Memories off 2nd Short Story

君とともに

 

 

    1章 ある夏の日

 

あれからあとほたるは結局ウィーンに戻らず日本の音大を受けそこに通っている。

僕はと言えば三流大学に合格し、そんなに今までと変わらないような生活をしている。

そんなこんなで、あっという間にあの夏から4年が過ぎようとしている。

僕はこの不況のご時世の中なんとか就職も決まり、ほたるもピアノが弾けるからと言って

音楽の先生になる勉強をしている。そして僕はこの夏にある決心をしていた。

「健ちゃ〜ん、おはよ〜!」

「おはよ〜ほたる、朝ご飯まだ〜」

と僕たちは今ではこの朝凪荘に一緒に暮らしている。というかあのあとほたるは父親に

勘当状態にされてしまい僕のいる朝凪荘に転がり込んできたと言う事だ。

とは言っても生活費はほたるの母親から少しばかりの生活費を毎月静流さんが届けてくれるし、学費は一応親が払ってくれているそうだ。

 「ところで健ちゃんなんでぼうっとしているの?もうすぐご飯出来るよ〜。」

 「わかった、わかった、すぐ支度するよ。」

 「それなら宜しい、今日のメニューはほたる特製モーニングスペシャルだよ〜♪」

とほたるは鼻歌を歌いながら慣れた手つきでフライパンをゆすっていた。

 「それでは、いただきます。」

と僕はほたる特製モーニングスペシャル(って言ってもただのベーコンとスクランブルエッグだけだけど・・・)

を二人で仲良く食べているところに突然ドアがノックされた。

 「誰だ〜、こんな朝から?はいは〜い、開けますよ〜!」

と僕は渋々ドアを開けた。するとそこには信君がいた。

 「相変わらず熱いね〜伊波夫婦は、本当にご馳走様」

 「も〜!信君、ほんとうに朝っぱらからから何なんですか?」

 「も〜信君ったら、朝から辞めてくださいよ〜、せっかく健ちゃんと朝ご飯食べてるのに〜」

と言う感じで僕たちのいつもの朝が始まった。

ところで信君は今ではルサックの店長をしている。

そして、結局僕はあの夏以来ずるずると、まだバイトを続けている。

その理由はほたるが居るのででさらに生活費がいるのと、

あともう一つは僕の計画のために・・・いまだにこのバイトを続けている。

そんなところで、このバイト生活にも少し変わった事があった。

それは・・・なんとほたるがこのバイトに入って来たという事だ。

こうして僕は、いつも信君や他の店員にからいやみを言われながらバイトをしている。

 「ところでこんな朝からなんの用ですか?」

 「そのことなんだが、イナケンよ君にはたるたるがいる。しか〜し、俺には誰も愛してくれている女性がいない、俺はそれを町に探してくる。それでは店番よろしく〜!」

と信君は、すたすたとドアを開けて、急いで去ってしまった。

「ちょっと、待ってくださいよ〜」

と言った瞬間には信君の姿はいずこへと消えてしまっていた。

「ま〜仕方ないか、ほたる」

「・・・仕方ないね。」

「しょうがないほたる、さ〜て今日もバイトがんばるぞ〜!」

「そうだね、健ちゃん!」

と僕たちは結局、渋々とバイトを引き受ける事になった。

 

   

   2章 ルサックにて

 

と言うわけで僕とほたるは今日バイトを一緒にしている。

そして僕は信店長(あまり慣れないけど・・・)に店長代理(一日だけだけど)としてお客に謝り続けていた。

 「本当に大変だな〜、本当にどこに行ったんだ信君は、本当に迷惑だよな〜ほたる?」

 「まあまあ本当にそうだけど健ちゃんがんばって〜!あと5時間だよ〜!」

 「そうだな〜、まあがんばるか〜。 ところでもう昼の客も空いたし、どこか公園でも行ってお昼にしようか?」

 「いいな〜それ、それならいざ出発〜進行〜!!」

と僕たちは近くのコンビニでお昼を買ったあと、ルサック近くの公園のベンチに腰掛けた。

ふと空を見上げると青空が広がっていて蒸し暑いけどなんだか気持ちが良かった。

 「ホントに今日はいい天気だな〜、さてお昼食べようか」

 「それではいただきま〜す!」

 「いただきま〜す!」

と僕たちはいつものように仲良く話しながらお昼を食べた、

てその時僕はある決意をしていた、ある重大な決意を・・・・

 

   

   3章 指輪

 

そして、僕とほたるは仲良くお昼を食べた後、再びルサックに戻り、数時間バイトをしたあと、やっと上がりの時間が来た。

 「ほたる〜、ちょっと今日寄り道したいところがあるから先に帰っててくれない?」

 「うん、でも何するの〜?まさか、誰か他の人と会うの〜?」

 「違うよ〜、僕がほたるのほかに他の女の人と会うもんか〜、だって僕が好きなのは・・・・ほたるだけだから。」

 「も〜本当に健ちゃんったら〜、でもあんまり遅くならないでね!」

 「わかった、わかった〜♪それじゃ〜後でね〜♪」

と僕は桜峰駅前で別れて、シカ電に乗って藤川にやってきた。

 

 そして、僕は藤川のショッピングモールにやってきた。

僕はある店に行こうとしていた。その店とは宝石店。

・・・それは、この世界で一番愛しい人にあげるもの・・・そう、婚約指輪だ。

 「いらっしゃいませ〜、今日は何をお探しですか?」

 「え〜っと、婚約指輪が欲しいんですけど〜」

 「それならこちらへどうぞ〜」

 「はい、それでは」

と僕はその店の定員に婚約指輪が措いてあるコーナーに案内された。

そして店員に促されるままショーウインドウを見ていると

僕の目の中には一つの指輪が自分の視界に入ってきた。

それはそのコーナーの中では、あまり目立たないが何かその輝きに僕はひかれるところがあった。

 「あの〜これが欲しいんですけど〜」

 「はい、わかりました〜、はい、あっ、これですね、お客さん」

 「はい、その指輪です。」

 「そうですか〜、でもお客さんいい目していますね〜」

 「はい、そうですか?」

 「これはある巨匠の作品をうちの店長が特別品として仕入れてきたものなんですよ〜」

 「そうですか、じゃあそれをください、おいくらですか?」

 「15万円です。」

 「はいじゃあこれを」

と僕はバックの中から銀行の名前が入ったの袋を取り出した。

このお金は僕が工面して貯めたほたるとの結婚資金だ。

そして、このお金を店員に払って品物をもらうと僕は店を後にした。

その後、僕は帰りのシカ電の中で、どうやってプロポーズしようかと悩んでいた。

しかし無情にも電車はすぐに桜峰に着いてしまった。

こうして悩みながら歩いているうちに僕の足は朝凪荘の前についていた。

 

そこには、仲良くトモヤとじゃれあうほたるの姿があった。

 「健ちゃんおかえり〜」

 「うん、ただいま〜」

 「それじゃあ、健ちゃんも帰ってきたし夕御飯でも作りますか〜、 それじゃあ今日はほたる特製謎の夏野菜カレーにしようかな〜♪」

 「それじゃあ、それを頼もうかな〜、でもその謎って何なの? なにか変なものでも入れるの?」

 「それは秘密だよ〜♪秘密は秘密〜なの〜♪」

とほたるはそんな事を言いながら元気良く朝凪荘の中に入っていった。

そして僕はしばらくトモヤとじゃれあいながらほたるの作る『謎』の夏野菜カレーが出来るのを待っていた。

そして、夕食をとり終わってしばらくたった後、

僕とほたるは海岸に散歩に出掛けた。

その時僕の頭の中にはある一つの決意をしていた。

そう、結婚するためのプロポーズことばを・・・

 

 

4章 浜辺にて・・・

 

 それからしばらくすると僕とほたるは近くの浜辺に着いた。

そして僕とほたるは、海岸の砂浜に腰を下ろした。

 「そういえばここにくるの久しぶりだな〜そういえばあの頃以来だもんな〜あの夏のころの・・・」

 「えっ、あの頃って健ちゃんいつの事?」

 「四年前の今頃さ」

 「本当に色々な事があったよね〜、でもあのときあんなことがあったから、 今こうして私は健ちゃんといられるんだよ〜、ねっ健ちゃん! 」

 「そうだな〜ほたる」

とそんなことを僕とほたるは薄暗い浜辺で海を見ながら、あの頃のことを語り合った。

 

しばらくたった後、僕はようやく本題に入る決心をした。

 「そういえば、今年のクリスマスイヴでちょうどほたるとであってから五年がたつんだよな〜、考えてみれば本当にいろいろなことがあったよな〜」

 「そうだね、ほんとうに健ちゃんはいつも迷惑かけてばっかりだもんね!」

 「・・・そうだなほたる。ところでちょっと大事な話があるのだ聞いてくれるかな?」

 「うん、でも大事な話ってなに〜?」

 「・・それは、もう僕は就職が決まったし、あとはほたるの結果待ちだから、言おうと思うんだ。・・それは僕と結婚して欲しい。今までの同棲生活と違って、本当に僕の妻としてお互いを支えあっていく関係になって欲しい。いいかなほたる?」

 「・・・うん、今までこんな時がくるのを待ってた。ず〜〜と前から。」

とほたるは僕に急に抱き付いてきた、目に涙を浮かべながら・・・

 「そう、それならほたるに受け取ってほしいものがあるんだ〜」

 「えっ、なあに〜?」

と僕はポケットの中から小さな箱を取り出した。

その中身はさっき宝石店で買った指輪がはいっている。

 「これを受け取って欲しいんだ、世界で一番愛しい女性に・・・・。」

 「うん、でも健ちゃん一つだけお願いしていい?」

 「なに、お願いって?」

 「それはね、・・・この指輪を・・・私の指にはめて欲しいの。」

 「うん、いいよ。」

と僕はほたるの指にそおっと指輪をはめた。

 「健ちゃん」

 「なに、ほたる」

 「いつまでも一緒だよ。」

 「ああ、いつまでも一緒だほたる。」

と僕たちは静かに唇を重ねた。この幸せが永遠に続くことを願いながら。

 

 

 5章 Happy Life

 

 「健ちゃん起きて〜朝ですよ〜!」

 「う〜ん、もう食べられないよ〜」

 「も〜いつまで寝てるの、お寝坊さん、会社に遅れちゃうぞ〜!」

 「う〜ん、わかった、わかった、起きるよ〜」

と僕は眠い目をこすりながら蒲団から起き上がった。

そういえばあれときから10年が過ぎた。

そういえば僕たちは、その年のクリスマスイヴに結婚した。

そう二人がであったこの日に・・・

今では僕たちは二人の子供を持って幸せに暮らしている。

名前は、健二としずくといって双子の兄妹である。

そして、近ごろ二人はといえば、僕はある会社の係長をしている。

ほたるは、市内の小学校で音楽の先生をしている。

彼女はその全国で優勝するほどのピアノの腕はさる事ながら、その温厚な人柄や、

親切丁寧な教え方で生徒達の人気を集めている。

そんなことを僕はふと思いながら、朝食の席に着いた。

 「そういえば今日はクリスマスだな〜」

 「この子たちのプレゼント何にしましょうか?」

 「そうだな〜健二のほうはサッカーボールなんてどうだ。」

 「そうね〜いいんじゃない!そして、しずくは何にしましょうか?」

 「そうだな〜、ほたるはその年の時何をもらってた〜?」

 「う〜ん、そのころは、多分自分の好きな楽譜なんかもらっていたと思うよ。」

 「そうだな〜それはほたるに頼める〜?」

 「うん、今日は終業式だから大丈夫だよ。」

 「じゃ〜、よろしく〜。でも、この子ら僕達に似てるよな〜」

 「そうだね〜、そりゃ〜、かわいいほたるとかっこいい健ちゃんの子供だもん。」

 「ほんとに良く言うな〜、でもいいか、じゃあ健二のは僕が買ってくるよ。・・・君のも・・・。」

と僕は最後にちょっとほたるに言いそうになってしまったが、寸前のところでやっと言うのを止めることが出来た。

 「最後になんか言った?」

 「ううん、なんとも〜。」

 「怪しいな〜、あっ、そろそろ行かないと遅れちょうよ〜」

 「じゃ〜、行ってきま〜す」

 「いってらっしゃ〜い!今日は遅く帰ってこないでね〜!!」

と僕はほたるに見送られながら会社に出勤した。

そして今日はとても仕事をする気分でなく、何度も課長に怒られてしまった。

 

こうして今日の仕事は終わりを告げた。

 「は〜、やっと終わった〜、さ〜てプレゼントを買いに行くぞ〜!!」

 「よ〜イナケンひさしぶり〜!!」

と最寄りの駅の改札の前で信君に会った。

余談だが、信君は今でもまだルサックの店長のままである。

でも若くして店長になったし高校も出ていないのに

この役職にいることだけですごいことだと僕は常々思っている。

 「どうしたんですか〜急に〜?」

 「だってそりゃ〜今日クリスマスだろ〜うちのバカ息子にプレゼントあげなくちゃいけないから探していたんだよ〜」

 「そうですね〜、まだ決めてないんですか?」

 「そりゃ〜、まだ決めてないに決まってるよ。ところでイナケンは?」

 「僕の息子はもちろんサッカーボールですよ〜。」

 「そりゃ〜二代そろってサッカーばかになるな〜こりゃ〜」

 「なんか言いました?」

 「いいや、じゃ〜デパートにでも一緒に行くか〜?」

 「はい、じゃ〜さっさといきましょう〜 」

と僕と信君は一緒にプレゼントを買った後、駅前で別れた。

 

 そして僕はある店へと出掛けた。

今日はほたるとの結婚記念日でもあるから、そのプレゼントを取りに行ったのである。

そして、7時前に僕は家へと帰ってきた。

 「お父さん、お帰りなさい。」

 「お父さんおかえり〜。」

と僕の二人の子供、健二としずくが玄関に迎えにやってきた。 

 「健二、しずく、ただいま〜ほたる〜帰ったぞ〜」

 「あっ、健ちゃんお帰りなさ〜い。」

 「ああ、ただいま〜」

 「さ〜て、お父さんも帰ってきたし夕御飯しましょうか〜?」

 「そうだな〜、さ〜て、健二、しずく、夕飯だぞ〜!」

 「は〜い!!」

 「はい。」

と二人は返事をすると台所に向かって二人で走っていった。

僕たちは4人でクリスマス&結婚記念ディナーを楽しんだ。

そして二人の子供が眠った後、僕とほたるは、一緒にワインを飲みながら昔の思い出話をして、日付が変わる前に先にほたるは眠りに就いた。

なぜ僕がほたるといっしょに寝なかったのかと言うと、二人の子供と愛する妻の元にプレゼントを届けるために2人でいっしょに寝なかったのだ。

 「さ〜て、日付も変わったし。2人にプレゼントを届けますか〜」

と僕は戸棚からプレゼントを取り出すと 健二と、しずくの枕元にプレゼントを置いた。そして僕は自分とほたるの寝室に行った。

するともうはとるはぐっすりと眠りに入っていた。すると僕はほたるの枕元にプレゼントを置いて眠りに就いた。

 

次の日の朝・・・

 「あ〜、サンタさんのプレゼントだ〜!!」

 「私は、大好きなピアノの楽譜だ〜!」

 「僕は、サッカーボールだ〜!!」

と二人はとても喜んでいた。

 

 そしてほたるは・・・・

「健ちゃん、プレゼントどうもありがとう。」

「どういたしまして。」

と僕たちは朝から軽くキスを交わした。

二人はこう願った、こんな幸せ日々が永遠に続くようにと・・・・

                                 

  

                          FIN

 

 

 

あとがき

 

 ど〜も皆さんいかがだったでしょうか?山倉のSS1作目、ちなみにこの作品はKIDさまのHP、メモリーズオフショートストーリーの中に掲載されている、自分の作品を完全版としてここに掲載させています。

 ちなみにこの君とともにを現在読み返してみるとだいぶミスがありますね・・・

HPの掲載しているほうは自分で読んでいて間違いが結構目立ちましたね…

まあ、まだ下手くそながら少し修正させていただきました。

 これからもSSはぼちぼち載せさせていただきますんで、よろしゅうお願いします。

 それではまたお会いする日までさようなら〜