「和風モダンの平屋住宅 間取りと実例写真」  
2010.12.31



 

アイプラスアイ設計事務所が設計した平屋住宅の実例、施工例を紹介します。

この事例は、市街化調整地区に建つ、兼業農家の建て替え計画です。建て主さんが30年前に建てた元の家も平屋で、恵まれた自然環境の中で、威圧的でない立ち姿が好ましくはありました。が、中廊下型の平面で軒が低く、家の中央から北側にかけてはいつも暗い上、隙間風も入り断熱性能も低いため非常に寒いという、高齢者にはちょっとつらい状態の家でした。建て替え計画では、それらの解決がまず求められました。



これが建て替え後の外観です。試行錯誤の結果、純粋な平屋建てではなく、平屋の大屋根の上に望楼がのる構成になりました。南側は深い軒を列柱が支える、縁側空間になっています。昔ながらの構成ですが、 高気密高断熱で屋根通気を備えているなど、性能は高く、窓はすべてLOW-Eガラスになっています。


西側のアプローチ部分です。恵まれた自然環境にフラットルーフの建物は似合いません。望楼部と平屋部分がかみ合わさるように、勾配屋根を架け、周囲の山並みになじませています。外壁も落ち着いた色の大和張りの杉と、ガルバリウム鋼板を組み合わせ、恵まれた自然環境に配慮しています。



南側は畑や樹木で、隣家とはかなり離れているため、縁側も覗かれる感じはありません。望楼部、南側はフィックスガラスですが、東側は手動の滑り出し窓、北側上部にはには電動の滑り出し窓があって、換気できるようになっています。



縁側の中央には、室内方向に一部大きくなった中庭があります。近所の人たちが玄関を通らず、直接この空間に上がれるようになっています。奥行きが大きいので、暗くならないように、トップライトを設けました。



住まい手のKさん家族。


望楼の下部から、リビング方向を見たところです。望楼のおかげで室内は、こんな具合に大変明るくなっています。望楼の光は、上空に浮かぶスノコ越しに取り入れています。大屋根は、垂木を細かく並べた垂木構造で、陰影が美しい模様になっています。すっきりした格子状のモチーフで和の空間を表現しました。


リビングの一角にはエンバイロのペレットストーブを設置しました。このペレットは周囲が熱くならないので、ガラスや木の壁の前にも置くことができます。腰壁を設置したいというご希望には、ヒノキの合板を染色して使うことで対応しました。


望楼の北側は収納-居室-浴室-キッチンが一列に並びます。これは、北側の和室です。障子の桟は2分5厘の繊細な表現。畳は縁を細くし、傷まないように逆勝手に敷いています。


浴室です。内装はタイルとヒバ無垢の組み合わせです。バリアフリーを意識しているので、入り口は3連の引き戸。水栓は少し高い位置に設置しています。シャワーのフックは手すり兼用のタイプです。


キッチンは北側にありますが、大きくとったハイサイドライトや勝手口の光で、暗さはまったくありません。2つの開口部をスリット窓でつないだのはデザイン上の工夫です。


南側の和室です。床の間の奥が中庭とつながっています。うるさくならないよう、大壁ですっきりと表現。



望楼の下部はこんな風に吹き抜けていて、光が上部から降ってきます。正面は玄関です。丸見えにならないよう格子戸を設置しました。階段は米松の力桁形式で、段板はタモの無垢材。



階段を上るとトイレのブロックが空中に浮いています。いかにもトイレというふうに見えないように、内窓を設けています。2階の勾配天井は無節の杉羽目板を着色しています。



息子さんの部屋。イケアの脚に板を渡してテーブルにしています。北側のやわらかい光が心地よいです。読書に最適ですね。左手は小屋裏収納とつながる引戸です。



息子さんの部屋から望楼の大窓を見た風景です。



望楼のスノコは吹き抜けに浮かんでいます。



夜は1階の光がこんな風に入ってきて、幻想的な状態になります。



平面は施設中心のホールや中庭を、他の諸室が取り囲む囲むような間取りになっています。

光は外周部に加え、ホール上部から採光することで、中央部が暗くなりがちな平屋建ての 欠点を補っているわけです。

1階は、玄関-ホール-LDKを貫くメイン動線と平行に、納戸-和室2-脱衣室-台所を貫く裏動線がつくられています。さらに、縁側や中庭が、諸室をつなげます。

そういった動線のネットワークは、さまざまな部分で回遊性を生み出し、諸室を有機的に結び付けます。好きなところに自由にいけるという、平屋のよさが最大限に発揮できる間取りになっています。

建主さんは木をたくさん使うことがご希望でした。「高齢者が住む平屋の木の家」というと、どうしても野趣あふれる素朴な味わいの田舎屋をイメージしてしまいがちですが、この住宅は、格子のモチーフや細部のディテールのさまざまな工夫で、伝統的な和の要素をベースにしながらも、現代の日本人の生活にふさわしい、軽快でモダンな空間を表現できたのではないかと思います。

 

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