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HAMLET

2002.10.30〜31
 神戸公演 新神戸オリエンタル劇場

2002.11.6〜10
 東京公演 サンシャイン劇場


W・シェイクスピア

ハムレット・亡霊
安寿ミラ

翻訳
松岡和子

オフィーリア
植本 潤

クローディアス
吉田鋼太郎

上演台本
岡本おさみ

ホレイショー
旺なつき

演出
栗田芳宏

音楽
宮川彬良

ポローニアス
栗田芳宏

振付
舘形比呂一

ガートルード
天宮 良

ローゼンクランツ・座長・墓掘り
間宮啓行

美術・衣装
朝倉 摂

ギルデンスターン・レアティーズ
河内大和

照明
沢田佑二

のっけから、なんですが‥‥‥

いやあ〜〜〜〜、おもしろかったですう〜〜〜
かの文学の最高峰!!
シェイクスピアですよ〜
難解と、巷の凡人にはわからないのではないか?
と不安に思っていたのでありますが‥‥
おもしろかったのですう〜〜〜

実は、ヤンさんがハムレットをお演りになると知った時から
ちょっとは勉強しとかないと、わからなかったら困る、とか
シェイクスピアのこと、何も御存知ないのね、とバカにされたら困る、とか
思いまして、慌てて原作買って、
図書館でシェイクスピア、ハムレット関連の本借りて読んだのですわ‥‥
これぞ、まさしく付け焼き刃!(笑)

で、だいたいの筋くらいはわかってから客席に座ったわけなんですが‥‥‥

おもしろかったわあ〜〜〜

知ってる人も、知らない人も楽しめたんじゃないかなあ?

シェイクスピア、ハムレットに精通してる方々には
今までのと比較して、「こういう解釈もあるのかー」と改めて思ったり。
あんまり知らない人(私‥‥)には、なんだか難しく思えたシェイクスピアの世界が
至極楽しいものに思えて垣根が取れた気分。

是非是非、再演してほしいものです!!

その時は、今回見れなかった人形劇の仲間にも絶対見せたいもの!!

それでは、ミーハー観劇記、いってみよう!!

あのね、最初からグイっと引き込まれるの‥‥‥‥
冥界から響く地鳴りのような音、立ち込めた霧の中からチリーンと鳴ると
そこはもう亡霊たちの世界

「北極星の西に見えるあの星が‥‥‥」
役者がひとり喋りはじめると、亡霊役者たちが荷車をひいて現われる

その荷車にただひとり、背筋をのばして座っているのがヤンさんなのだわ!!
つばひろの帽子に真っ黒のマントをまとい
亡霊たちに引かれている‥‥

あああ〜〜〜
その姿を見ただけで
ワクワクしてしまう。
これから何が始まるの??‥‥‥と、

亡霊たちは荷車から荷をおろし、うめき声をあげながら
芝居の準備にとりかかる

亡霊たちは次々に顔をあらわし、役者として蘇る

で、ハムレットの芝居が始まるんですが、
我らがヤンさんは、荷車の上ですっくと立ったまま
でも、その
シルエットがカッコいいのですわ〜〜〜〜〜〜

「ええ、母上」これが第一声!!
もうハートはハムレットさま〜〜〜〜
喋りながら、マントを脱ぎ、それをオフィーリアに預けるんだけど
オフィーリアが妬ましかったわ(笑)
だって、オフィーリアったら、とても嬉しそうにマントを受け取って
とても大事そうに胸にかかえてるんだもん。
ずっこい〜〜〜*^^*

オフィーリアは父親ポローニアスに
「ハムレットさまとは付き合うな」と言われて「わかりました、お父様」

その芝居の後ろで実は飲めや歌えのドンチャン騒ぎ
ヤンさん、この時は女なの*^^*
頭に地味ーなグレーのリボンをちょこっとつけて
スカートまきまき、ストールまきまき
コータローさんのツルツル頭をはつきながらの酔っぱらい〜

前のお芝居を見なきゃって思うんだけど、つい目は後ろに^^;
でもね、オフィーリアとポローニアスの歌に合わせて
酒盛りも盛り上がってるので、話しはよおーーくわかるの。

それで、ドンチャン騒ぎの中から
ヤンさんとロムさん(旺さん)は麗しい男装にて登場!!
いつのまに〜〜〜!?

でも好きですわ〜、こういう登場のしかた‥‥
さっきまで、飲んだくれの城の女だったじゃないですか!
それが、突然ハムレットさま、なんだもの〜

亡霊と話し、ついていこうとする
この時ホレイショーに身をもって制止されるんだけど
そのハムレットさまが可愛いんだわ
3人の役者たちがぐるぐるとハムレットのまわりをまわり
亡霊はいつしかハムレット自身となる

父を殺したもの、それは今王冠を戴いている〜

ハムレット自身の中にある疑惑が亡霊により確かなものとされたのか
ハムレット=亡霊であるなら
ハムレット自身がその疑惑を自分で確かなものにしたとも言えるのか

ハムレットは伯父クローディアスへの復讐を誓う

決心したあとのホレーショーとの会話がイケテました!
「そうか、やっぱり」とか「知らない訳じゃないが」
とか「言おうと思えば」とか「言ってよければ」
あの『‥間‥』言い回し‥‥(笑)

悲劇の中でも笑かしてくれるヤンさんが好きよ〜!

そして、笑かして下さったかと思うと
次は〜〜〜〜

もうもうもう、私にとってのひえ〜〜〜〜の瞬間!!
オフィーリアを近寄せては素っ気無くかわし
その妖しくも心とろかすような視線でまた呼び寄せては
かわす‥‥‥

ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ほんでその次はもうもうもうもう!!

ぎえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜なのであります!!
オフィーリアを抱き寄せたかと思うと、
その首を力を込めてしめる
そのハムレットの狂気の奥の虚無
ふたたびオフィーリアを
その骨がギシっと折れそうなほどの力
を込めて抱き締める

ぎえ〜〜〜
されたい〜〜〜〜
オフィーリア可哀想なんだけど
うらやまひい〜
でも、オフィーリアにはなりたくないのね
だってオフィーリアになっちゃったら
その時の、ハムレットさまの
苦悩と狂気と虚無をないまぜにしたお顔を見れないもの。

やっぱし客席からミーハーするのが一番ね*^^*

と、ここまではストーリーに沿ってミーハーしてみたのですが
ここからは、ちょっとストーリーどおりじゃないかも
お許しくだされ

そのあと、クローディアス、ガートルードは
ギルデンスターンとローゼンクランツを呼び
ハムレットの様子を見て欲しいと言い、
ボローニアスはハムレットの気が変になったのは
オフィーリアにふられたからだって言うの

それで、ハムレット&ロゼギルの椅子取り再会シーンなのよね。

早口椅子取りゲーム!!
すんごい活舌!!
あのセリフをあのスピードでまくしたてながらしかも
椅子取りゲーム!!
おもしろかったわ〜〜〜

そして旅芸人一座のご到着〜
なんて陽気な旅一座
今でもあの曲は頭に浮かぶもの!
で、コータローさんと天宮さんと再会の挨拶をしたあと
あのね、大きな声じゃ言えないんだけど(笑)
密かにはまったハムレットさまのセリフがあります‥‥
「ご婦人のオタカラ」コソコソ‥‥
いややわ〜〜、めちゃくちゃエッチイ〜(笑)

参りました!

でもね、どんなに下世話な話しをなさっても
ハムレットさまは王子さまなの。
それに必要不可欠な『品』というものが、
安寿ミラさまには備わってらっしゃるのね
だからやっぱし好きなのよ〜

そしてお芝居を見せてもらう前にハムレットさまが
大見栄を切るところ
「老たるプライアムをば求めたりー!」
うわあ〜、あんなヤンさん初めてーって思ったわ
ヤンさん、素敵素敵!って心の中で拍手喝采!

そして役者たちの芝居が終わって、すっと立ち
「けっこうだ‥‥‥」
ひやあ〜〜、クールやわ〜〜〜
そして殺人を芝居であぶり出そうと独白‥‥

で、芝居の前にいよいよ

to be or not to be‥‥のシーンなのですわ
「生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ‥‥」
麗しのヤンさんからこのようなセリフが聞けようとは‥
今迄生きてきて良かった‥‥

そしてオフィーリアを見つけると
とたんにイケナイ王子さまに!

嘲るように「お前は貞淑か?」「お前は綺麗か」
そして、オフィーリアの後ろから肩ごしに囁く
「心からお前を愛したこともある」

ひええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

そんなん言うたらアカンし〜〜
神戸の千秋楽なんて、その細い指先で
じゅんじゅんオフィーリアの耳もてあそびながらおっしゃるのよ!!

ひえええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

と、興奮してたら
じゃまくさそうに「尼寺へ行け」
「バカと結婚しろ」
「尼寺へ行ってしまえー!」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

行きます!!
尼寺へ行きます!!
誰が貴方にさからえましょう!
ファンみなうち揃いて尼寺へ参りますわ!!

いざ、尼寺へ!!
♪いざ、行けや、なかまたち!めざすは尼寺〜♪

とまあ、ミーハーとはこんなもんですが‥‥
これで私は納得したのです
オフィーリアがほんとに狂っちゃうことが‥‥

で、ハムレットの「きちがいに戻らなくては」というセリフ
で、一幕は終わり。

さて、一部が終わり、なかば放心状態にてトイレに集う我々‥‥
「良かったあ〜」「最高やわ〜」

と感動を分かち合うのも半分にしてイソイソと5分前には客席へ!
何故って、舞台では2幕の準備が始まるんだもの

スタスタスタと袖から出て来られる役者さんたちが、
釣り下げられたテントの間を長い棒で開け、
そこへスルスルと降りてくる紗幕をセット

ヤンさんは2幕で使われる王冠を紗幕の後ろに置いたり
マントを用意されたり
神戸の千秋楽では、王冠が行方不明になったようで
あちこち捜しまわれて、キャストのみなさんも心配そうに
トランクをのぞいたり見守っておられ
やっと見つかってヤレヤレって時に
コータローさんが「すみませんも言わないね〜*^^*」
ヤンさん、ペコリと頭を下げられて
可愛かった〜〜〜
デレ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

千秋楽で行方不明になっていた物は
王冠を止めるピンだったそうです。

ささ、2幕ですよお〜

拍子木の音にトザイトーザイ!!
さすがヤンさん!ロムさん!
宝塚でしっかり身につけられたお作法、三つ指ついてのお辞儀がきれい!

と思えば幼稚園のお遊戯会のような曲で元気に行進!

劇中劇の始まり〜〜
ここはもう完全お笑い版なんですね
コータローさんのお月さま!
栗田さんの浄瑠璃節、じゅんじゅんさんのお笑い女形
笑いが止まりませんでしたわ〜
ヤンさんはといえば、劇中劇の「王」
胸にひし形二つ並んだお衣装で
じゅんじゅんさんとバレリーナ*^^*

ヤンさんの前でおつむをなでなでするジュンジュンさんは
ヤンさんに平手でパシッ!とされるにふさわしい
迷ヒロインだった

さあ、毒を耳に流し込まれてもがき苦しむヤンさんを見て
クローディアスは我を失いあわてふためく

見たか?!
と、ホレーショーとうなづきあい

♪手負いのシカは泣かせとけ〜
荷車の車輪に足をかけ、歌う姿のりりしさよ〜〜
カッコええわ〜〜〜

こうして父のかたきは叔父クローディアスと確信を深め
いよいよ実行へ!

クローディアスは自らの所業に苦悩する
その前に現れるハムレットは広げると中は真っ赤なマント‥‥
真の復讐とは何か‥‥
悪行にひたっている時に復讐しなければ‥‥と

なんだか、悪魔のようなハムレットだったわ
クローディアスはハムレットを遠ざけようとはかる

「母上、母上〜」
と今度は
天使のような無邪気な声

息子を諌めようとする母に
言葉の刃(やいば)を突き付けるハムレット
そしてついに真の刃を振り上げ
幕の影にいたボローニアスを殺してしまう

息子の殺人を目のあたりにした母親ガートルード
人を殺しておいて平然と自らを正当化するハムレット
「息子は狂った」とガートルードは愕然とする
真の刃を母親にも向けようとした時
父王の亡霊がハムレットの前に現れる

「何のご用ですか?」

この時のおびえた表情がたまんないんですわ〜〜〜
そんなにおびえないで〜〜と思いつつ
その顔がいいのよ〜〜

と相反する感情が我が胸の中で渦巻くのであります

哀れな老人ボローニアスの物言わぬ身体をひきずっていくハムレット

それを震えながら見送るガートルードは
一部始終を夫クローディアスに打ち明けてしまう

クローディアスはハムレットの命を絶つと決意

怒り狂うクローディアスの前に何もかも知らぬふうのハムレットが
風のように現れる
ドロドロと煮えくり返ったクローディアスの心
それを意にも介さぬハムレット
ハムレットのポニーテール(?)をぎゅっとつかむクローディアス
その時、
もうちょっと痛がってほしかったかも
痛がるヤンさんの顔ってなかなか素敵なんだもん^^;

「さあ、イギリスへ出発だあ〜」と
あっけらかんと退場
この時は自分が殺されるなんて思いもしてなかったんだろうな〜

イギリスへ向かったハムレット

デンマークではあらま大変
父の死を知った息子レアティーズが怒りをぶちまけ
クローディアスがなだめすかし
そこへオフィーリアが死んだという知らせ

ハムレットはといえば乗った船が海賊に襲われ単身デンマークに立ち戻る
その時に自分の命を絶てという勅書に気付き
自分の名のかわりに使いの者と書き換えロゼギルに持たせイギリスに向かわせた

有名な墓掘りの場面!
墓掘りは間宮さん‥‥‥良い感じの方ですよね〜

ヤンさん、ロムさん、間宮さんのコンビーネーションが
なんかほんとに感じ良くて悲惨で暗い場面のはずなのに上品なの
頭蓋骨のボールも良かったわ〜

ハムレット「その原因はどこにあるんだ?」
墓掘り「どこって?ここデンマークよ」
このやりとりが大好きなのよ〜〜

けどけど、墓掘りの掘ってた穴は「美しいオフィーリア」のためのものだった

「俺はオフィーリアを愛していたあ〜〜」

だったら、だったら、だったら、なんであんな冷たい仕打ちを
オフィーリアにしたのよ〜〜〜!!
バカバカバカ!!と、
ハムレットを抱きしめたかった〜〜〜〜

「実の兄が4万人束になっても俺ひとりの愛には及ばない」

だから、オフィーリアは死んじゃったのよ〜〜
バカバカバカア〜〜〜
でも、ハムレットは死んじゃだめ〜〜
ハムレットは王子さま、アイドルなんだから〜〜〜

それなのに、それなのに
どんどん死の淵へと追い込まれていくハムレット

とうとう始まった死の決闘、血の争い

「来い〜!」と腹の底からわき上がるハムレットの死への進軍

眼光だけが
ハムレットの‥‥、レアティーズの‥‥‥
クローディアス、ガートルードの、ホレーショーの
眼光だけが闇に浮かび上がる
10の瞳

この場面、思い出すだけでもドキドキする
「1本!」と一突きするヤンさんのカッコよさももちろん
あの曲、演出、照明、
シンバルのビシ!という音、宙をさまような動き
ああ〜〜、最高やわ〜〜なにもかも
しびれました〜

「陰謀だ!」という叫び
刺された腕を見て愕然とするあの表情も何もかも
忘れられない‥‥

「ホレーショー、俺はもうだめだ‥‥」「俺は死ぬ‥」
言わないで〜〜
でもそれが聞きたい〜〜〜
もうもうもう最高でございます!!

本を抱き締め慟哭するホレーショーも素敵だった〜〜
ほんとうなら、ホレーショーに抱き締められて死ぬのよね
でもそれをしないところがいいのよ!!

「こと、ここに至ったいきさつを是非‥‥あとは、 沈黙 」

ああ〜〜〜、なんてセンスがいいの〜〜〜

演じ終えた役者たちは、トランクをかかえ、また旅に出る

荷車を押し、ひっぱり何も言わず
演じることが生きること

哀れな亡霊たち

涙がこぼれてしまうのは、しかたないでしょう‥‥‥

この荷車上のヤンさんが、私は大好きでした

まだ、きっとどこかを彷徨ってるだろう
旅一座の亡霊たち‥‥

きっと、近い内に再演をと、
願わずにはいられません!

(そして2004年2月、再演決定*^^*)

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