Memories off  Short Story

詩音Birthday記念SS

「君に贈るプレゼント」

 

 今日は2月3日、今日は俺の彼女である詩音のバースデーだ。

俺はふと窓の外を眺めるとそこには、ちらちらと雪が降っていた。

 「は〜今日は雪か、あっ、やべ〜、こんな時間だ〜、寝坊しちまった。早く行かないと詩音に怒られちまう。」

と俺は少しこんなことをぼやきながら、急いでパジャマから着替え、そして少し軽く朝食を採り、待ち合わせ場所である駅前の時計台の元へ急いで俺は向かった。

 

 「ごめ〜ん、ごめ〜ん、詩音、少し遅れてしまった。それはと言うと、雪の精が俺に雪を降らせてくれと言ったせいで……。」

と俺はいつものように時計台の前のベンチに、いつものようにハードカバーの本を読みながら待っていた詩音に、いつものように軽く言い訳をした。

 「も〜いつも智也さんはこうなんですから〜、こんな寒い中私を待たせるなんて、ひどいです!」

 「悪い、悪い、この通りだ詩音、お詫びになんか昼おごるから。このと〜り」

と俺はいつものように言い訳をし、結局最後には詩音に謝るといったいつもどおりの展開となってしまった。

「も〜、本当に智也さんは、仕方ありませんね〜、本当に今回だけですよ!つぎ遅れたら知りませんからね!!」

「はい、わかりました。」

と俺達は最初にこんな会話をしながらも、仲良く2人で手をつないで商店街の方へと歩いていった。

 

 「そう言えば詩音、今日寒くなかったか?」 

 「はい、今日はどうせ、寝坊すると読んでいたので、厚着してきたのであんまり寒くはありません。」

 「おい、そうなのか、詩音。」

 「はい、だって智也さんが、遅刻しないで来たのって、数えるほどしかないですから・・」

 「本当にいつもすまん詩音、それなら最初はその冷えた体を温めるために喫茶店でも行かないか?」

 「はい構いませんけど。」

 「それなら、いざ。」

と俺達は少し早足で商店街にある『紅茶のおいしい』喫茶店へと歩いていった。

 

 「ご注文は何になさいますか?」

 「俺は、アッサムを」

 「私は、ダージリンを」

 「はいかしこまりました。それではごゆっくりどうぞ。」

とウエイトレスのお姉さんは、マニュアル通りの対応で去っていった。

 「そういえば今日はどこに行こうか、詩音?」

 「う〜ん、そうですね〜、あっ、そういえば今日智也さん遅れましたよね、それなら今日はバツとして私の買い物に付き合ってもらいましょうか。」

 「はい、おおせのままに。」

と俺達は紅茶を楽しみながら、こんな会話を繰り広げたあと、詩音につれられ、彼女との定番コースである古本屋巡りへと狩り出したのであった。

 

そして1時間後、俺の両腕は本の入っている紙袋で埋め尽くされていた。

 「は〜、お〜い詩音、待ってくれ〜」

 「うふふふふ、待ちませんよ、それではあと3軒巡りますよ!!」

 「ひぇ〜、もう勘弁してください〜。」

 「うふふふ、勘弁しませんよ、さっ、行きますよ。」

と詩音は彼女の荷物を背負ってている俺を置いてさっさと先に駆けて行ってしまった。

 

 そして3軒巡り終わったあと、俺は彼女の荷物を背負って彼女の住んでいる家の玄関の前へと立っていた。

 「は〜、疲れた。そういえば詩音、この荷物はどこに置けばいい?。」

 「う〜ん、そうですね〜、ひとまず玄関の前に置いといてください。」

 「うん、わかった。じゃ〜、これで。」

 「あっ、ちょっと待ってください。うちで私の煎れた紅茶一杯いかがですか?」

 「うん、いいけど、叔父さん達居ないの?」

 「今日は買い物に出掛ていて、しばらく帰ってこないので大丈夫です。」

 「そう、それならお言葉に甘えていただこうかな。」

 「はい、かしこまりました。そこのソファーにかけてお待ちください。」

 

 「お待たせしました。」

と詩音は、紅茶とクッキーを持ってやってきた。

 「ありがとう、詩音。」

 「はい、どういたしまして。」

 「そういえば今日詩音はバースディだったよな?」

 「はい、そう言えばそうですけど。」

 「それなら、紅茶のお礼と言うか、普段のお礼と言うか、う〜ん、まあ、どうでも良いや、それじゃ、これをあげよう。」

と俺は自分で持ってきたかばんの中から、厳重に包装された包みを取り出した。

 「さっ、開けてみてよ、詩音。」

 「はい、わかりました。」

と詩音は、少し緊張した手つきで、俺の持ってきた袋をあけ出した。

 「わ〜、これは、ティーカップですか?」

 「うん、そうだけど、気に入ってくれた?」

 「はい、そういえばこれって、もしかしてあなたの手作りですか?」

 「うん、そうだけど、やっぱり下手だった?」

 「いえ、別にそんなことは無いですよ。」

 「そう、それなら良かった。1ヵ月駅前の陶芸教室に通って作った甲斐があったよ。」

 「そうなんですか?そんな前から私のプレゼントを作ってくださったんですか?」

 「ああ、以外と陶芸って大変なんだな。これだけ作るのにずいぶん大変だってわかったよ。」

 「そうですか〜、そんなに苦労なさったんですか〜、私のために・…。」

と詩音は涙まじりにつぶやいた。

 「おぃ、どうしたんだ詩音、急に泣き出して。」

 「・…、うれしいんです、あなたがこんなに私のことを思ってくれて・…。」

 「ありがとう詩音、これからもいっしょにいような!」

と俺はうれし泣きをしている詩音を軽く抱きしめた。

 「はい、智也さん。」

 

 そしてしばらく俺達は抱き合った後、俺は帰ることとなった。

 「それじゃ〜、また明日いつもの場所でな。」

 「はい、ちゃんと遅れないでくださいね。」

 「うん、わかってるよ。遅れないようにする。」

 「それじゃ〜、私からのお礼です。」

と彼女は俺に急に唇をあわせてきた。

 「おぃ、ちょっと急過ぎるんじゃないか?」

 「どうでした、お礼は気に入ってくださいましたか?」

 「・・…ああ。」

 「それでは明日いつものところでお待ちしています。」

 「うん、それじゃ〜な。」

 「それでは、ごきげんよう。」

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 は〜やっと完成しました。今回のSSは誕生日ということで、あげるものは色々と迷いましたね〜。

結局智也君の贈ったものは自作のティーカップでした。これも最初は栞だったり、庭で作っていたお茶の葉、自分で静岡までお茶をとりに行くって言う没ネタまでありました。

これはこれで面白かったかも・…。

こんな感じで、またSSが出来てしまったので良かったら読んでやってください。

SSはこんな感じで気分的に書きたくなったら書いていくんでどうぞよろしくお願いします。

ご意見ご感想は掲示板までお寄せください。

それではまたお会いしましょう。

 「それでは、ごきげんよう。」