the musical
トム・サザーランド新演出版

ミュージカル　タイタニック
ピーター・ストーン＝脚本　　モーリー・イェストン＝作詞・作曲

TOKYO 2015/3/14(sat)-3/29(sun) Bunkamura シアターコクーン
OSAKA 2015/4/1(wed)-4/5(sun) 梅田芸術劇場　シアタードラマシティー

１回きりの航海に三度乗船

三度泣く

素晴らしいステージでした

映画「タイタニック」のミュージカルバージョンじゃないの〜！？
ちげーよ（笑）

船首であのポーズやらないの？
やらねーよ（笑）

チケット１１０００円もするんだぜ
ちゃんと調べてから来いよな

おーっと本性出ちまった（笑）
アリスさんに「言葉づかい！」って叱られちゃう＾＾；

ってところでミーハー観劇記いってみよう！



ヤンさんがオーディションをお受けになられたという

これだけでファンにとっちゃセンセーショナルな始まり

勝ち取られた役が一等客の老婦人アイダ・ストラウス

夫イシドールと運命を共にする夫人の役だ

「老婦人」という役柄に多くの友人がショックを受けたと言っていたが

何故か私はノーショック

むしろ、キタ〜〜〜〜〜〜〜！！！！

美しいに決まってる、毅然となさってるに決まってる

旦那さまに愛され愛され愛されつくされた奥さまに決まってる

信じて疑わぬ自分のお気楽さになかばあきれもするが

ヤンさんは素晴らしいアイダ・ストラウス夫人を見せてくださいました！

ゴージャスな衣装、華やかに結い上げられた髪

楚々として気高い立ち居振る舞い
何もかもが美しくしなやか

スラリとした姿がどこにいらしても輝いてみえる

ファンだもーん！

乗船して東京公演では客席通路を歩いていかれた
目の前を歩かれた・・・目の前を・・・
優しい目でだんなさまと・・・
黒いコートドレス、黒の羽帽子・・・シックでゴージャス
ご年配のご婦人のわりには美しすぎますが
ヤンさんですから当然です！

再び舞台には乗員乗客勢揃い
並んでチケット破り捨て、だんなさまイシドール（佐山陽規さん）の腕にヒシと身を寄せるアイダ
イシちゃんいいないいな
イシドールさんはジェントルマンそのものでしたね〜

こうして船は無事出航するのですが
ここまでで何曲あったことか・・
初めて歌声を聞く方がほとんどでしたけど
みなさん凄い！！
歌唱力ハンパないとはこのことね

特にバレット（藤岡正明さん）の力強く心こもった歌声にはためいきが出るほど聞きほれてしまいました

船の出航のナンバーから、タイタニックがどうやって造られたか
三等客から二等客、一等客の紹介ナンバー
三等客三人のケイトたちは夢を語り
二等客・二組の男女は新しい生活を！
一等客の紹介はセレブに憧れるアリス・ビーン（シルビア・グラブさん）が歌う
すんごい早口の歌でしたよね〜

ソロもコーラスも幕開けから感動

実際これがラストまで緩急もちろんありますが
とぎれることなく続くわけです

素晴らしい！！

まだ船は港を出たばかりなのにこんなに語っちゃったら終わらないわ

先へ進みましょう



憎たらしいのはイズメイ（鈴木綜馬さん）ですよ

なぜ急がせる？なぜスピード出させる？そんなに記録をぬりかえたいか！

優柔不断なのは船長（光枝明彦さん）ですよ

なぜイズメイのご機嫌をとる？航路を北に取った？

気の毒なのはアンドリュース（加藤和樹さん）

自分の造った船なのに、船長の権限は自分にはない

ここで話は元に戻りますが

加藤和樹さん演じるアンドリュースは開場した時から
舞台上で芝居をしてらっしゃいます
設計士として！

開演少し前になると場内も薄暗くなり
オケのチューニングの音が聞こえてくると
客席は水をうったように静まり返り
数分間のアンドリュースの無言のひとり芝居に引き込まれました

イズメイの鈴木綜馬さん、船長の光枝明彦さんは
いわずもがなの名優

船を導くべき三人のやりとりがあり

乗員たちの悲喜こもごも

機関士たちの汗と石炭にまみれたナンバーが
一等客のディナーの準備にかぶる演出

機関士が土足で踏み鳴らすテーブルでディナーですからね
石炭で汚れてるんちゃうんとやや違和感
けど皮肉の象徴かもしれんと考えたりしつつ

バレットがストンとテーブルから降りた時にはディナーの準備が出来ていて
さあ、ディナーだ！って思ったとたんドンガラガッシャーン！
こけてます。古川さん（笑）

一等客の登場に古川給仕係を指導する一等客室係エッチス（戸井勝海さん）

シルバーグレイのお衣装のアイダとだんなさま

エレノア（菊地美香さん）にマデリーン（関谷春子さん）
このお二人はメインは三等客のケイトですけど
一等客のビジュアルも華やかでよくお似合いで赤ちゃんを抱いてたり
身ごもっていたりで印象的でした
則松亜海さんの真っ赤な衣装姿もスラリと艶やかでした

壇上ではベルボーイ（矢崎広さん）がドラをたたき
舌足らずな口ぶりでディナーを知らせます
言い終えるとホっとするのか「えへ！」
可愛かった〜！

ディナーにはもちろん船長もアンドリュースもイズメイもいるわけですが
やはりここでも船のスピードの話で険悪な雰囲気に・・・

二等客のアリス・ビーンは一等客の世界に憧れる憧れる
険悪な雰囲気をぶちやぶるミーハーな「キャーー」に舞台は救われますが
だんなさんのエドガー（栗原英雄さん）は大変・・・
言葉づかいいちいちうるさいし、もっと上を目指せと言われるし

でもなんだかこの夫婦の感じはわかる気がする
エドガー好きだな

もう一組のキャロライン（未来優希さん）とチャールズ（佐藤隆紀さん）
しっかり者の彼女とおおらかな彼氏
いいカップルだったなあ〜
お二人とも素晴らしい歌声だし！
両手たずさえてくるくるまわってきっと幸せな未来があっただろうに

三等客はと言えば
食糧を部屋に持ち帰るな！なんて叱られてて
三人のケイトにジム・ファレル（古川雄大さん）が夢を語ってる
中でも一番意志が強そうなケイト・マクゴーワン（則松亜海さん）
ジムにアタック！ふたりには自分たちを結ぶ赤い糸が見えてるようだったわ

そしてこの場面、ヤンさんは三等客として麦藁帽をかぶって登場されています！
彼氏（？）は上口さん！座ってる時はなにげにＳっ気たっぷり
最後は下手デッキ上で上口さんに肩を抱かれて歌ってはります。
わーい＊＾＾＊

こうしてストーリーとして綴っていますが
実はこれみんな「歌」で進んでいるのです！

あと通信士・ハロルド・ブライド（上口耕平さん）と機関士バレット（藤岡正明さん）の
プロポーズというナンバーは良かったわ〜大好きでした
この好青年たちが海の藻屑になっちゃうなんて悲しすぎます
（訂正・通信士ブライドは助かったのですね。最後まで船にいたけれど！）

そしてミサがあり、ダンスパーティー
ハートリー（矢崎広さん）が歌うラグタイムナンバー

ここです！
ダンサー・ヤンさんの本領発揮！
身のこなしの軽やかなこと！
軽快なリズムに思わずチャールストンステップ踏んじゃって
「あら、わたくしったら」とほお赤らめる
アイダさん、チャーミングすぎます！！！

思わず「カワイイ！！」と心の声で叫んでしまいました！

パートナーを見つけてくださいの声に
そばでにこにこ笑ってご覧になってたイシドールに駆け寄るアイダ
あ〜あなたはどーして・・・
イシちゃんがうらやましい、イシちゃんになりたいとは言いませんが
胸元をかざるカメオに私はなりたい＼パシッ！☆

楽しい宴にいつのまにか混じっていたアリス

アリスとエドガーのほんの少しの心のすれ違い

ハートリーの歌う「秋」にうっとりしているそこへ追いかけてきたエドガー
連れ戻されると思っていたのに
エドガーは優しくアリスの腕を取り踊りだすのよ

このシーンも大好きだった

エドガー〜〜〜〜ありがとう〜〜〜〜！

そんなエドガーに一男性として声をかけるエッチス
この二人の会話がなんともいえない味わいがあって好きだったわ
そこへ、ストラウス夫妻・・若いものに道をゆずる
ジムとケイト・・未来をがむしゃらに生きて行こうとする
三組のシーンが夢のように繰り広げられました



楽しく夢あるシーンの合間あいまに氷山の知らせ

ライトーラー二等航海士（小野田龍之介さん）も
マードック一等航海士（津田英祐さん）も
（立ち姿凛々しく頼もしかったわ）

再三再四船長に氷山の報告をしては、のらりくらりと
イズメイの意向重視の船長に逆らえない

刻々と衝突に近づく船

人々の命を預かることの重要さを思うがゆえに船長になることに二の足を踏んでいたマードック
不幸なことにマードックが船長の代行をまかされていたその時

見張り係りフリート（入野自由さん「自由」と書いて「みゆ」と読む）
くーらーやーみーくーらーやーみー

突如眼前に現る氷山に愕然とし

警鐘をならす

船が氷山にこすれる音

幕



乗客乗員のひとりひとりが丁寧に描かれ

セットは後方、左右のデッキとタラップのみシンプルです

タラップを移動させ見張り台にしたり階段にしたりするのも役者さんたち
アンサンブルの川口大地さん、須藤香菜さんも大活躍でしたね

ひとりで何役も演じるのも面白い
私は好きです



二幕は圧巻です

衝突から

乗員はどうしたか、乗客はどうしたか
そして船長は・・
オーナーは・・
設計士は・・・

ベルボーイにエッチス、乗客を起こします

救命胴衣を着せ

一等船室のロビーへ移動させます

すみやかに不安がらせないように

プロだわ

一等乗客は優雅な寝間着姿
さすがストラウス夫妻はきちんと救命胴衣をつけてらっしゃいます
他の方々は詰め寄ったり救命胴衣は持ってるだけだったり

アイダさんは白いドレスの寝巻です（でれ）

どうなってるんだ！と押し問答の最中にバチバチバチっと

停電・・・止まるエンジン音

静寂

そしてエッチスの「○○さま、救命胴衣をおつけください」となるのですが
この「間」のいいこと！！
戸井さんいいわあ〜〜、エッチスいいわあ〜〜〜

こうしてただならぬ事態と納得した一等二等乗客は次々にボートに移動していくのですが

この時のアイダのひとことが揮ってます

「屋根のない船に乗るなんて初めてですわ」

好きやわ〜
アイダさんってこういう言い方する人なんですね

一方三等乗客は船底の船室に取り残されたまま
機関士のバレットが彼らを上に連れていきます

ところがだ！
あの三人ときたら、お前が悪いお前のせいだ！
船が沈もうって時にまだ言ってる
でも言ってせいせいした！って感じで悪くはない

ひとり大きな責任を感じているのがマードック一等航海士だった
衝突してからは動転していて
まともな受け答えも出来ない
ライトーラーが補佐してなんとかもっていた

女性と子供が先だと救命ボートに乗り込むだんになって
アイダはイシドールと一緒に残ることを選択します

４０年連れ添ってきたのよと
初めて自分に逆らった妻にイシドールの目もうるみます

私の涙腺もゆるみます

ここからは涙ぼろぼろ流れるまま

夫と引き離されボートに乗せられるアリスやキャロライン
機関士バレットは助かるチャンスだったのにそれをジムに譲ってしまう

「だって客だろ」
このひとこと、プロ意識のないすべての客商売の人間に聞かせたい！

アイダは身に着けていた宝石をはずしボートの若い女性に手渡す
なんという女性なんだろう
（宝塚男役のダンスという宝物を振付家として後輩へ手渡すヤンさんみたいです）

ボートが下ろされ、助かった乗客乗員たちは客席を去っていく

どの方も皆、涙を流してらっしゃる

夫は妻を助け、老人は若い者を助け、母は胸に抱いた子のために夫と別れる

藤岡さんのソロが優しい

なのになのになんで〜！
イズメイ、ボートに乗ってるし

「ボートのこの席を取って何が悪い、どうせ誰も座らない」という言葉を顔にはりつけて
去っていく

たいしたもんだ！

でもきっとあなたが助かったのは、タイタニックの悲劇を身に持って知るため
責任を問われるため

船に残った人々のつかのまのかたらい

ストラウス夫妻に極上のシャンペンを注ぎに来るエッチス

「まあ、もったいない」というアイダの声が忘れられない

胴衣をはずし、正装しイシドールと乾杯するふたり

「ふたりに」
「ほかに誰が？」

「あなたは今でもいい男でいらっしゃる」
「そうでないと君のような美しい人をつなぎとめておけないからね」

そして歌う「Ｓｔｉｌｌ」

涙なしで聞けません！泣かずに観ようなんて無理

船は傾きどんどん沈んでいく

アンドリュースは
哀れなタイタニック、自分が精魂詰めて設計したのになぜ？なにが悪い？どこが悪い？
最後の最後まで追求しつづけ

船はとうとうまっすぐ海につきささり

真っ青な海に沈んでいく

アンドリュースのソロ、迫力ありました！



真っ青な海中

自ら命を絶ったマードックがタイタニックの残骸に帽子を置き
船長も置き、ストラウス夫妻が夢のように踊る

カルパチア号の毛布にくるまった人たちが
自分たちが見たあの時の情景を語っていく

氷山、海に浮かんだ人たち、まだボートには空きがあったのに
戻って助けられなかったことへの後悔も

タイタニックに乗り込んだ時、私たちには希望があった！

乗船した時の様子に場面は戻るが
それは命を落とした人たちだけ

助かった人は法廷に立っている

沈んだまま終わってしまったらどうしようと思ってた

ストラウス夫妻の踊る姿は夢のようだったし
凄いぞタイタニック！と叫ぶバレットの声は元気をくれた

万来の拍手の中、出演者の方が次々に登場です！

そしてラインナップ！

素晴らしいステージでした

タイタニックで命を落とした乗客の名前が書かれた紗幕がおりてきて

脱帽敬礼し、または見つめ見上げて敬意を表し

またカーテンコール

いっぱいいっぱい拍手しました！

キャスト・スタッフにみなさま、素晴らしいステージをありがとうございました！

ヤンさん、こんな素敵なミュージカルに出てくださってありがとうございます！

近いうちに再演がありますように！

その時もヤンさんがアイダ役で出て下さったら嬉しいです！

ありがとうございました！



読んでくださりありがとうございました


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2015.4.8記　なずな