行く
パニッシュさんがコートをかけたりはずしたり
少女隊と少年は、他人、他人、他人、他人と
次々移動
いったい誰が他人?

赤い帯がパニッシュさんに運ばれてきて
少年は布をを切り裂き這い出てきた

産まれてはならぬ子だったのか
少年のアイデンティティーがくずれていく

少年のまわりで、サーカスの女が次々に顔を変えていく

このシーン、大好きだったなあ〜〜〜〜
驚異の変面(なんであんな一瞬に面が変わるんだろう)
その技が技だけでなく、女性の色んな顔を見せるという
情緒あふれる芝居になっていた。
音楽も女の業の悲しみをやさしくなでさするような
慈愛にあふれたメロディだった

変面の女優さんは
ヤンさん演じる夢の中の母の分身だと思えた

そして多分、この間にヤンさんはパニッシュさんに手伝ってもらって
髪のキラキラを取り、シンプルなドレスに変身されるんですよね


少年は夢の中をさすらう

ひとつ積んでは父のため、ふたつ積んでは母のため
死の国、賽の河原をさすらう少年

子供地獄のあ〜
(少女隊のこの『あ〜』が好きだったわ〜)

再び♪家族合わせ

川劇員のサーカス団が元気に飛び回って華やかなシーン
大きな扇にはきっと中国語で
『父』『母』『兄』『姉』

少年の混沌とした夢の中で
母は舞い続ける
2番目の男、自分の血の半分をくれた男と。

だが先の男が現れ争いが始まる

川劇員の若い男優さんがヤンさんの相手役として
ほんとに情感たっぷりに演じて下さっていた
まだ幼さの残る顔に
身体から在らん限りの情熱と情愛をほとばしらせて・・

何十年も舞台に立ち続けている女優さんが
本気で向かってきて下さるのだ
それをシカと受け止め応えて伸びる
川劇員の若い男優さんはエライ!!!

これは初舞台の中村蒼さんにも言えるかなあ〜
3回観劇したけれど
楽日のしっかりした台詞には
保護者気分で「よく頑張ったねえ〜〜」と(ううう)

ヤンさんってほんとに凄い!

ヤンさんは舞台の『母』だ!!


曲は♪家族合わせにもどり

首絞めヤンさんです!

このヤンさんが〜〜〜〜〜最高だったわ!!!

にっこり笑って帯巻いて
ニタっとキリリリと紐絞める

絞められてる少女隊もにっこり笑ってるんだから
こんなホラーな場面がありましょうか〜

これでひとりづつ首がポトンポトンと落ちてって
「他人の子を産んだのはお母さんです」と
その首が喋ったらさぞおもしろかろう(おい)

「ど、く、い、ち、ご!」
少年を指差すのは残った身体
うん、好みのホラーだわ(おい)

それをにこにこ笑ってみてるお母さん

少女たちは自分(少年)の悪しき所を何もかも知っている
少女たちがそれを述べ立てている
記憶喪失症
手淫常習犯
エトセトラ
母は困惑している俺に近づき

「ここにさあ、お立ちなさい」と優しく立たせる
ほんとに優しそうだったのに〜〜

少女たちが
「お母さん、教えて下さい、我が家のたったひとりの他人というのは」
と尋ねたとたん!!!

バシーーーーーー========!!!!

振り返り様
母は少年を指差した

キャ===============

この時のヤンさんがめちゃめちゃ眼光鋭くて
めちゃめちゃカッコ良くて
そのカッコ良さに
下手で見た時には死ぬかと思った〜

少年はその迫力に気圧されてドスン!としりもち。

その少年を追いつめるかのような
吸血鬼講義

柱時計の後ろで見てたっちゅうに
ボクはもう分かってる

もういやだ〜〜〜〜
早く夢よ覚めてくれ〜〜〜〜って感じに思えました。

そして多分

♪死んで〜〜〜下さい、お母さん

なんちゅう歌ですねん
夢から覚めたいの?
意味はよく分からんけど
昭和歌謡、戦後の雑然とした明るさに満ちた歌だった

歌詞に反してなんだか元気の出る歌!

死なへんぞって(笑)


静かなさざなみのような音楽が流れてくると

♪父が目、つぶる〜
1月、2月の歌

なんて優しい歌なんでしょう〜
この暗い家の中で母はいつもそこに居てくれた
山の麓の片田舎、母はそこで生き続けた

羊水の中にいるような心地よさ

少年の日の懐かしい日々がよみがえる

昆虫採集、標本箱

母は本当の夫の顔を探している

男に顔を向け、俺には顔が見えない 母

求めても求めてもそれは無理なことなのだろうか
自分の中にあきらめに似た気持ちが滲み広がろうとしている

母の生き様が見えてくる

一粒の麦を蒔く母
雀が食べるのを見つけた母
雀が撃たれるのを見た母
雀を撃った男に愛される母

草刈り鎌と愛欲と
それを寝床に添い寝して

捨て子を産んだ母

夢の中で少年は母の声を聞く

「帰りたい、夢の中へ」

母は捨てた子供を抱きしめる

胸がきゅいーーん、涙じわ〜〜〜〜

♪一月、二月〜
優しいメロディーが母と子供を抱きしめる

夜風、山風、カラカラア〜

産んだ子供を腕に抱き

血のりで洗ったこの子ゆえ

心ゆくまで抱きしめて

母の喜びに子供たちは包まれて
胎内の幸せに浸る
ヤンさんは赤い帯をひろげて
その中に4人の少女と寺山少年がすっぽりと。

ラストの絶叫

誰もどこへも出すものか〜〜〜〜

凄い迫力でした!!

最後にもう一度少年を抱きしめて!!


けれどこれは

賽の河原の物語

母の霊は帰っていった

遠い山の向こうへ

柱時計にもたれかかり
死んでしまったお母さん

夢の案内人*pnish*さんが
夢の終わりを告げ

母を死の国へ
巫女を山へ

かつぎ去る

凍り付いたように身体中の表情の消えたヤンさんが
ほんとうに死んだ人みたいに見えて

夢の終わりを納得せざるをえなかった

もうーいいかい〜

少年の声は夢にひびき

夢の中から返事がこだまする

まあーだだよ〜


あ〜〜〜〜せつない〜〜〜けど良かったあ〜〜〜

分かってるのか分かってないのか分からないけど

なんか感動しちゃった

なんなの?これは?

泣けてしまう

寺山修司さんの世界に誘って下さったヤンさんに感謝!

ヤンさんについていけば
自分が好きな世界に行ける

不思議で妖しげで官能的で清々しい

何かそんな感動のかたまりがエネルギーが
ドカーーンとじわ〜〜〜〜〜っと
舞台から客席に飛んでくる
滲んでくる

好きです!!
こういうステージ!!

妖艶で母性あふれて、心に静かに染み通るような歌声
鬼と母を行ったり来たり
しなやかな表現、ダンスもいっぱい見せて下さった

ヤンさん
ありがとうございました!

付いて行きます!どこまでも!!

なんべん言えば気がすむのでしょう

ヤンさんのファンでいられて幸せです〜〜〜〜

終わり

読んで下さってありがとうございましたm(__)m


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