Memories Off Short Story
「それはふたりが思い描いた未来」
その日は雨が降っていた。俺は昨日、学校をサボってゲーセンに行ったのがバレて、担任に呼び出され手伝いをさせられている。そしてその手伝いもやっとの事で終えることが出来た。
季節は9月の下旬、関東地方では梅雨よりも雨が降るにも関わらず、アホな事にも俺は傘を持ってきていなかった。
こうして俺は幼馴染である桧月彩花に電話をして持ってきてもらうことにした。
Trrrr~、Trrr~、ガチャ!
『はいもしもし桧月ですが・・・。』
「あっもしもし、彩花か?ちょっと傘忘れたから、持ってきてくれないか?」
『うん、いいけど、少しは良い薬になった?今度からはこんな事しない?』
「ああ、こんな事は今度からしません。ですからお願い致します。」
『よ~し、それなら宜しい。じゃあ帰ったら私がきっちり勉強教えてあげるから覚悟しておきなさいよ。』
「・・・はい、解りました・・・。」
『じゃあ、10分ほどで行くからちゃんと待ってなさいよ!!』
「ああ。」
そう言うと俺は受話器を置いた。
電話ボックスから見る雨の景色
それはいつも、窓から見る景色とは違うな~、などという俺らしくないことをぼんやりと考えていると彩花はまぶしいぐらいに白い傘をさしてやってきた。
「はい、傘。次からはちゃんと忘れないでね!!」
「ゴメンな、彩花。次からはちゃんと持っていくよ。」
「うん、どうしたの?いつもより素直じゃない。なんか気持ち悪いよ。」
「いや、別に・・・、なんかいつも彩花に助けてもらってるばかりだから・・・。なんか本当に有難くてね・・・。」
「・・・そう。それなら次からはこんな事しないで、しっかり勉強するんだよ。」
「ああ。」
「じゃあ、行こうか。」
と、彩花は少し顔を赤くしながら傘を渡して、先に行ってしまった。
「おいっ、待ってくれ~。」
「待ちませんよ~だ。」
と仲良く俺たちは雨の中を傘をさしながらかけていった。
第2章へ続く
後書き
と言う訳で連載のSSがあるにも関わらずスタートしてしまった新シリーズ『それは二人の描いた未来』シリーズがスタートしました。
と言う訳でこのシリーズはMemories Off本編のストーリーとは違って方向で進んでいく予定ですが、多分この二人は澄空へ行きません・・・。
多分行く高校は浜咲です。
と言う事は・・・・
まあ、高校に舞台を移すのは多分4章以降でしょう。
と言う訳で、ゆっくりとこれから進めて行きますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
それでは次の章で・・・