Memories off 2nd Short Story
卒業記念SS「卒業~これからの道へ~」
2002年3月9日
今日は僕がこの学校を卒業する日だ。
僕はどうにか進路も決まり、ほたるも音大に行くことが出来た。
そして僕達は今、仲良く通学路を歩いている。
「は~、今日でこの学校ともお別れか~。本当にこの学校で過ごして3年間はいろいろなことがあったな~、なっ、そうだろほたる?」
「うん、そうだね!なんせほたるは健ちゃんに出会うことが出来たんだから・・・・・。」
と言いながらほたるは僕に急に飛びついてきた。
「おっ、おぃ、恥ずかしいじゃないか・・・・、こんなに人が多いところで・・・」
「も~、健ちゃん、別に恥ずかしがらなくたって、EじゃんFじゃんGじゃん!!」
とほたるはそんなことを言いながら、恥ずかしがる僕を尻目に、僕に腕を絡めてきた。
「あ~、もうしょうがないな~。さ~て遅刻するし、そろそろ行こうか。」
「うん、それじゃ~、競争だよ!それじゃ~、よーい、ドン!!」
とほたるは僕を見捨てるように元気良く駆けていった。
「おはよう、翔太!」
「ああ、、おはよう。」
「どうした翔太、今日は元気無いな~」
「いや、別にそんなこと無いけど・・・、ただちょっと今までの高校生活を思い出してただけだよ・・・・」
「そうか・・・、僕もおまえもいろいろなことがあったからな・・・・」
「ああ、そうだな、そういえばほたるちゃんは?」
「ほたる?う~ん、今友達としゃべってくるって言ったけど・・・、あっ、うわさをすればなんとやら・・・、ちょうどこっちに来たよ。」
「翔たん、おはよ~!!」
「ああ、おはよう、ほたるちゃん。」
「そういえば今日で卒業だね~。なんかもうほたる、ちょっとしんみりしてきちゃった・・・・。」
「おい、ほたるもう泣いてるのか?もう泣いちゃって、本番どうするんだよ・・・。これぐらいじゃ済まなくなるぞ・・・・。」
と僕は瞳に涙をためている、ほたるをそっと抱きしめた。
「あっ、・・・・・、でも色々あったから・・・、この学校には・・・。なんか色々と思い出しちゃって・・・・。」
「ああ、そうだね、なんせこんなかわいい子とも会えたんだしね・・。」
と僕は頬を少し赤らめながらいった。
「も~、健ちゃんたら~。」
とほたるも少し照れくさそうに僕の顔を見ていた。
「ゴホン、ゴホン!」
と翔太は2人の世界に入ってきた僕たちを現実世界に戻してきた。
「ホントに、お2人さんが仲が良いのは解ったから。そろそろ先生も来るしやめたらどうかな~。」
「ああ、わかった。」
「うん。」
と翔太の一言によって、僕とほたるののろけタイムは終わりを告げたのであった。
そしてしばらくして式が執り行なわれた。
もうすでにほたるは始まって数分しか経ってないのにも関わらずもう泣いてしまっている。
そして僕の目頭にも何か厚いものがこみ上げていた。
肝心の式の内容はといえば・・・
「我が校はこの地域におけるハイレヴェルな学校として、周囲に名を誇っている。 しかし、決してただ頭の言い人材を作ってきたわけではない。この世の中、知能が高いから良いとは言えない。世間に必要な人材とは、良く考え、良く取り組み、そして何事にも耐えうる不屈の闘志こそが、これから世の中で必要だと私は思っています。そしてみなさんは、色々な道を歩んでいきますが、道は決して平坦でないし、時には道を外れることもあるでしょう。ですが、決して己の意思と希望は捨てないようにこれからの人生頑張っていってください。」
とこの様な感じの事を校長は話していた。
そして最後のHRが終わって僕達はそれぞれ帰宅の途に着くことになった。
校庭には、仲良く写真を取り合う者、仲良く後輩と語り合う者。
教師と仲良く写真を撮るもの・・・・、そして仲良くカップルで良いムードになっている者・・・
そんな渦中にいる僕とほたるは、もちろん仲の良いカップルの方だった。
「あっ、健ちゃん、写真撮ろうよ~!」
「うん、良いけど誰に撮ってもらう?」
「そうだな~、あっ、あれって健ちゃんの部の後輩じゃない?」
「ああ、そうだな。お~い、天野、ちょっと写真とってくれないか~?」
「はい、良いですけど。」
「それなら、よろしく頼むよ。お~い、ほたるカメラは?」
「うん、ちゃんと健ちゃんといい思い出を残すために、お父さんのカメラ、勝手に持ってきちゃった!」
「・・・・・、まあ、いいやじゃあ、天野よろしく。」
「はい、それでは、はいチーズ!」
「カシャ!!」
「どうもありがとう、天野。今までありがとう。そしてこれからもよろしく!」
「はいこちらこそ、たまには練習に顔出してくださいね。」
「うん、翔太誘ってたまには顔出すから、ちゃんと練習するんだぞ!」
「はい。お待ちしています。それでは。」
と天野はいつものように元気よく駆けていった。
「それじゃ~、健ちゃんこれからはお互いに写真1枚ずつとって行くからね~。」
「ああ。」
とこのような感じで僕とほたるはフイルムが切れるまで、お互いを撮り合った。
音楽室のピアノを弾くほたる。サッカーボールを蹴る僕。
それは今までは日常でも、これからは日常でない風景だった。
そして写真をすべて撮り合ったあと。僕達は登波離橋の上を歩いていた。
「は~、もうこれで卒業か~。もうあの学校に制服を着ていくことは無いんだな~。」
「うん、そうだね。これからほたると健ちゃんは別の進路か~、毎日会えなくなるのかな・・・」
「う~ん、別にそんなことはないと思うよ。だって僕はほたるの学校に近いところを選んだから一緒に勉強は出来なくても、通うことなら出来ると思うよ。」
「うん、だから健ちゃんはほたるの学校に近いところを選んだよね~。関心、関心。」
とほたるは僕の頭を撫で撫でしてきた。
「おっ、おいっ、恥ずかしいじゃないか~。ちょっとやめてくれないか・・・」
「いいっぺ。恥ずかしくないっぺ。じゃ~次は~」
とほたるは今度は僕に抱き着いてきた。
「そういえばここで健ちゃんに告白したんだよね~、ここからすべてが始まったんだよね~。」
「ああ、そうだね。ここからすべてが始まった・・・。」
「うん、これからもず~~っと一緒にいられるよね?」
「ああ、もちろんさ。」
と僕は抱きついているほたるをさらに抱き寄せ。そしてお互いの距離はゼロになった。
「・・・これが証拠さ・・・。いつまでも一緒にいような。」
「うん、一緒だよ。」
「それじゃ~、また明日ね。」
「うん、明日ちゃんと迎えに行くから。寝坊しないでちゃんと起きててね!」
「ああ、解った。ほたるの朝食でも用意しておこうかな~。」
「それじゃあ、期待しないで待ってるから、よろしくね。」
「それじゃ~、また明日。」
「うん。」
とはたるはいつものように元気良く手を振りながら橋の向こう岸に歩いていった。
そしてほたるがいなくなった後も、しばらく僕は橋の上で物思いにふけっていた。
(僕は、今日、高校というほたるとの繋がりをひとつ失った。
これから僕達にはどんな事が待ちうけてるだろう。
それは誰にもわからない。
ただひとつだけ言えることがある。
迷ったり、道を見失ったこともあったけど、これだけは失いたくない。
そう、それは彼女との関係。
彼女の名前は白河ほたる。
僕は彼女と人生の全てをともにしたい。
うれしいことも、つらい事も。
願いはそれだけ。
そう、僕が彼女を卒業することはないのだから。)
Fin
あとがき
ど~も約1ヵ月ぶりのSSです。いかがだったでしょうか?
このネタは風邪で熱を出していたときに思いついたネタを元にしています。
今回のSSは結構自分の感情が入ってしまったような気がします。
校長の話なんか特にですね~。
こんな感じでこれからのSSシリーズ化するかも?(自作の小説も進んでないのに・・・・。)
次は入学式なんかで・・・。(高校時代orそれからで)
って言う感じでSSも順次更新していく予定なので、どうぞよろしくお願いします。
感想もお待ちしています。当HPのBBSまでお寄せ下さい。
それではこんな感じでそれではまた~