舞茸採り

細谷から「マイタケを採りに行かないか」という電話があったのは、27日の夕方である。
少々入れ込みがちな細谷の口調に気圧されるように同意した私の胸には、すでにあきらめに似た気持があった。
だって、今年は天候の不順で全ての生り物が不作であるというのが、巷の定説になっているのだ。
そんな時に「マイタケ」が採れるはずがないではないか。
それでも、28日早朝に細谷の車で日光を出発した。
行き先は秘密である。
この「マイタケ採り」に関しては「子供にも、その場所を教えない」などと言われているほど、トップシークレット扱いである。
であるから、今回の行き先も栃木県栗山村の某所ということで勘弁してほしい。

林道の路肩に車を止め、涸れ沢伝いに山に入る。
この山は一度伐採が入ったらしく、尾根まで上がらないとミズナラが無いのだ。
考えてみると、マイタケの採れる山は原生林である。いくらミズナラの木があっても、若い木にはマイタケは出ない。年月を重ねた老木に寄り添うようにマイタケは出るのだ。とすれば、マイタケが採れる山を残すことは手付かずの自然を残すということなのだ。
乱伐によって無くしてしまった自然がある。山や渓を歩いていると、目的の分からない林道や堰堤に出会う。それらの人工物が地元の人たちに何らかの恩恵を与えているなら、余所者は黙ってうなだれるしかないのだが、理解に苦しむようなものが刻々と山や渓を蝕んでいるような気がする。
だからこそ、山や渓に入る者はアンテナを張り巡らし、警告を発しなければならない時代になってしまったようである。
ようやく尾根まで上がり、マイタケを求めての探索が始まる。
しかし、言うまでもないことだが、おいそれと見つかるキノコではあるはずもなく長い山中の彷徨の始まりでもあったのだ。

ミズナラを見つけると、その根の周りを探るのだが、マイタケは発見できない。約2時間半、山中を彷徨うがシャカシメジを少量採っただけ。
仕方なく、尾根の上で大休止。ガスで湯を沸かし、コーヒー・ブレイク。



マイタケ採りに向かう途中の霧降高原の夜明け (S細谷)
サルノコシカケの一種だと思うが、露が付いたように見えるのは、多分ヤニのようなもの? (N小平)

そうするうちに、一つのピークに差し掛かる。この先はホソ尾根が続くだけである。
ここから、左の斜面を下りることにする。
もちろん、下りるといってもマイタケを探しながらである。
下りて行くこの斜面は、腐葉土が何十年もの歳月を経て重なり、歩くこと自体が気持のいい森であった。
そのうちに、少し離れた所で細谷の叫ぶ声が聞こえる。
「アッタァ〜!!」

ミズナラの根元にへばりつくように、その一件はあった。
まさしくマイタケである!
踊りだしたくなる気分とは、このことなのだろう。我々は、にわかに興奮の渦に包まれたのだ。
諦めが、歓びに変貌し、次なる期待を呼ぶのである。
そして、次のマイタケも細谷が発見した。





この場所には、3株のマイタケが付いていた。
ただ、少し気に入らないのは私がすぐ隣にあるミズナラを見たのに、その木を見落としたことで、今回は細谷の圧倒的勝利に終わったことだ。
しかし、今季最初のマイタケ採りで、結構な収穫があったことは大いに喜ばしいことである。


上の写真のようなクリタケの群落も見つけた。
クリタケが出ていたのはここだけだったが、それでも腰の籠が重く感じるほどの収穫だった。


ガマズミ
フジアザミ
今年は、多分、これからシメジなどの秋のキノコは、あまり出ない
のではという憶測が飛び交っている中での今回の収穫である。
そういえば、今頃は顔を見せてもおかしくないナラタケが一本も
出ていなかった。
昨夕、細谷に電話での誘いを受けた時にも、まさかマイタケが採
れるとは思わなかったのだ。
山の神に感謝!!である。

今回の収穫・マイタケ、クリタケ、
アケボノサクラシメジ、シャカシメジ、
マスタケ、チタケ
S=Cyber-Shot U
N=Coolpix
(S細谷)
(S細谷)
(N小平)
(N小平)
(N小平)
(N小平)
(S小平)