豊かな生態系に育まれた、樹齢数百年の自然なお茶
雲南省プーアール市瀾滄ラフ族自治県の景邁地区には、樹齢数百年の大葉種の喬木型茶樹が群生しています。古い茶樹は樹齢800年にも及ぶことから、これらの地域で産するお茶は「千年古茶」と呼ばれています。数百年前に植えられブーラン族の人々によって守られてきたものなので、厳密な意味では野生ではありませんが、茶樹の生長する周囲には茶樹以外の樹木、草花が繁茂しており、茶樹そのものもあまり剪定されていないため、多くが2m以上に生長していて、栽培型茶園という言葉のイメージからはかけ離れた、原生林のような状態です。この茶樹には、施肥を全くしておらず、腐葉土や本来その土壌のもつ養分で生長しています。農薬も使われていません。それでも数百年茶樹が生き続けていること、そして季節季節に芽吹く新芽の味わいの力強さが、この茶樹そして茶樹を取り巻く生態系の健康をあらわしています。


千年古茶樹の茶葉のもつ芳醇な味わいが現れたお茶
この千年古茶樹の茶葉を使ったお茶のうち、2002年と2003年春に作られたお茶を中心に、数種類ご紹介しています。この産地のお茶はその後大変有名になりましたが、それ以前に作られたお茶ばかりです。それぞれ、時期や製茶方法が違っても、千年古茶樹の茶葉が本来持っている芳醇な味わいが活きているお茶だと思います。また、心静かにこのお茶を飲むとき、じんわりと体が温まってきたり、様々な感覚があるかもしれません。どうしてそう感じられるのか、わかりません。が、お茶を飲むことというのは、風味を楽しむことも然ることながら、お茶の樹の育った環境を身体に取り込むことだ、ということなのだなあ、と、私は感じています。


独自の焙煎法により、味わいを引き出したお茶
私たちは、このお茶の一番の魅力は、豊かで清浄な環境に育まれた生葉の、気品と厚みのある味わいそのものだと考え、独自の焙煎によって味わいを整え引き出していく方法で、お茶づくりをしています。そのことによって、芯の味わいを引き出し凝縮し、体によくなじむようなお茶、召し上がって、リラックスし満たされ落ち着くような後味、余韻を目指しています。
プーアール茶、特に青餅(晒青緑茶のような原料茶を蒸して固めたお茶)は、寝かさなければ美味しく飲めない、とよく言われます。寝かせて変化を楽しむ飲み方もありますが、作りたてでも美味しく飲めるようにお茶を整えました。今飲んで大変美味しいお茶に仕上がっています。寝かせると火入れの風味が薄れ、フルーティな香りが表れてきます。
どうぞ味覚と体全体の感覚で、お楽しみください。


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