Auturm Breeze

第3章『お宅訪問』PART

 

 と言う訳で何だかんだでやっと僕たち一行は井上さんの家の前へとやってきた。

井上さん宅は、まあ別に特に大きい訳でもなく、小さいわけでもなくまあ、いかにも普通の家と言う感じだった。

そして里美は玄関のインターホンを押した。

 「はい、どちらさまですか?」

 「え〜っと、彩花さんのクラスのものなんですけど彩花さんいらっしゃいますか?」

 「あっ、はい、それでは少しお待ち下さいね・・・。」

インターフォンで井上さんの母親らしき人が対応してくれた。

 「・・・・・あなた達・・・・・。・・・・・・・・・・・・・。・・・・・良かったら上がって行きませんか・・・・?」

 「えっ、良いの?」

 「・・・・・はい」

 「・・・・・じゃあ、おじゃまします。」

と言う訳で僕らは彼女の部屋に招かれた。

まあ一応説明すると彼女の部屋は別に特に変わったものは無く、まあ普通と違うものと言えば引っ越して来たばかりなので、まだダンボールが残っているぐらいだけだろうか・・・・・

まあそんなわけで、これ以上の探索はプライベート上出来ないので僕達は井上さんがお茶を入れるまで、ぼけ〜っと部屋の中を見まわしていた。

 「・・・はい、お待たせしました。」

 と井上さんはきれいな柄が描かれたティカップにお茶を入れてきた。

 「わぁ〜良いにおい〜、これ井上さんがいれたの?」

 「・・・はい、そうですけど・・・」

 「ふ〜ん、じゃあ井上さん文化祭の時いれてくれないかな〜、紅茶・・・」

僕は簡単にかつ率直に口を滑らせてしまった・・・

 「・・・・・・・・」

 「・・・、は〜本当に翔太はデリカシーがないわね〜」

 「うむ、そうだな。」

 「ゴメンね、井上さん。いつも見てると解ると思うけど、天ヶ崎君は、単純で一辺倒だから、デリカシーがなくて・・・、まあ、良かったら手伝いだけでも良いから、参加してくれないかな・・・」

 「・・・・・、・・・この事はしばらく考えさせてください・・・。」

 「うん全然OKだよ。じゃあお礼とは何だけど、良かったら部屋のダンボール整理手伝おうか?」

 「・・・、じゃあ、宜しくお願いします。」

と言う訳で僕達は桜井さんの提案で部屋の整理を手伝う事となった。

でも内心、さっきの外しを上手くごまかせたのは良かった事であるが・・・

ってな訳で全員そうでの片づけが始まった。

 「あの〜、この本どこに置けば良い?」

 「・・・・・、じゃああの本棚の3段目で・・・」

 「あっ、これ5年前はやったマンガじゃない?私これもっていなかったのよね〜」

 「・・・・・、井上殿、このコートとかはどうすれば・・・」

 「・・・・・、じゃあひとまずクローゼットの中に・・・」

 「あ〜本が〜」

どかっ!!

 

 ってな訳で僕は不覚にも積み重なっていた本(100冊近く)を倒してしまった。

 「も〜、翔太、バカじゃないの?ひとまずあんたはこのダンボールでも縛って近くのごみ捨て場に捨ててきなさい。」

 「あ〜い」

と言う訳で僕はダンボール箱を20ほど持って近くのごみステーションへと向かった。

 そして一時間ほど経つ頃にはほとんどのダンボールは無くなりあとは、個人的なものと言うわけなので僕たちはこれにておいとまする事となった。

 「どうも今日はお邪魔になりしました。」

 「本当にお邪魔しました・・・・。」

 「それではまた会おう・・・」

 「それじゃ〜、またね〜」

とそれぞれのコメントをの残し僕達は家路に着いたのであった。

 

 途中まで上田達と一緒に帰ったが、道が違うので最後には僕と里美の2人だけになっていた。

 「それにしても私達って腐れ縁ね・・・」

 「・・・ああ、そうだな・・・、幼稚園から高校までだもんな・・・、そういえば次の進路ってどうするんだ?」

 「う〜ん、そうね〜。文系だし・・・、じゃあ文学部で・・・」

 「ふ〜ん、じゃあ僕は法学部行って弁護士にでもなろうかな・・・」

 「弁護士?」

 「・・・ああ、そうだけど。それが?」

 「・・・まあ、いいけど、せいぜい法廷で、『ダアッー!!』なんて叫ばないでね。」

 「・・・・・、解ってるよそんなの・・・。」

 「それじゃあ、また明日学校でね。」

 「ああ、それじゃあな。」

と僕と里美は、それぞれの思いを抱えながら家路についたのであった。

 

                                 4章に続く