祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ |
祇園精舎の鐘の音には 永遠に続くものは何もないと言っているような響きがある まんじゅしゃげ(彼岸花)の花の色は 栄えたものは必ず滅びるという法則を表している。 権力を持ったものも長くその権力を持ち続けることはできない。 それは春の夜の夢のようだ。 強い力を振るったものも結局は滅びる。 それは風の前にあるちりと同じである。 |
「祇園精舎」はインドにあるお寺の名前を日本語に音訳したもの。「声」は「音」の意。 「諸行」は「万物」、つまりこの世に存在するありとあらゆる物という意味の仏教用語。前の文と合わせて、鐘をついたときにだんだんと小さくなっていく音に永遠に続くものは無いと悟らせてくれるような響きがあるという意味。 「沙羅双樹」は「まんじゅしゃげ」。 「盛者」は、権力を持って栄えた人々ということで、それは必ず衰退するというこの世のルールを表しているという意味。 「おごれる人」は「強い権力を持って威張っている人」ということで、全体ではそんな権力を持っている時間は短いという意。 「春の夜の夢」は、あっという間に終わってしまう幸せな時間のことを表現するのによく使う例え。前の文と合わせて、永遠に権力を保ち続けるのは無理ということを言っている。 「たけき者」は「猛き者」、つまり自分の権力や腕力を振りかざしている者ということで、「ついに」は「終に」、つまり「最後には」とか、「結局は」ということを意。 「偏に」は「ただ」と同じ意味で、前の文と合わせて権力を振るった者が滅びるのは、風の前のちりが飛ばされる運命にあるのと同じように、抵抗できない運命なのだという意 |