夏の出来事

ここはどんなとこにでもあるような町。めずらしく晴れた6月のある日の事、この街に一台のトラックが、一つの恋を運んで来た・・・・。

1プロロ−グ

しとしとと雨が降り続くそんな梅雨の日、そんな日々にうんざりしつつも今日を生きている人がここに一人、彼の名前は三浦智宏。
智宏は珍しく晴れて日差しを受けて輝く並木の坂道を歩いていた。

そこに友人の木田浩伸が後ろからやってきた。
「おい、またぼっとしているのかよ!」
と彼は僕の背中をバシっとたたいた。
「やりやがったなこいつ!」
僕も浩伸にたたき返した。

そんな日々が続いていたある日、自分達はとある高校の2年であるが、こんな高校に新風が吹いてきた。
それは転校生であった。
ここは、都会から少し離れた都心のベッドタウンであるが,
最近は不景気ということもあり親の会社都合で
転校してくる者はなかなかいなかった。
そんなことを自分の頭の中で思いながら僕は学校に着いた。

そして、いつもと同じように座席に座って寝ていると突然浩伸が起こしてきた。
「転校生だぜ!しかも今回はなんと女の子らしいぜ!
しかもうちのクラスだぜ〜!」.
と浩伸が僕の席に押しかけてきた。
「かわいい子がいいなあ〜」
と僕も浮かれた気分だった。
ガラガラ−とドアが開き担任の教師高橋が教室に入ってきた。
「みんなも知っていると思うが、今日は転校生がきた。
それでは自己紹介よろしく杉崎君!」
と担任の高橋は教室の端にたった。
「始めまして・・・・。私は北海道から・・・・来ました、
杉崎由梨絵です・・・・どうぞよろしくおねがいします。」
と彼女はたぶん内向的な子なのだろう、おどおどしながら挨拶を終えた。
「そうだ!席は三浦の隣に座ってくれ!
それでは朝のHRは終わりにする。」
と担任の高橋は急いで教室を後にした。
「ええっと・・・、僕の名前は、三浦智宏.吹奏楽部所属なんだ。
ところで君は前の学校でどこの部だった?」
と僕はおどおどしている彼女に話し掛けた。すると彼女も少し小さく

「私も・・・・、前の学校で.吹奏楽部にいました。」
と答え返してくれた。
「それじゃあこの学校でも入るの?」
「ええ一応
・・・・・、入るつもりです。」
「じゃあ案内するよ。一応僕は部長でトランペットのパ−トリーダーもしてるんだ。」
「わたしはフルートを5年くらいやっています。」
「まあうちの部活は県内でも真ん中ぐらいの緩やかな部活だから結構楽しいと思うよ、それじゃあ放課後に案内するよ。」
と僕はこんなかわいい子が自分の部に入るのを想像しながら始業式をすごしていた。


2君の奏でる音


「さて、これで今日のHRを終了する。
寄り道しないでさっさと帰るように。」
と担任の高橋が話し終えて放課後にはいった。
「じゃあ杉崎さん我が部へ案内します。さあどうぞ!」
僕は3階にある音楽室に案内した。
「わぁ結構設備がいいですね。」
「この学校は結構部活にお金出してくれるから設備はいいよ」
「普段はどれぐらいするの?」
「平日は毎日で休日は大会前にします。」
「活動は何をするの?」
「文化祭、体育祭、定期演奏会ぐらいかな」
「部員の皆さんは?」
「男子10人女子30人の計40人です。」
「さて気合いいれて練習しましょう。」
そんな事を話しながら僕たちは楽器を吹きながら自分達の時間を楽しんだ。

そしてしばらく時間が経つと
「これで今日の活動は終わりにします!」
と僕は挨拶をしそして彼女を部活のみんなに紹介して帰宅しようとすると彼女が長い髪をなびかせながら僕のほうへやってきた。
「今日はありがとう!これからもよろしくお願いします。」
と彼女は僕に挨拶するとこんなことを僕に質問してきた。
「家はどの当たりなの?」
「松ヶ丘3丁目だよ」
と僕は自分の住んでいる場所を彼女にいった。
すると彼女も
「私も松ヶ丘3丁目なの。」
と彼女も自分の住んでいる場所を教えてくれた。
「じゃあ僕と今日一緒に帰らない?」
「ええ別にいいけど」
「じゃあ.ちょっと寄りたいところがあるんだけど一緒にいく?」
と僕はじ部の家の近くにある小高い丘のほうに向かって少し走り出した。


3小高い丘のもとで


僕が彼女を誘ったところはこの町にある小高い丘で小松山と呼ばれ親しまれている。さてこの丘は、町の全体を見る事ができとくに夕方に日が海に沈むところは何といってもたまらなく良い。
「わぁ・・・・・・、きれい!」
「今日は特に眺めが良いから富士山も見えるよ。」
と僕はここの景色を見ながら夕日に染まる彼女の姿を遺目で見ていた。
「さて、杉崎さん我が部へようこそ、
そしてこれからどうぞ宜しくお願いします。」
「こちらこそお願いします。」
「さて、転校初日から遅くかえるのってまずいんじゃないの?」
「そうですね、早く帰らないとまずいですね。」
「さて家も近くだし走って帰ろうか?」
「そうですね、早く帰りましょう。」
「さあいくよ、よ〜いドン!」
と僕たちは沈む夕日に向かって自分達の家に向かって走り出した。

しばらくして僕たちは自分の隣りにある白いアメリカンテイストのかわいい家の前に止まった。
「ここが私の家です。」
「ええっ!ここって僕の家の隣じゃない!この前の引っ越してきた家って君のうちなの?」
「ええそうです。」
「じゃあついでにお隣り様でも宜しくお願いします。」
「こちらこそ。」
「それじゃあまた明日学校で。」
「また明日。」
と僕たちは自分の運命を恐ろしくも楽しくも感じながら自分の家に帰ったのだった。

さて僕は家に入ると早速電話を取って浩伸に電話をかけた。
「はい、こちら木田です!」
「あっ!もしもし浩伸、俺だけどうちの部にあの転校生はいったぜ!すごいだろ〜」
「ああ.あの杉崎だろう結構かわいい娘だよなあ〜」
「こら浩伸!うちの部員に変な気持つなよ!」
「へいへい、分かりましたよ。ちぇっ。」
「じゃあなこれで報告終わり、じゃあまた明日な。」
と強引に言う浩伸に容赦なく電話を切った。
「ハァ、今日もいろんな事が合ったなあ.また明日もなんかいい事がありますように。」
と心の中で思いながら夜はふけて行くのでした。


4夏の始まり

さてこんな関係が一ヵ月ほど続いて.夏休みが近くなってきてうちの部活がとても忙しくなって、てんてこ舞いしているそんなある日の事彼女が僕のもとにやってきた。

「三浦君、今日は何をするの?」
「そうだなあ・・・・、今日は先生も来ないし個人で練習させようか?」
「ええそれでいいと思うけど他の人にも聞いてみたら?」
「そうだ、福原君ちょっといい?」
と僕は、ホルンパートの福原君を呼び出した。
「今日は、個人練でいい?」
「ええっ!いいけど。それで大丈夫?」
「コンクールまで三週間だけどいいの?」
「多分、大丈夫だよ」
「じゃあ通達宜しく。」
と僕は福原に少し話すと自分の練習をしに元の場所に戻った。

「ハァー、もうテストかあ、しかも成績もやばいしなあ。」
そんな事を考えながら僕はぼうっとしていて気がついたらもうみんなが帰りの支度をしている時間になってしまった。
「ハァー俺もうこの部活に居ると駄目かもしれない。」
「そんな事言ってどうしたの三浦君?」
とこんな事をぼやいている自分に杉崎さんが話し掛けてきた。
「俺、この部活今日で辞めるわ。」
「なんで辞めるの?」
「多分俺には他にやりたい事があると思うんだ。
だから杉原さんちょうど良かった、君に部長を引継いでほしいんだけど、君は技術力もあるし、何といっても音楽を楽しんでいる。
俺はもう音楽をする気がないんだ。」
「三浦君・・・・、あなたがそんな気持ちでやっているなら仕方ないけど他の人にはどう説明するの?」
「僕この学校もやめるんだ。
長野の田舎の親戚の家に行くつもりなんだ。」
「私あなたがこんな人だとは思わなかったわ、
どうぞ勝手にしてください。」
「ああ、勝手にさせてもらうよ。」
と僕は彼女に自分の記録ノートを渡し退部届を持って職員室に向かった。

「三浦君これでいいのかね」
「はい、先生これでいいんです。」
「向こうの学校には私から書類を出しておくから。
またいつでもおまえが戻れるようにおまえの席は取っておくぞ」
「どうぞ多分戻ってこないと思いますけど」
とこんな話を担任の高橋と話した後、僕は学校を後にした。


5セミの音とともに


そしてそれから一ヵ月が経った頃、僕は親戚のいる長野の家にいた。
「智宏君東京から電話よ」
「はい解りました。」
と僕は突然、東京の人の電話にびっくりしたが受話器を握った。
「もしもし智宏です。」
「あ、俺だよ浩伸、あなたの親友木田浩伸で〜す。」
「何だよ、おまえかよ、本当にびっくりさせるなよ」
「さては由梨絵ちゃんかと思ったのかなあ?」

「そう言えば吹奏楽部はどうなった?」
「ああ、吹奏楽部ねえ、予選で落ちたよ。」
「そうか・・・・。杉崎さん元気?」
「その杉崎さんまた引っ越しちゃったんだよ。」
「そんならどこに?」

「長野だよ。熱いねえ〜」
「そっ、そんなあ〜、なんで俺とおんなじ県に居るんだよ〜」
「それはあなた達の愛の力です。」
「あ、明日おまえのところ行くから宜しくな。」
「おい浩伸、そんな話聞いてないぞ!」
「それじゃあまた明日。SEE
YOU TOMORROW!
「おい浩伸・・・。きりやがったこのやろう。」
と僕は突然の浩伸の訪問に驚きながらその夜を明かした。

「どうもお世話になります〜」
「はいどうぞ」
と浩伸はちょうど昼食の終わった頃に大荷物を背負ってやってきた。
「おい、この大荷物は何だ、せいぜい一泊ぐらいじゃないのかよ。」
「ああこれね僕もあなたの学校にご厄介になる事にしました。」
「何だって本当かよ!」
「本当だよ。だって智宏が居ないと突っ込んでくれる人がいないんだもん。そんな学校行ってもかったるくてさあ。」
「も〜、ほんとに浩伸はいつもこうなんだから。
本当に仕方がないやつだ。」
「それでは、どうぞこれからも宜しくお願いします。」
とこんな浩伸にちょっとどう動揺しながらもこれから始まる日々に思いをはせながら僕は浩伸と語り合った。


6黄金の日差しとともに


さて浩伸が加わって僕の長野での新生活も面白味を帯びてきて、新しい学校でも僕と浩伸は、漫才コンビとして、その学校で瞬く間に広まった。
「おい、浩伸何なんだよ俺達は!」
「あっ、智浩でしょ、この学校で一番の漫才コンビに上りつめたべ。」
「そんな事しに長野にきたんじゃないよ俺は。」
「解ってるよおまえの事なんて」
「そういえばさあ今度この学校、文化祭で漫才コンテストするらしいぜ!」
「その商品の学食のただけん一年分が目当てなんだろう。」
「さすが〜智宏君!そんなら話が早いねえ〜!
じゃあ組ませてもらいますか。」
そうして僕と浩伸のネタ探しが始まった。最近は学校から帰ったら漫才のビデオお見てネタ合わせをして、一日が終わるという生活をしてきた。

そして本番前日・・・・・。
「これでネタ合わせは終わりだろうな。」
「ああそうとも我が友よ!」
「じゃあ寝らせてもらいますね。」
「それはおやすみ〜それじゃあまた明日〜。」
「おまえはまだ寝ないのかよ」
「俺は、ちょっち用事があるんで」
「そんならじゃあおやすみ」
「おやすみなさい〜」
とその時浩伸が何をしていたのかに疑問を持ちながら深い眠りに就いた。

そして本番の日の事

「おい浩伸今日はどういうネタ組むんだよ。」
「そうだなあ・・・・。こういうのはどうか?」
と浩伸は、どこかで見た事があるようなコントグループのネタをやり始めた。
「これでどうだ。」
「あまり良くないな。」
「じゃあ天下の漫才コンビ智浩はボケ突っ込みで行きまーす。」
「じゃあそれでは、エイエイオ〜」
「エイエイオ〜」
と俺達は、コンテスト前に気合いを入れながら学校に向かった。
そして時はあっという間過ぎてに本番前になっていた。


「さて浩伸本番に臨むか。」
と僕は本番前に意気込んでいる浩伸に声をかけた。

「OK、大丈夫ざんす〜。」
「そんならいざ行くか。」
と僕たちは意気込みながら本番に望んだ
・・・そして事件はこの文化祭が終わった頃に起こった。

「さて帰るとするか。おい、浩伸何してるんだ、そんなところで!」
「まあまあそんな事言わないで、どうぞ由梨絵ちゃん。」
と浩伸は木陰に隠れていた人を呼んだ。
「お久しぶりですね、智宏君。」
「ああ、久しぶりだね。」
「ええ久しぶりですね。」
「そう言えば話すのは、あの時以来だね。」
「ええ・・・、そう言えばあなたのやりたい事って見つかったんですか?」
「いや、まだだ。」
「おぃ、浩伸、ちょっと席外してくれないか。」
「解ってるよ、ごゆっくりどうぞ。」
と俺は浩伸を追いやって杉崎さんと二人で話をする事にした。
「そう言えば杉崎さん俺達のコントって観たの?」
「・・・・ええ、一応観ました。」
「どう面白かった、一応優勝したんだけど・・・。」
「・・・面白かったです。」
「そうか・・・そう言えば杉崎さんはまだフルート続けてるの?」
「・・・もう辞めました。」
「そうか、あんなに上手かったのに。」
「そう言えばなんで今日なんでうちの学園祭にきたの?」
「・・・木田君が誘ってきたから。」
「だから、昨日の夜怪しい行動していたのかぁ。ところで杉崎さんは今どこにすんでるの?」
「・・・松本市です。」
「そうか同じ長野といってもだいぶ離れているなぁ。」
「・・・・でもあなたの会うためなら・・・・遠くないです。」
「えっ、今なんていった?」
「何でもないです。」

と急に杉崎さんはふくれてしまった。
「そういえば僕から杉崎さんにいわなければならない事があるんだ。」
「えっ・・・、なあに・・・・、言いたい事って?」
「ああ、言わせてもらうよ・・・僕は君が好きだ。」
「ええっ・・・・・、何で・・・・何で急に・・・何でそんな事急に言うの?」
「解ってる、解ってるよ、返事はまた後でいいよ。
また今度にさせてもらうよ。
そういえば今度乗鞍でも行かない?
これから紅葉が綺麗みたいだからさぁ?
返事はその時聞かせてもらえればいいや。」
「・・・・はい、解りました。それではまた・・・。」
「じゃあ、また・・・・。・・・ちょっと待って!!
電話番号教えて!そのことについて電話するから。」

「それじゃあこれを・・・。それではまた。」
と彼女はメモを渡すと、長い髪からほのかな香りを漂わせながら去っていった。


金色の光とともに


「それじゃあ出掛けてきます〜。」
「行ってらっし〜ゃい智宏君!」
と僕はおばさんに勢い良く挨拶されたあと
僕は駅に向かって駆け出した。

「よしっ!時間どおりについたぞ。後は杉崎さんを待つだけだぁ〜。」
と僕は待ち合わせ場所である松本駅の改札の前に立っていた。

そして10分ぐらい経って
「遅れてすみません。」
と言いながら杉崎さんが僕のところにやってきた。
僕たちはまず乗鞍に行くため第一の交通手段である電車に乗る事にした。その電車とは上高地線と言って上高地や乗鞍高原に行くバスの発車場所である新島々まで結んでいる路線である。
「杉崎さん、交通費大丈夫だった?こんな高くて・・・」
「ええ、少し高いけれど、
この時期は紅葉が綺麗なそうで一度見てみたかったんです。」
「そうなんだ〜、
僕もこちらにきた時のそこの学校の友人が綺麗だって言うんで一回行ってみたかったんだ。
そう言えば出もやっぱり悪いから昼ぐらい高くないものならおごるよ、ところで何がいい?」
「そうですねぇ・・・長野だから蕎麦って言うの言うのはどうですか?」
「蕎麦かぁ・・・そう言えば乗鞍においしい蕎麦屋があるって聞いた事あるなあ・・・ちょっと待って!」
と僕はかばんの中にあったガイドブックを取り出して忙しく調べ始めた。

・・・終点に着く頃
「あった、これなんかどう?
昔ながらの手打ちそば
萌え木庵 ってところどう?」
「そうですね、いろりで食べられるみたいですけど少し高いみたいですけど大丈夫ですか?」
「それは大丈夫!お金はどんなことがあっても大丈夫なようにたくさん持ってきたから。」
「それなら、ごちそうになろうかしら。」
そんなことを話しているうちに・・・
「次は、終点新島々〜新島々〜でございます。お降りの際はお忘れ物なさいませんようにご注意ください〜」
と車掌の声が聞こえてきた
「それでは次ぎはバスに乗り換えますか」
「・・・ええ」
そして僕たちは電車が駅に着くと乗鞍高原行きのバス停に向かった

そしてバスのなかで僕たちはいろいろな事を話した。
バスは目的地に向かって走っていった。

「うわ〜、綺麗〜!!」
「そうだね、この景色はすごいね!」
と僕たちはバスを降りると広がった景色を前にしながら感傷に浸っていた。
「遊歩道う歩こうか、杉崎さん!」
「そうですね、歩いてみましょうか。」
と僕たちは深く色づいた森の遊歩道を歩いていった。

・・・そして、道がだんだん奥深くなってくると・・・僕と杉崎さんはこんな会話をしていた。
「そういえば、あなたのやりたい事って見つかったんですか?
あとなんで前の学校を辞めてしまったのですか?」
「・・・それは、今お世話になっている長野のおじさん夫婦は子供ができなくて跡継ぎを欲しがっていたんだ、それと僕は他のところに行って少し自分の事を見直してみようと思ったんだ。」
「そうですか・・・それなら私も同じです」
「何だって、君もそうなの!」
「そうなんです、私も自分の将来について不安を持ったんで少し考えてみるために祖父の実家がある長野で親の元を離れて考えてみようと思ったからです。」
「そうなんだ〜。僕の考えのほうはそろそろまとまりそうなんだ。」
と僕は杉崎さんのほうをみながらこう言った。
「僕には守りたい人が一人いる、ぼくはその人の幸せのために自分の人生をささげていことが自分のやりたい事であり目標でもある、そして、その守りたい人というのが君、杉崎由梨絵さんだ」
と僕には珍しく真剣な表情で彼女をみながら言った。それに対して彼女はこう言った。
「私は、初めて会ったときからあなたの何かにひかれていた。
それはなんだか解らない、世間一般の人々はこれを恋とか憧れとも言うかもしれない。
そして私もそうだと思った。
でもあなたは私の側から離れていってしまった。
それでも私はあなたの事を考えると胸が締め付けられるように痛くなった。
でも今はその胸の苦しみはない。
なぜだと思う?
それは今ここにあなたがいるからよ。」
と杉崎さんは僕のほうによってきて腕を組んできた。
「僕はもう君を話さない、世界中を敵にしても。」
「私もあなたに一生付いていきます!」
「杉崎さん」
「三浦君」
と僕たちはちょうど滝の橋の上で僕たちの影は一つになった。


君がいるという事

それから僕たちはその高原にある信州蕎麦屋で食事をした後
僕たちはまた遊歩道を歩いていた。
「そういえばこれからどうするの?」
「私はもう少しこの長野で暮らしていようと思います。」
「そうなんだ、僕はやっぱり元の学校に戻る事にするよ高橋先生にも悪いし。」
「そうですか、そんなら私も戻ろうかな〜」
「えっ、なんで?」
「だってあなたが居ないと楽しくないんだもん」
「そうかじゃあ戻ろうか。またあの場所に・・・」
「・・・はい、あなた・・・。」
と僕たちはしばらく歩いた後、僕はある場所に彼女を誘った。
「これからちょっと行きたい事があるんだけどいってもいい?」
「はい、それってどこですか?」
「それは行ってからのお楽しみ〜」
と僕たちは夕刻が近くなった遊歩道を山の上のほうに向かって少し急いで歩き始めた。
そこには一面を見渡せる展望台があった。
「行きたいところってここなんですか?」
「そうなんだ、・・・ここは今日みたいにいい天気だと夕日が綺麗だって自分の学校の友人に聞いたからさ、どうしても由梨絵さんと来たかったんだ。」
「そうですね、ほんとに綺麗ですね。」
「そうだね、ところで東京にはいつ戻る?」
「そうですね、成績もあるし3学期からにしませんか?」
「そうだね、そのぐらいがちょうどいいかもしれないね。
じゃあ明日高橋先生に電話していっておかないといけないな。
それと君の事もいっておいていいかな?」
「はい、大丈夫です。」
「さ〜て、もう日も沈むし、
バスの時間も残り少なくなったし二人でかけていこうか?」
「はい、わかりました。」
「それじゃあ、位置についてよ〜いドン!」
とぼくたちは夕日に背を向けながら二つの影は山の下に向けて走っていった。



聖なる夜に・・・

それから僕たちは駆けてバス停に行き、そしてバスに乗り行きに着たような経路で戻りそして松本駅で別れた。
そして僕たちは普段、インターネットでのメール交換
そして二週間に一回は松本でデートしてすごすようになってあっという間に二学期は終わってもとのところに戻る日が来た。
今日は12月23日、明日はクリスマスイヴだ
そして今日俺と杉崎さん、そしておまけの浩伸で、今日一緒に東京に帰る事になっている。
そして僕と浩伸は今松本駅の改札の前にいる。
しばらくすると杉崎さんがやってきた。
「少し遅れてしまってすいません。」
「いいって全然遅れていないよ、なあ智宏君。」
「・・・うん、そうだね。」
と僕たちは浩伸がいる事も忘れあうぐらい見つめあった。

すると浩伸が・・・・
「オイオイ、このぐらいにしといてくれ、もうあなたたちの事は解ったから、それにしても相変わらず熱いね〜、お二人さんは、
俺もこんな恋してみたいよ、ホント。」
「わるかったな浩伸、さてそろそろ特急が来るからホームに行こうか?」
「そうしましょうか。」
と僕と杉崎さんは一人ですねている浩伸を置いてホームに向かった。
「おぃ、ちょっと待ってくれよ〜、俺を置いてかないでくれ〜!」
と言いながら、浩伸が急いでホームにやってきた。
それからしばらく経って定刻通りに列車がやってきた。
そして僕たちは自由席の4つの席を三人で占領して、
三人で楽しく色々な事を語り合った。
そして一時間半がたって僕たちはあの場所へとたどり着いた・・・・・。

「ついに帰ってきたね。杉崎さん。」
「ええ。」
と僕たちはお互いに家の前でみつめ合いそれぞれ門に入っていった。

そして次の日・・・
「三浦く〜ん!!」
と彼女が僕の家の前で僕の名を読んでいた。

なぜ来たかと言うと・・・。クリスマスデートをするためだった。
そして僕たちはショッピングをしたりして二人の時間を楽しんだ。
そして最後に僕たちは、ディナーを楽しんだあと小松山へとやってきた。

「帰ってきたね。杉崎さん。」
「ええ。」
と僕たちは見詰めあうとお互いに目をつぶって軽く唇を合わせた。
「好きだよ、杉崎さん。」
「私もよ。三浦君。」
と僕たちはこの夜に始めて世間一般恋人で呼ばれる関係となった。
そして僕たちはお互いに願いあった
永遠にこの日々が続くようにと・・・・・

10章 また夏の日

そして新学期が始まって僕達はまた元の生活に戻った。
部活、授業、いつもと変わらない日々が続いていた。
そう言えば一つ変わったことがある。
・・・・・それは、杉崎さんと一緒に帰り始めたということだ。
そして僕たちはそんなことをしているので
すっかりこの高校のおしどり夫婦として定着してしまった。
そう言えば浩伸はといえば、相変わらず僕との大ボケコンビとしてこの学校に君臨している。
一つ変わったことはといえば、なんと浩伸に彼女が出来たということだ。
その子はなんと自分の入っている吹奏学部の後輩だった。
まあ理由はといえばいつも浩伸がうちの部に顔を出したり一応応援にきたりしているんで顔を覚えられてはいるんだろうが、最初はまさか〜と思ったりもしたんだが、例の一件で浩伸が僕のところに行った時はついに告白する決心をしたらしい。
そして彼らは、僕たち学校一のおしどり夫婦の次に仲の良いカップルとしてもう一つのいい?うわさとしても時の人となっている。

そうしているうちに、また夏がやってきた。
今年は杉崎さんと過ごす初めての夏だ。
僕たち吹奏学部3年の最後のコンクールがある夏だった。
「は〜、やっと終わった。今日の僕の演奏どうだった福原君?」
「う〜ん、演奏は去年より良くなっていると思うよ。
なんせあの彼女と一緒にアンサンブルするところがあるからかな〜。まあ、この調子でがんばっていこうぜ!」
「おいっ、何なんだおまえまで僕たちのことそう思っているのか?」
「ああ、そうだよ。それじゃ〜二人で仲良く帰ってください。なんせ僕がいるとお邪魔になるからね〜。それじゃ〜また明日。」
とホルンの福原君はさっさと楽器を片づけて帰ってしまった。
まあ僕はこの事を否定できなかったので、
杉崎さんが片づけ終わるのを待って一緒に帰ることにした。

・・・10分後
「ごめん、三浦君待った?」
「いやっ、そんなに待ってないよ。」
「そう、それなら良かった。」
「じゃ〜、行こうか。」
「うん。」
と僕たちは、一緒に手をつないで、歩き出した。

そこへ・・・・・
「おぃ、学校一のおしどり夫婦!!相変わらず仲良くしているな〜」
といいながら浩伸が例の彼女名前は確か、
佐々木良美とか言うと思った彼女と一緒に浩伸は僕たちの前に現れた。(でもはっきり言って浩伸の言えたことではないが・・)
そして浩伸&よしみコンビは自分達と一緒に帰ることになった。
しばらくお互いののろけ話を、由梨絵&良美はうちの部では仲が良いらしいのでお互いにとても仲が良さそうに話していた。
「そう言えば、杉崎先輩、進路ってどうするんですか?」
「う〜ん進路ね、多分大学には進むと思うわ。」
「へ〜、そうですか。それってやっぱり音大ですか?」
「う〜ん音大ね〜、でも私プロになるつもりはないし・・・・」
「そうなんですか〜、
せっかくうちの学校じゃあのアホ部長よりも断然上手いのに〜」
「えっ、誰がアホ部長だって。」
と僕はさすがに佐々木さんが自分のことをあほと言ってしまったので少し腹を立てながら、
2人の会話に入っていった。
「そうですよ、例えば自分が何のために生きているのか分からないとか行って田舎に引っ込んだり、あと浩伸と一緒にしょっちゅう変な事しているのは部長じゃないですか〜」
「そうだね、良美ちゃん。三浦君も、もっとちゃんとしなくちゃね!」
「は〜い。」
と僕たち4人は最近良く一緒に帰っている。ま〜浩伸とは昔から良く一緒に帰っていたんだが・・・。でも一つ謎なのは浩伸の生態だ、
なんせ、彼は帰宅部だからだ。本当にいつも浩伸が、うちの部が終わる6時まで何をしているのかだけが最近の悩みの1つだった。
そして20分ほど歩くと、浩伸と良美ちゃんは一緒に駅の方に向かって歩いていった。

そして僕たちは2人を見送るとまた歩き出した。
「ところで智宏くんは進路どうするの?」
「僕は、農業関係の大学に行こうと思っている。」
「そう、やっぱりじゃ〜おじさんの家を継ぐの?」
「継ぐって言うのとはちょっと違うけど、お手伝いがしたいって言うのが本音かな〜」
「そう、じゃ〜そんなら私も同じところに行こうかな〜」
「いいけど、杉崎さんって理科系出来たっけ?

「うん、ま〜人並みってところだけど。」
「それで大学行けると思っているの?」
「ここに理系の得意な人がいるじゃんない?教えてくれるでしょう?なあに私を教えたくないとでも言うつもり?」
「いや〜、そんなつもりはございません。」
「それならよろしい〜じゃ〜コンクールが終わったら頼むからね〜勉強教えてもらうの〜

と杉崎さんに話を上手く丸め込んだところで、自分達の家の前にたどり着いた。
「じゃ〜、また明日。」
「うん、また明日ね!」
とお互いは別れていった。

そして月日はあっという間に過ぎコンクールの本番の日となった。それから僕たち2人&福原君や佐々木さんなどをはじめとする吹奏楽部員は、顧問いわく「今までで一番良い!」らしい演奏に仕上がった。
「それじゃ〜、みんながんばるぞ〜!!」
と僕たちは会場に向かうバスの中で、僕らは、掛け声をあげた。

こうしてみんなで色々とやっているうちにバスは会場へと着いた。
僕たちの出番はしばらく後なので外の学校の演奏を見ることにした。ちなみにこの予選から本選へ行ける団体は、
15団体中6団体だった。
こうしてまず全国レベルの学校の演奏が始まった。
やはり全国に行ける団体の演奏は、僕たちとは比べ物にならないほどすばらしかった。そして、少し諦めかけていたとき杉崎さんが僕を呼び出した。そして2人は会場近くにある公園のベンチに座っていた。
「は〜、やっぱり駄目かな〜、本選は」
「そんなこと無いと思うよ、なんて言ったって私とあなたで主線担当してるんだから大丈夫だよ、お互いの心が1つになれば・・・・」
「ああ、そうだな、杉崎さん。」
「ええ、そうね〜、一つになれるおまじないしようか〜」
「なに、おまじないって?」
「それはね〜、ちょっと目を閉じて」
「うん、変なことするなよ。」
「それじゃ〜」
と僕が目をつぶると、杉崎さんはいきなり僕に唇を重ねてきた。
「どう、一つになれた?」
「ああ。」
「じゃ〜、本番がんばりましょうね!」
といい終わると、行きなり杉崎さんは走り始めた。
「お〜い待ってくれよ〜。」
「待たないよ〜、待っていたら本番始まっちゃうよ〜」
などと言いながら僕たちは仲良く会場へと戻っていった。

そういえば結果とは言えば、見事に僕の学校は本選出場を果たした。
そして、帰りのバスの中で講評を見ているとある講評者がこんな事を書いていた。
「この学校の演奏はすばらしかった。特にトランペットとフルートの掛け合いの良さは最高です。」
と書いてあった。当然、それは帰りのバスの中で先生が読んだので僕はその後部員から何をされたかは皆さんのご想像上の出来事として置こうと思う・・・・・

その後僕たちは、本選から次のステップへと進むことが出来無かった。

しかし、僕たちには、悔いは無かった。
周囲に言わせれば去年より良かったから言われるが、そんなことではない、僕は違うと思う。
ただ、自分達が一生懸命がんばって、自分達には最高のものが出来ただけだからだと思う。
だから僕たちに悔いなんて物が残らなかったんだと僕は思っている。こうして僕たち3年生の部活動は終わりを告げた。

11章 いつまでも君と

そしてその後、僕たちは無事に学校を卒業した。
僕は希望の農業学部に入り、そして僕の家庭教師のおかげ?で杉崎さんも補欠ながら同じところにはいることが出来た。
まあ、もっとも文系の杉崎さんがこの中堅のこの大学に入れたこと自体すごいことだが・・・・・
こうして、僕と杉崎さんは、大学内でも仲良く過ごし、やはりキャンパス内でも、有名なカップルとして
「いつ結婚するの?」
がいつもの冷やかし文句だったことは言うまでもない。

そしてさらに時は流れて、あのコンクールがあった夏から10年が過ぎた。
僕たちは、長野の大地に居た。もちろんおじさん夫婦の職業である農業を手伝っている。
もちろん杉崎・・・・、いや、由梨絵とともに・・・・
僕と杉崎さんは、25のときに結婚した。
今ではお互い2人の子供の両親となっている。
ところで、浩伸はと言えば、現在お茶の間で有名なお笑いタレントとしていつもテレビの前に登場している。
もちろん、最強のボケ役として・・・・・。
もちろん相方は、言うまでもなく佐々木さんである。
もちろん、浩伸と良美ちゃんのカップルは芸能界一のおしどり夫婦だということは言うまでもないが・・・。
まあ、近状はこんなところだ。
「あなた〜、農協から電話よ〜」
「ああ、わかった、すぐ行くよ〜」
そう、僕は夏が来る度に思い出す。あの夏の思い出を。
あの夏の出来事を・・・・・・

Fin

 

 

 

 

作者の後書き

どうでしたでしょうか?山倉 健悟としての一作目

書き始めたきっかけというものは、なんか自分の入っている吹奏楽部についてちょっと不満を持っていた時期だったので気分的に書いてしまいました。

それがきっかけにして山倉 健悟としての活動が始まりました。SSを書いてみたりそれがHPに載ったり自分のしがない作家活動としてだんだん大成している次第であります。

このHPを作成するにあたってやはり1作目であるこの夏の出来事はやはり切っても切れないもの

なので下手くそながらここに載せさせていただきます。

それではこの辺で、またお会いしましょう。