ミュージカル
グランドホテル
STAFF
脚本 | ルーサー・デイヴィス |
作詞・作曲 | ロバート・ライト&ジョージ・フォレスト |
追加作詞・作曲 | モーリー・イェストン |
演出 | トム・サザーランド |
振付 | リー・プラウド |
音楽監督 | マイケル・ブラッドリー |
CAST
GREEN | RED | |
中川晃教 | 成河 | オットー・クリンゲライン |
宮原浩暢 | 伊礼彼方 | フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵 |
・ | ||
戸井勝海 | 吉原光夫 | ヘルマン・プライジング |
昆 夏美 | 真野恵里菜 | フレムシェン |
藤岡正明 | エリック | |
・ | ||
味方良介 | ジミーズ | |
木内健人 | ジミーズ | |
大山真志 | ズィノヴィッツ | |
金すんら | サンドー | |
友石竜也 | ローナ | |
青山航士 | 運転手 | |
杉尾 真 | ヴィット | |
新井俊一 | ベルボーイ | |
真瀬はるか | マダム・ピーピー | |
吉田玲菜 | トルード | |
天野朋子 | トゥッツィ | |
岡本華菜 | ホテルスタッフ | |
・ | ||
湖月わたる | スペシャル・ダンサー(死) | |
・ | ||
樹里咲穂 | 土居裕子 | ラファエラ |
光枝明彦 | 佐山陽規 | オッテンシュラッグ医師 |
・ | ||
安寿ミラ | 草刈民代 | エリザヴェータ・グルシンスカヤ |
グランドホテル観劇記
ほとんどGREEN、ヤンさんメインの観劇記
思いがけずゲネプロから始まり、GREENだけでなくREDも観劇
4月から5月GWが終わるまでどっぷりグランドホテルでした
幕が下りほぼひと月過ぎた今は
ヤンさんとグルシンスカヤの出会いに感謝と喜びの思いのみ
1989年オスカルとの出会いがあったように
2016年の巡り合わせ
舞台の神様〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
ありがとうございます〜〜〜〜〜!!!!!
かつて一世を風靡した伝説のバレリーナ!
今は衰えを恐れ抗いながら踊っているグルシンスカヤ
「ファンをだますくらいなら、がっかりさせた方がマシよ」
どんな思いで言われたのだろう
毎回聞くたびに胸が痛くなりました
パンフレットにあるヤンさんの言葉
「本のままリアルに演じたい」
こういう人生ももしかしたらあるかもしれないと想像して演じる
先日亡くなられた蜷川さんの100年インタビューで
「こんなこと言わないだろうと思っても、もしかしたら言うかもしれない
人はそれぞれに違うのだから・・・」
というような意味のことをおっしゃってらして
「本のままリアルに演じる」には
すごい想像力がいるのだわ!とひとり納得しました
脚本家、翻訳家が命をけずって書き上げたものを私(蜷川さん)は変えない!
ともおっしゃってらした。
この境地に達するまでに長い年月・経験がいるのでしょう
さて、劇場に入りますと
舞台上には大きな2階建てグランドホテル!
1階の扉がくるくるまわり
2階は客室廊下
奥には出演者たちが待機する椅子
豪華でシックな色彩
1920年代のベルリンの雰囲気たっぷり
スペシャルダンサー(死)<湖月わたるさん>が
椅子に置かれたベルを鳴らし
物語が始まる
各々椅子を持ち回転扉から登場し着席
このときすでに男爵<宮原浩暢さん>の運命は決まっていたのね
(死)の椅子に座ったのだもの
20分のオープニングナンバー
♪The Grand Parade
凄いです!
ホテルスタッフとゲストが交差し
ゲストがオッテンシュラッグ医師<光枝明彦さん>により次々紹介される
グルシンスカヤ<安寿ミラさん>にサインを求めるベルボーイ
チームグルシンスカヤの面々
ラファエラ<樹里咲穂さん>に
サンドー(プロデューサー)<金すんらさん>
ヴィット(マネージャー)<杉尾真さん>
人混みでせき込むオットー・クリンゲライン<中川晃教さん>
そんなオットーを迷惑そうによけるグルシンスカヤ
フレムシェン(昆夏美さん)はそんなオットーに気付き
いたわってハンカチを差し出す
妻の出産に気をもむエリック<藤岡正明さん>は
オッテンシュラッグ医師のかばんの中にあるものを見てしまう
ネックレスをかかげるグルシンスカヤ、ラファエラ、
プライジング<戸井勝海さん>、男爵は
ホテルスタッフにかつがれ
この日この時、グランドホテルに集ってきた
ゲスト・スタッフがめぐり、歩き
不気味に笑うオッテンシュラッグ医師
人を探していた(死)が男爵を見つける
グランドホテルで起こる様々な人間模様
素晴らしいミュージカルナンバーとお芝居が混然一体となり
人と人が絡み合ってグランドホテルの世界が積み上げられていきます
胸前で手をせわしくなく動かすオットー
部屋はない!と追い出されそうになるが
男爵の粋な手助けで残り少ない命を
グランドホテルで過ごせることになる
男爵は取り立て屋<青山航二さん>に追われているが
そんなことはどうでもよいことみたいに気にしているのかいないのか
すれ違いざま一瞬見つめあう男爵とグルシンスカヤ
エリザヴェータ・グルシンスカヤは
踊りたくない
お客が入らない、カーテンコールがなかった
つまづいてしまった
さまざまな理由から
それを取り巻く人々がなだめすかし、なだめすかし
踊らせようととする
ただラファエラだけは「マダムには休養が必要です!」とかばう。
お金も底をつきみんなに支払うお金がない
ラファエラは「私はお金を持っております、あなたのために」
ラファエラの気持ちに胸をつかれ
なぜそこまでしてくれるの?と問うエリザヴェータ
答えないラファエラ
いい場面だったわ〜〜〜
ヤンさんと樹里さん!
マニッシュな樹里ラファエラに漂う退廃的な香り
人々の賛美を浴び輝き続けてきたエリザヴェータの憂鬱
何があっても離れないのだろうな・・と感じさせるに十分な場面でした
再び踊ると決めたエリザヴェータの純白のドレス姿の美しかったこと!!
ほんの少しでいいから踊っていただきたかったです
フレムシェンは身ごもりお金がほしい
ハリウッドで女優になりたい
プライジングの経営する会社は青色吐息
娘婿の辛い立場でカーカー
ラファエラは最後のネックレスを売らねばならない
早く・・・
時間のない人たちが重なって歌い継いでいく
キーパーソン・男爵はフレムシェンにも声をかけ
やがてフレムシェンとオットーをつなぐ
フレムシェンとジミーズ<味方良介さん・木内健人さん>の
チャールストンナンバーが素敵だった!
リズミカルにヘビーに振り下ろされる手
あんな振り見たことなかった!
プライジング社長は困り果てている
合併がうまくいかないと株主総会で解雇されてしまう
秘書のズィノヴィッツ<大山真志さん>は
合併成功!と嘘をせまる
そんなプライジングのタイピストとして雇われることになったフレムシェン
プライジングはオットーの元雇い主でもあったが
プライジングはオットーのことなどかけらも覚えていなかった
オットーは友達・男爵にお金の増やし方を教わり
自分にできることに気付き始め
男爵は取り立て屋からバレリーナの首飾りを盗むよう脅されていた
宮原浩暢さんが演じるガイゲルン男爵は素敵だ
上品でスラリとして男前で
ハットのかぶり方がヤンさん仕込みだけあって垢ぬけてる
グルシンスカヤは客席の空席とカーテンコールがなかったことに
ショックを受け早い時間に部屋に戻ってきてしまった
ポケットに首飾りを入れたまま男爵はグルシンスカヤに見つかってしまう
ここからでーーす!!
ルンルン!!
大人のときめきターーーイム!!!
グルシンスカヤと男爵の素敵な素敵な恋の駆け引き
男爵のいいわけに
「まあまあね」
海千山千の男爵を「坊や」呼ばわり
口説く言葉をフフっとかわし
足を組み換え
グルシンスカヤさま〜〜〜〜〜〜〜〜
が、男爵の歌はグルシンスカヤの心をとろかすのであります!
♪Love Can’t Happen
これで堕ちない女性がいたらお目にかかりたい!
清潔感あふれしかも力強く愛を歌う
のびやかであたたかい宮原さんの歌声
はじめはフフンと軽く聞き流していたエリザヴェータも
彼の本気に心動かされ
見つめあい
ローブを脱ぎ
ローブを脱がせ
スルリと床に落ち
男爵は上着を脱ぎ
ネクタイをはずし
抱き合い
口づける
美しい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この流れ、オペラグラスで一部始終見届け
そして拍手!拍手!拍手!
間違いなくミュージカル・グランドホテルの白眉となった場面でした!
脱ぎ捨てられた上着を抱きしめ歌うラファエラ
♪What She Needs
男爵の上着を身に着け、煙草をくゆらす
このシーンも切なかった・・
そのわきではフレムシェンとプライジング!?でしたっけ??
二人の間に不穏な空気が漂いはじめる
愛を交わしたエリザヴェータと男爵
「踊りたいの!」
踊ることへの意味と希望を再び見出したエリザヴェータ
一緒にウィーンへ旅立つことを約束して別れる
男爵は一抹の不安を抱えていたが
エリザヴェータは勇気と夢に満ちていた
♪Bonjour Amour
喜びを全身で歌うエリザヴェータ
ほほえましく見守るラファエラ、サンドー、ヴィット
真実の愛を見つけたヤンさんグルシンスカヤの可愛いこと!!
なんでヤンさんはこんなに可愛いのでしょうか!?!?
覚えていますか?(←グリークスか!)
ヤンさんが演じるとマクベス夫人だって可愛かった
鋼太郎マクベスは夫人にメロメロだったもの
クレオパトラも超可愛かった!
めちゃめちゃチャーミングだった
シラノのロクサーヌだって!!
愛さずにはいられない魅力を放ってらした
そしてエリザヴェータ・グルシンスカヤ
映画ではかのグレタ・ガルボが演じた
ダイヤモンドのようなクールビューティー
何物もその本質に傷をつけることはできない
硬い!冷たい!壊れない!
けれどもヤンさんのグルシンスカヤは
バレリーナとしてのプライドはプライドとして
大人の女性としての品格はそのままに
核をなすのは少女性
恋に堕ちるとその核が輝きを放つ
ヤンさんグルシンスカヤは無理やり例えるなら
真珠
というわけで私は見たい!
ヤンさんのガートルードを!!
今までに観たガートルードはおろかな女、母親でしたが
ヤンさんが演じられたらどんなガートルードになるのか
私は見たい!!!
閑話休題
喜びあふれるボンジュール!
ガウンをはおりテーブルの上で高らかに歌うボンジュール!
この幸せがなぜ続かないのか
悲しくなるが
♪ボンジュールからの♪チャールストンの流れはとても楽しく怖かった^^;
ついに大金を手にしたオットーと
真実の愛を手に入れた男爵
リズミカルに楽しく踊るチャールストン
が後ろでは(死)が無表情に踊っている
湖月さんの無表情のチャールストンが怖くて怖くて
でもその怖さが毎回楽しみで
ヤンさんにもチョッピリ踊って欲しかったです
そして訪れる悲劇
なんで?なんで?
フレムシェンがプライジングに汚されそうになる場面に遭遇してしまう男爵!
プライジング・戸井さんは
紳士として社長として必死で頑張ってきた男の堕落と
渾身のゲス!絶品のゲス!
さすがでした!
フレムシェン昆さんも必死の抵抗
あまりの痛ましさに目をつぶりたくなってしまいました
けれどお金はないけど、勇気ある紳士男爵が
運命のいたづら(死の仕業よね)で
居合わせたのですから
フレムシェンを放っておくわけがない
フレムシェンを助け、プライジングに撃たれる男爵
ピストルの音が怖かった
そしてゲストスタッフたちが真っ赤な紙吹雪を散らし
エリザヴェータは真っ白な紙吹雪
待ち受ける(死)と死のボレロを踊り旅立つ男爵
グルシンスカヤは何も知らずに
赤い花束を待つ男爵に駅で会えると信じて旅立とうとする
プライジングは犯罪者となり
フレムシェンは一人になってしまった
そこへ現れたのがオットー・クリンゲライン!!
「一緒にパリに行きませんか?」
オットーはまた、男爵にもらった高価な煙草入れを
子どもの誕生祝いにエリックに渡すのです
覚えていますか?
オープニングで男爵が
「煙草入れをエリックに残すと遺言しておくよ」と言っていたのを
おお〜って思いました!
「赤ん坊!素晴らしい!命にあふれてる!」
中川晃教さんの声が今も聞こえてきそう
大好きなシーンでした
ところが!
スタッフの態度が豹変し、ゲストたちは身ぐるみはがされ
ホテル内には独裁者の演説が響き渡る
持たざる者たちの逆襲が始まったのだ
持たざる者たちは舞台に背を向け独裁者に手を掲げる
ゲストたちはエリックとその赤ん坊に
取り上げられた上着やかばんを持たせ未来に逃がしてやる
このラストがREDチームとは決定的に違ったのですね
REDはHAPPY END
後に訪れる世界恐慌もナチスの虐殺も彼らは知らなかった
グランドホテルに宿泊した数日は
それぞれのストーリーを終え
それぞれの明日へと向かっていったのです
客席を通って去るゲストたちの顔は晴れやかで
HAPPY MUSICAL
カーテンコールの足取りも手拍子湧く明るさでした
しかしGREENは
スタッフたちによりゲストの持ち物ははく奪され
オットーはユダヤ人であるがゆえに
エリザヴェータはじめ芸術に携わっている人々はそのために
犠牲となっていった
その彼らが望みを託したのが
エリックと生まれたばかりの赤ん坊
私はこのシーンが大好きでした
確かに辛い結末ではあったけれど
エリックと赤ん坊に寄せられた人間愛に基づいた品々
独裁者のいない未来に旅立つ二人の姿は
細いが強い希望への光
そして二人が去ったあと、未来をにらみつけるような
犠牲者たちの表情は
現在に生きる私たちへの無言の問いかけであるように感じました
凄い作品だったなあ〜〜〜と
つくづく思います
そしてヤンさんがグルシンスカヤを演じてくださったことは
大きな大きな喜びでした
ありがとうございました!
またいつの日か再演されることがあったなら
ヤンさんのグルシンスカヤにお逢いしたい!
GREENチームのみなさんのグランドホテルでお逢いしたい!!
切に願っております
読んでくださりありがとうございました
2016.5.31記
なずな