Ueda Haruka Dance Theater
Piaf
音楽舞踏劇
私は何も後悔しない エディット・ピアフ その愛の軌跡


2011年12月10・11日
日本橋三井ホール


CAST

エディット・ピアフ    安寿ミラ
 ジャン・コクトー   玉野和紀
 外科医   佐藤一哉
 看護婦/踊り子   上田はる美、平多利江、富村京子、池田美千瑠
 テオ   遠山大輔
 ピアフ父親   上田遙
 プティ・ルイ   TAKA(Bigs Under Grove)
 外人部隊の兵士/10フランの男/ボクサー   古賀豊
 アルベール   中塚皓平(DIAMOND☆DOGS)
 ロジータ   舞風りら
 レモン・アッソー   宮川彬良
 マレーネ・デートリッヒ   尾本安代
 マルセル・セルダン   藤野暢央

MUSICIAN

ピアノ    宮川彬良
ベース   一本茂樹
アコーディオン   荒木奈緒子
 ドラム   タツル 



日本橋三井ホールは天井が非常に高い箱型の大きなホール

天井には至る所に照明などがぶら下げられるようになっている

前方の舞台は中央が四角く張り出していて
ヤンさんはそれを「でべそ」って言うんだっておっしゃってましたが

四角く張り出した舞台の三方を囲むように
椅子が並べてあり

ホールの後方は可動式の段にシアター風の座席があります

土曜のマチソワ、日曜ソワレ千秋楽の計3回観ましたが

初日マチネは舞台上手斜めから

ソワレは下手斜めから

千秋楽は上手真横から見たので

見るごとに新たな発見もあり1回ごとどれも大切な観劇となりました


和風でシンプル、しかもゴージャスなロビーから
ドリンク券をもらい
長いエスカレーターを上っていきますと
劇場階に到着します

ドリンクをいただきホール内にはいり
今までになかった独特の雰囲気にしばらくへえ〜〜と眺めまわりました

BGMはラグタイムピアノ

まもなく開演のアナウンスが流れてしばらくすると
照明が落ち

宮川彬良さんはじめミュージシャンの方々がご登場



カツカツカツカツ・・・・・

カツカツカツカツカツ

足音です

左後方からジャン・コクトー(玉野和紀さん)が登場

出べそ舞台前方の階段をタップ踏みながら上がり
上がったかと思うとダダダダと降りたり
すごいテクニックウ〜!

舞台でも四角くタップ踏みながら
次は帽子技

下から上の手に吸い付くように飛ぶハット

へえ〜〜〜〜と見とれてる間に、なんと!

舞台後方、ミュージシャン&舞台にしつらえた客席部分が
じわ〜〜〜〜と高くなってたんですね〜〜〜

こうして舞台はでかいデベソのT字舞台となったわけです

するとピアノの奏でる美しいメロディ

それに乗って外科医さん(佐藤一哉さん)、看護婦さんたち(上田さん平多さん富村さん池田さん)が登場

そして病院着で歩く姿も痛々しいピアフ(安寿ミラさん)が下手よ
白いスーツのテオ(遠山大輔さん)に支えられて登場

なんだかこの場面だけで泣きそうになってしまいました

音楽の美しさ物悲しさと、ヤンさん演じるピアフの病いに侵され背中丸めた姿の悲しさに・・・

テオに見守られながらベッドに寝かされると


ピアフの父ちゃん登場〜!
なんと上田遙さんじゃないですか!

エディット〜〜〜!!!
エディット〜〜〜!!!

ジャン・コクトーは話し始めます

ピアフの父ちゃんは大道芸人でエディットを連れていた・・とね

するとベッドで寝ていたピアフ、
病院着をパッと脱ぎ捨て17歳の女の子に!

ローウェストのお茶目なドレスに可愛いベレー

とっても似合ってた!


父ちゃんの芸にくっついていってた帽子にコインをもらい

コインをもらい・・・

コインをもらい・・・

ってこれがいつも同じ人で、エディットはその若者がとても気になります

この時の音楽は「可哀相なジャン」だったかな〜

フランスモード全開だったような記憶が・・・

そしてその彼、プティ・ルイ(TAKAさん)と心通わせ

父親から逃げるように小さな幸せに飛び込みます

ここの振付がとてもかわいらしくてね

ジャン(コクトー)とルイがエディットを父ちゃんからかばうの

そして父ちゃんはとうとうエディットを見失い帰ってっちゃうのです

エディットとルイの小さな幸せ

おなべでご飯つくって

そうそう、エディットがね、エプロンかけてるんですよね

可愛いのなんの!
新妻ですよ、新妻!
新妻ヤンさん
わーい*^^*


ご飯が終わったら今度はボールで遊ぼうよ!で
3人でボール遊び

あれ?ボールがない!とルイとジャンが振り向いたら

エディットも振り向くとお腹にボールが!

オメデタか!(笑)

この妊娠ボールは最高でしたね!

ヤンさん・・・じゃないや、エディットつわりでオエ〜〜

爆笑ですよ、この「間」


大きなお腹かかえて袖に消えるやオギャ〜〜!!

エディットとルイは可愛い赤ちゃんを連れて出てくるんですね

ジャンがいないないばあ〜〜とか
逆さに抱いたりとかして笑ってると

どこからか海外部隊の兵士がひとり歩いてくるではありませんか!

エディットは兵士(古賀豊さん)が気になります

最初はチラ見、だんだんチラチラ見、やがてガン見

兵士に色目を使うエディットにルイは愕然とし

エディットは兵士と去って行っちゃうのです

可哀相なルイ

エディットに裏切られたプティ・ルイの悲しみのダンスです

TAKAさんの身体能力ハンパないですね〜!

デベソ舞台がまるで体操競技の床運動の床みたくなって

そうそう、TAKAさんは一言も喋らないんですよね

エディットのこと好き?って聞かれるとバク転して「Yes」
よって、エディットが逃げちゃった〜も
俺は裏切られた〜〜も
全部ダンスで表現しちゃうのです

全部、伝わってきました!

そしてルイは過去の男になるのです

ジャン・コクトーはそれらをつぶさに見守り、ペンで書き付けています



さて、場面は変わり、ここは酒場

派手な衣装の女たちが嬌声をあげて踊っています

その中にエディットもいます

エディットは白いブラウスに黒いブラ(おい)
大きな花模様の黒のスカート


タバコを吹かせ、お酒あびるように飲みながら女たちに混じっています

ジャンは言います


兵士は死んで、今は女のヒモが生業のアルベール(中塚皓平さん)がエディットの恋人だと

イケメーン♪

カッコイイ〜〜〜♪

でもチャラ男〜〜〜

アルベールは本当は酒場の女S・ロジータ(舞風りらさん)のヒモなのよ

でもエディットのいい人なのね

毎日を享楽的に生きるなら、楽しそうな男・・・

けれどそこにルイがやってくる


酒場には不似合いな野暮ったいルイは
笑い者にされるけど
ルイは負けてません!

ルイ VS アルベール

迫力あるダンスだった〜!

そうそうもっちろんこのケンカもダンスで表現です

結果は・・・・アルベールの勝ち

ルイは力なく去っていきます


アルベールと女たちの陽気な踊り


そこに黒い布、白いユリが飾られた乳母車を押してルイが現れます

エディットはわが子マルセルの死を知るのです

そんな失意のエディットにアルベールは売春を強要します



いかにも金持ちそうな男(古賀豊さん)を呼び止めて
いい子がいるから遊んでいかないか・・と

これも全部ダンスで表現です

エディットは拒否し、ロジータは止めるような止めないような

結局アルベールに押し切られ男の元へ行くのですが

初めて身を売る戸惑い、思い切る様子も全部ダンスで分かりました

男はそんなエディットに何もせず10フランをくれ去って行きます


この時、エディットは何を感じたのでしょうね

こんな男もいるんだな・・・って

手にした10フランの温かさ・・・

けどそんなものはすぐにぶち壊されてしまいます

10フランを取り上げようとするアルベール

ほんの小さな愛も、そしてわが子も失い

エディットはしだいに錯乱していきます

酒に溺れ、電話が鳴り・・・

医者や看護婦たちと戦いシーツと戦い

そんな時、作曲家・レモン(宮川彬良さん)から1本の電話が入り





2幕

客席左後方よりジャンに連れられエディット登場

小さな襟にリボンをつけた白のブラウス
タイトなスカート

バタバタと結構かっこ悪い歩き方です

またもや探しにきた父ちゃん、うまくまいて

なんでこんなところに連れてこられたのかよう分からん風で

ジャンはエディットを作曲家レモンに紹介します

このへんのブッキラボーさがもうヤンさん*^^*
最高に可笑しい


では、発声練習

レモンのピアノが♪ドミソミド〜〜
エディット、あああああ

もっかい、♪ドミソミド〜〜
エディット ああああ〜

どーゆーこと?とレモンはジャンに尋ねて
気を取り直し

もっかい♪ドミソミド〜〜
あ〜ふぁ〜〜あ〜〜

傑作でしたね〜

きっちり笑い取れますもんね

レモンもこれはこの子には向かないんだなと気づき
自由に歌わせてみると
ブラッボー!


君は今日からスターだよと
ブルーの水玉ワンピースを手にライトを浴びて

イッツァショーターイム!

♪ミロール ジャン・コクトーと踊り子たちによるダンス

エディット、水玉ワンピで登場

♪ざわめくダンスパーティー

♪回転木馬

♪水に流して


3曲メドレーで歌い拍手喝采をあびるエディットを訪問したのは

なんと女優・マレーネ・デートリッヒ(尾本安代さん)

尾本さん、マレーネ・デートリッヒ!と紹介されると
誰もが「ほんまや、デートリッヒや」と納得しちゃう貫禄と女性らしさ

またデートリッヒが来てくれたときの
エディットの表情がもうね〜
たまらんのです

拍手喝采浴びてたけど本当は寂しかったの
大好きなデートリッヒが自分のために来てくれた
ちょっとつつけば、泣いてしまうだろう
ほんとうに薄い薄いガラスのような心で
精一杯微笑んだらこんなぎこちない笑顔になっちゃいました
っていうような

上目遣いの恥ずかしそうな表情は
エディット・ピアフそのもの!


デートリッヒの腕に包まれてエディット退場



さて、とまたジャンが話し出します

エディットが本当に愛した唯一の男、マルセルについて

彼はプロボクサー

マルセル(藤野暢央さん)が客席より登場です

ジャケットをきちんと着込み鍛えられたバレエを披露

黒のシンプルなドレスのエディットも登場し
デュエットダンスです!

これで忘れられないのが

世にも美しいリフト!

マルセルの逞しい腕に高々とリフトされるエディット
いえ、ヤンさんの美しいフォルム

うっとり見とれてしまいました。


そしていよいよ始まるボクシングマッチ

デベソ舞台はリングになり

マルセル側のセコンドには中塚さん
試合相手は古賀さんでそのセコンドはTAKAさん

ジャケットも脱ぎボクサースタイルの二人が戦います

ゴングを鳴らすのはジャン

もっちろんこれもダンスです!

ドラムとベースだけの迫力あるリズム

パンチが飛び避けまたパンチ

1ラウンド終わると、ドラムの音を引き継ぐように、ジャンが中央でタップ!

この小刻みなリズムが心地よくしかもテンションがあがる感じで

1ラウンド、1ラウンドと済んでいき

いよいよ決着が着くかという時、動きがスローモーションになり
応援しているエディットもロジータ?もスローモーションになります

そしてマルセルは劣勢に・・・

するとエディットが台に飛び乗り
「神様!どうかあの人を勝たせて!あの人はこの試合に全てを賭けているの
私は何も要らないどんな苦しみも全部私にください!
だからあの人を勝たせて!」
・・・・というようなことを神に祈るのです

ゴングがなり試合は再びアップテンポに!

マルセルのパンチが決まり、相手はノックダウン

マルセルは見事勝利を収め、二人は固く抱き合います

けれどもそんな幸せも長くは続きませんでした

マルセルの乗った飛行機が墜落しマルセルは帰らぬ人となってしまったのです。



エディットは再び酒に溺れ、病に倒れ
錯乱状態となります

そしてなんとか歌おうとするエディット
ジャンやデートリッヒに励まされマイクの前に立ちましたが
倒れてしまいます

このことはさっそくニュースとなり
ジャンがその記事を読んでいきます

エディットは良くなら医師や看護婦たちに追い詰められていきます

そんな時、20歳年下の男性テオがエディットにプロポーズします

もうベッドから立ち上がる力もないエディット

そのエディットに花束を捧げるテオ

良かったわ〜〜〜
このシーン

このプロポーズもダンスなのです

遠山さんの思いのこもったダンス

そしてエディットは花束を受け取るのです

ジャンもデートリッヒも温かく見守っています



そしてひとりマイクの前に立つエディット

ここからのエディットの独白がもうたまりませんでした

自分が生きてきた道をふりかえり

たくさんの気づいた財産も全て無駄に使ってしまいました

けれども私は人を愛しました

そして今私はテオを愛しています

最後の恋人です

テオは20歳も年下で、親子といってもいいくらいです

それでも私はテオを愛しています

今でもエディットの・・・ヤンさんの声が聞こえるようです


そして愛したひとたちがエディットのところへやってきます

ルイ・・・・・・といだきあい

アルベール・・・・・といだきあい

10フランの男と、マルセルと・・・・・いだきあい

そしてテオの腕の中で息を引き取るエディット

もう涙ぼろぼろでした

愛した男たちに高々と担ぎ上げられ

テオに抱かれて静かに人生から舞台から去っていったのでした



舞台にひとり立つジャン

これからどうなったか・・・もっと語りたいところですが

自分にももう時間がない

エディットが旅立った4時間後に私もエディットと同じ世界へ旅立つことになるのです

玉野さん、すごいです

エディットに流した涙を丁寧に拭いてくれるような

そんな語り

台に座って、ポトリと帽子が落ちる

ジャン・コクトーの死

台に横たわり、白いシーツがかぶせられ

レモンが帽子をそっと置き

ライトダウンして幕





さ〜〜カーテンコールですよ〜〜〜

玉野さんが飛び起きてご挨拶

順にみんなが出てきます!

踊り子さんたち、TAKAさん、中塚さん、佐藤さん、尾本さん、古賀さん、舞風さん、藤野さん、遠山さん

みんながずらりと並んだところにヤンさんご登場〜〜〜!!!

わーーい!

場内大拍手です!


後から宮川彬良さんと上田遙さんがご挨拶されて
楽しい手拍子で何度も何度もアンコールが続きました

幸せな時間だった〜〜〜〜

歌うピアフを見事に踊ってみせてくださったヤンさん!

歌うピアフと踊るヤンさんが最後にピシっと焦点が合うようにひとつになり

エディット・ピアフの愛を抽出した人生が描かれたように思いました

タンゴを見た2週間後に早、こんな素敵な舞台を見せてくださるなんて

ヤンさんは本当に素晴らしいです!

ヤンさんファンって本当に幸せ!

ありがとうございました*^^*



おわり

読んでくださってありがとうございましたm(__)m




2011.12.20記 なずな

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