DANCE ACT

ニジンスキー

〜神に愛された孤高の天才バレエダンサ〜

2014.4.23(wed)〜4.30(wed) 銀河劇場

 CAST

東山義久
ヴァーツラフ・ニジンスキー

安寿ミラ
ブロニスラヴァ・ニジンスカ


岡幸二郎
セルゲイ・ディアギレフ

遠野あすか
ロモラ・ド・ブルスカ

佐野大樹
フレンケル医師

舞城のどか
ダンサー

穴井豪
ダンサー

長澤風海
ダンサー

加賀屋真聡
ダンサー

和田泰右
スタニスラフ・ニジンスキー

STAFF

脚本・演出 荻田浩一
音楽 斎藤恒芳
振付 平山素子 港ゆりか

ニジンスキー再演!

初演と同じ台本なのに違うのよねと
トークでおっしゃってらした通り

振り起こしではなく
ここでこんな動きと新たに振付られたと聞きました

ニジンスキーの有名なダンスナンバーは
「牧神の午後」から「春の祭典」や「薔薇の精」などなど
ニジンスキーご本人のダンスは観たことがないので
よく分かりませんが

ユーチューブでよく似た感じの
「牧神の午後」
それとバレエ・リュスのバレエ(ダンス?)
はいくつか見てみました

バレエなのか?コンテンポラリーなのか?
どの範疇にも納められない独特の雰囲気を持つ
バレエ・リュス

これが岡さん演じるディアギレフがプロデュースした
カンパニーでありステージなんですね

美しい少年たちをはべらせ
もちろんニジンスキーもオレンジのようにもてあそび(おい・笑)
独断的なようだけど
そうでなければあの世界はきっと創れない

俗人であり独自の美学をもってバレエ・リュスを作り上げた人・ディアギレフ
岡さんそのものように感じられました



ヤンさんは初演に同じく、ブロニスラヴァ・ニジンスカ
ニジンスキーの妹・ブロニャ


彼女もまたダンサーであり振付家なのですよね
ヤンさんもそう!
これだけでもヤンさんにピッタリ!

シャープなダンスで若者たちを従え
ニジンスキーとのタンゴ
ドレスでのダンス
どれも素敵で

ややこしい説明のセリフもキチっと気持ちよく聞かせてくださるし
歌でも魅了してくださる

喋って良し、歌って良し、踊って良し
そんでもって
きれい〜〜〜〜〜〜


黒のベルエポック風変わり燕尾の似合うことったらもうね
紅い大きな花飾りのついた帽子もカッコよくて
肩からふわりとかけた毛皮だってもう
あんなの似合う女優さん、そんじょそこらに居ませんから!

上着を脱がれ白いふりふりのブラウスにクロのパンツ姿は
オスカルさまの再来か!
私は愛の巡礼〜〜〜♪
いやいや
私は兄の巡礼〜♪
似合いすぎです!

そんでもってグレーのドレス
アールヌーボー風の絵画でよく見る美人画から抜け出たような美しさ!
袖やスカートの丸いふんわりした曲線も
見事に着こなされて
2幕では上着っぽいものをはずし
靴も脱がれてダンスを踊られるのです

女神だ〜〜〜!!!!

ほんっとにキレイ!
どや!とドヤ顔したくなってしまいます

そして全体に醸し出される姉御感

ひざまづきたくなる姉御感

冷たく突き放してもらいたくなる姉御感


クールなまなざし、ニヒルな微笑に垣間見える
兄への憧れと嫉妬
狂えない自分をかかえて生きるニジンスカの寂しさもまた
胸にせまり
初演より人間っぽいニジンスキーの妹ニジンスカだなって感じました

ロモラの遠野あすかさん
アフタートークでおっしゃってらしたように

初演ではただただタカピーな高慢ちきにしか見えなかったのが
自分は平凡である
高名で天才的なバレエダンサー・ニジンスキーの妻の座を勝ち取り
それにしがみつく女をしっかり演じてらして
とても良かった

平凡とはいえ上昇志向はかなり強い方ですよね
父は貴族、母はハンガリーの大女優!という名刺代わりの家系を
葵のご紋のように差し出して(突然和風か!)
1等船室に紛れ込み、ついにニジンスキーをわが物とするんですから
どこが平凡なん?って思ってしまいますが

ロモラ自身の価値観からすると
自分自身にまわりから一目おかれるような才能がないってことが
劣等感だったのかもしれないですね

そして佐野さん演じる医師フレンケル
再演では大人しくていい先生で、なんでロモラと不倫しちゃったの?って感じ

ニジンスキーの主治医ではあるけれど
ロモラのかかえるトラウマのようなものにも気づいていて
機会あるごとに「そのこだわりを捨てて自由におなりなさい」というようなことを
助言していて、立派な医師さんだなって思ったの
でもそれが情を結ぶまでに発展するほどの男と女にはあまり見えなかったです

ただロモラとフレンケルの関係を
ニジンスキー(バッツァ)は動物的直観で知ってるなって感じた瞬間があったので
フレンケル先生はそんなニジンスキーの目が怖かったのかななんてね
勝手に妄想していました



バッツァとブローニャの兄・スタニスラフを演じた和田泰右さんもすごかったです

眼が目が怖かった〜〜〜

イッチャッテル目付きで終始ステージをうろうろ
それがとても不気味で純粋なんですよね
ステージはもしかしたらバッツァの頭の中かもしれないって思ったりもしました

誰かのセリフでありましたけど
どちらが狂っているのか分からなくなるって
狂った姿が純粋すぎて・・・

そして素晴らしいダンサーさんたち
舞城さん、長澤さん、穴井さん、加賀谷さん


バレエもコンテポラリーも気持ち良いほどに踊ってくださり
ジャンプもそりゃあ高いし
身体反らせばどこまでもって感じだし

クルクル回られたあとには拍手したかった

ダンスナンバーひとつひとつに拍手を送りたかったです!



そしてニジンスキー(バッツァ)を演じ踊られた東山義久さん

半獣といってもいいようなダンスも
身体の中からにじみ出る粘っこい動きで観る者の心に絡み付いてくるよう

男性ダンサーさんたちとのダンスは迫力満点!
そろってジャンプされるシーンなんて
オ〜〜〜〜〜!でした

それに薔薇の精
薔薇ばらバラを身体中にくっつけて
踊っちゃいますからね
ネットで調べたニジンスキーご本人の姿をほうふつさせる雰囲気でした

ディアギレフとのナンバー
ヤンさんはオレンジが苦手とトークでおっしゃっていましたが
私はレースの方が苦手でした^^;

半獣っぽいダンスが多い中
ヤンさんと踊られたタンゴは唯一「人間」(おい)
燕尾で踊るタンゴは見とれる以外ないですね
でれ〜〜〜〜です
ただひたすらデレ〜〜〜〜〜〜
ヤンさんは楽日前でまだ初日が出ないとおっしゃってましたが
楽日はどうだったんでしょうね

私には初日どころか☆3つです!って感じでしたが

東山さんはダンスだけでなくセリフもあるのですが
これがね、初演とはずいぶん違うな〜って感じたのです

初演はただボソボソ・・・・ボソボソ・・・・
おどおどしながらボソボソ・・・

でも再演では意志が感じられる場面も多くありました

ニジンスキーの特徴でもある

自他の区別がつかなくなる

ぼくはぼくだ、が
いつのまにか
ぼくが○○だ!になってしまう

そしてついにぼくが神だ!

他者にまるごと没入してしまい
踊りだすとその世界がすべて
そこで一番自由になれる!

そんなニジンスキーが舞台上で息づいていました!



とは言うものの、初演のボソボソとあまり感情がない感じも好きだったんですよね

100%表現されちゃうと
観てる方の想像力が刺激されない

観てあれやこれや想像する楽しみが無くなっちゃうから

答えがひとつしかない舞台なんてつまらないもの

荻田先生のステージは想像の余白があるから好きです!

次の次も荻田先生の「アルジャーノンに花束を」

オギーワールドに咲く大輪の花・ヤンさん!

ニジンスキー再演、観ることができて幸せでした!

キャスト・スタッフのみなさまも
凄いステージを創り見せてくださりありがとうございました!



おわり

読んでくださってありがとうございましたm(__)m

2014.5.11
なずな記

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