|
アイプラスアイ設計事務所が設計したローコスト住宅の施工例・実例を紹介します。といっても、パワービルダーがつくるような、安普請のローコスト住宅ではありません。ここで紹介する16の事例は、ほとんどが2250万円以下(税別)の住宅ですが、すべて屋根通気層を設けた、高気密高断熱のデザイン住宅になっています。我々は、ローコスト住宅というよりも、長期間価値の失われない、「納得コストの住宅」を目指しており、そのコストパフォーマンスのよさから、建主さんの満足度は極めて高いと自負しております。
下記4つは、2011年の1月末から2月にかけて、竣工した案件です。最近の事例は、過去の経験に基づいて、コストダウンを図っており、一見するとローコスト住宅には見えない、かなり特殊な形態をしています。
アイプラスアイの初期の案件は、もう少し箱型の素直な形状のものが多かったと思いますが、高性能なデザイン住宅であることは、今も昔もかわりません。
下記、初期の案件 から、時系列にみていきます。
■ローコスト住宅事例-1 八王子みなみ野i邸
工事費1535万円(税別) 98.6u(ロフトなし) 正方形間取り
この案件は親の家ということもあって、 ローコスト化するためのさまざまな手法を実験的に採用しています。
外観はほとんどガルバリウムの角波ですが、道路側だけ、左官材料や無垢木材を採用しています。窓は住宅用アルミサッシを組み合わせて表現しました。建物に費用をかけられないかわり、庭はゆったりスペースを取り、植栽を植えました。樹木1本の値段というのは、びっくりするくらい安いのですが、その効果は絶大です。安い家も植栽によって、リッチに見えます。

4間四方、田の字プランの平面です。金物工法を採用し、構造体は露出させています。内部は作りこみすぎず、高性能なシェルターを用意すれば、とりあえず生活には困らないだろうという発想で設計し、収納は施主工事に任せています。内装は基本的に無垢材です。節や反りなどを許容すれば、自然素材は質感が高く、コストもかけずに採用できます。
■ローコスト住宅事例-2 鎌倉Y邸
工事費1600万円(税別) 90.3u(ロフト含) 箱形間取り
独立後最初の仕事です。「建物の空間を最大限に活用し、規模をコンパクトに圧縮すること」に加え、「凹凸の少ない箱形のシンプルな形状」を採用し、コストを抑えています。外壁はガルバリウムのスパンドレルです。

この事例も住宅用のアルミサッシを組み合わせ、大きな窓に見せて、高級感をもたせています。窓際には竹を植えました。門柱も大工さんにつくってもらいました。
内装は、できる限り間仕切りのないオープンプランとしました。オープンプランの場合は、家の断熱性能が重要です。高気密高断熱にすれば、エアコンが1〜2台で全館冷暖房が可能となります。

この事例では、すべての構造体を、単価の安い120角の米松で構成しました。床はその角材を合板で挟んだサンドイッチ構造です。小さな角材も上下を板で挟めば、ダンボールのように強度がでるのです。鉄骨造のような非常に薄い床で、結果的に建物を小さく、部屋のエアーヴォリュームを大きくすることが可能になりました。
室内をできる限り無駄なく使い、かつ広く見せるため、床は スキップさせています。
天井の照明は配線ダクトを基本とし、ソケットにレフ型の蛍光灯をつけた安価な照明を設置しています。

収納もできる限り ローコストに。右手はニトリ製のカラーボックス用のかごに合わせ、棚サイズを決定。左手はイケア製のシェードで、洋服を隠しています。この部屋自体も、通り抜け型のクロゼットと脱衣を兼用した空間になっています。クロゼットや納戸内の廊下空間というのは、普段は使われない、もったいないスペースですが、ウォークスルーにすれば、まったく無駄が出ないわけです。
そのほか、別頁に細かく解説がありますので、ご覧ください。
■ローコスト住宅事例-3 越谷S邸
工事費1770万円(税別) 107.7u(ロフト含) 中庭あり 集熱機構あり
この住宅の敷地は、南側が16mの道路で、非常に日照条件が良いのが特徴です。ここにご両親と成人した息子さんの3人が暮らします。

南面の開口部の約半分を開口部とし、残り半分は冬期間に熱を集める壁面として計画しました。黒い壁の部分は外壁で暖められた空気を床下に送り、暖房として利用します。
つまり、壁面は必ず、開口部か、集熱部 になっていて、遊んでいる壁面がないわけです。

吹き抜けの上部には全面的にスノコの床を設けました。スノコ床は安価な2×4材などを加工してつくりました。
そのほか、別頁に細かく解説がありますので、ご覧ください。
■ローコスト住宅事例-4 川崎H邸
実質工事費2230万円(税別) 115.3u(ロフト含) 箱形 高低差1.5m深基礎あり
高低差のある不整形の宅地に建住宅です。全体の形状をシンプルな箱型にすると、外壁面積が減り、コストダウンが図れます。このケースでは箱型の外観が単調にならないように、北側には大きな窓を設け、木の外壁で仕上げました。

準防火や法22条が指定された地域(首都圏の市街地はほとんど法22条の制限がかかっています)では、防火の対策をせずに木の外壁を張ることはできません。防火性能のある木を張る、下地にモルタルなどを塗る等の方法であれば、許可されますが費用的には高価です。このケースでは下地にダイライトを張って、防火制限をクリアしています。

敷地高低差処理のため、かなり大掛かりな深基礎を設置しました。また、写真のように、床は高価なチークのフローリングを使用しています。その費用を補うため、階段や枠や家具の塗装はすべて施主工事で対応しました。

広々させるために、共用部をゆったりとるのがこの住宅のテーマです。子供たちのスペースは、わずか2.3m四方の最小限個室です。この中に、収納、本棚、机、ベッドが、密実に無駄なく収められています。
■ローコスト住宅事例-5 多摩N邸
工事費2085万円(外構、地盤改良、税別) 103.1u(ロフト7.9u含、下屋庇20.3u除く)
多摩とは思えない圧倒的な自然環境の中に建つ住宅です。道路が敷地を取り囲むようにまわっており、道路対面は、桜並木の緑道です。単純な箱型の基本ユニットに、軒の深い庇を回し、真四角な印象を回避しています。
庇は外部と内部の干渉空間として機能します。 深い軒によって、建物に陰影が生み出されます。

「借景」がこの住宅のテーマです。 庇をまわし、恵まれた自然環境を借景することで、、小さな住宅に広がりを生み出しています。
天井は安価なシナ合板で仕上げましたが、しっとりとした落ち着きが得られました。この家もコスト抑えるために塗装工事でお施主さんが大活躍しています。
■ローコスト住宅事例-6 浦和S邸
工事費2100万円(外構・税別 支給品含) 102.4u(ロフト含)
浦和の屋敷町に建つ、家族3人+子犬一匹のための2.5階建て、スキップフロアの住宅です。敷地は22坪の狭小住宅ですが、内部には狭小地、狭小住宅とは思えない、広がりが生み出されています。

外壁は、黒いガルバリウムの角波と、ウォールナット色の杉板で仕上げました。安価な材料の組み合わせですが、窓周りの工夫や、シャープなおさまりの玄関庇によって、雰囲気のある外観にすることができました。一階の外壁が傾けたのは、車をとめられるようにしつつも、広い内部空間を得るためです。
この住宅は北側はオープンスペースに面しますが、南側(向かって左)は隣家にふさがれ、採光があまりよくありません。
そこで、2階南窓の光を室内にできるだけ導けるように、シルバー色のガルバリウム鋼板を室内に張ってみました。また、白が基調になる室内のアクセントにラーチ合板を着色して使ってみました。一枚数千円の材料ですが、ビロードのような光沢があり、高級感が得られました。
■ローコスト住宅事例-7 杉並U邸
工事費2050万円(税別 支給品含) 105.3u(ロフト含)
有名なイラストレーターの自邸兼アトリエです。お仕事で、装飾いっぱいの建築のイラストを当時描いていたので(後にこのイラストでアニー賞を受賞されます)、自分の家は、すっきり白い四角い箱のような住宅にしたい、というご要望でした。

旗竿地なので、敷地延長部に向かって窓を集めています。外壁は淡いグレイのガルバリウム小波板です。敷地は防火地域で、準耐火性能が要求されました。木の部分は、がんばって、準耐火が取れる、ちょっと高価なレッドシダーを張っています。

「その先にまだ続きがあるような奥行き感のある空間が好き」という高度なご要望をいただきました。この住宅では、光の気配や透けによって、奥行き感を演出し、限られた空間を広々見せるように配慮しました。この方法は一切お金がかかりませんので、小さな住宅では特に有効な手法だと思います。
■ローコスト住宅事例-8 朝霞K邸
工事費2110万円(税別 支給品含) 101.4u(バルコニ、中庭除く)
敷地は南と西に道路が面する角地です。家族3人のための住宅です。この案件では、コスト優先の発想から、それまで禁じ手としてきた凹凸のある形状に挑戦してみました。外壁素材は定番のダークグレイ系のガルバ角波です。

コーナー部2階は交差点に向かってはねだす格好をしています。ピロティ下部は自転車置き場としての利用を想定。2階の反対側は逆に引っ込んだバルコニーになっています。引っ込むことで外部空間を取り込み、縁側のような外と内の中間の領域を作り出しています。
凸部の背後から採光すること、室内に窓状のモチーフをつくることなどによって、この案件でも奥行き感、つながり感を生み出しています。
■ローコスト住宅事例-9 西荻T邸
工事費2120万円(税別 照明別) 102.0u(ロフト含む、バルコニ、中庭除く)
北側道路の敷地に建つ、家族3人の住まいです。 南と東は隣家が迫ります。昔の家の1階リビングは暗くて寒く、雨が漏るということで、建て替えを決意されました。奥様は雑誌編集者で、アンティークなどがお好みです。

生き物のようにも見える、表情豊かな窓を設けるのは、アイプラスアイのテーマのひとつです。 コストが限られる家では特に窓の扱いは重要です。この案件では、見通しの良い北西の角に、大きな窓を設けました。

明るくなるよう、ちいさな中庭を設け、お隣との間に引きを取りました。おかげで、隣家が迫るとは思えないほど明るい家になりました。ここで取り入れた光は、階段吹き抜けを通して、一階の玄関土間まで導いています。
中庭沿いのサッシは、リブガラスの入った木製の引戸を設け、アルミサッシを隠しています。こうすれば高価な木製サッシを使わないで済みます。
■ローコスト住宅事例-10 横浜K邸
実質工事費2170万円(税別) 97.5u(バルコニ除く)
横浜の見晴らしの良い丘の上に建つ、家族4人のための住宅です。道路付けは東で、向かって左方向が南。向かって右側に1種高度斜線がかかる敷地です。横方向から斜線制限がかかる場合、箱型にすると、いかにも切られたという姿になってしまうため、箱型形状を弱めるデザインを心がけました。
左手ガラスのブロックと右手の木のブロックがかみ合わさった形をしています。

この家も、ともかく明るくしたいというご要望がありました。内部はあえて北上がりにした片流れの屋根沿いに設けたハイサイドライトからも採光。光を吹き抜けから落とすよう計画しました。もちろん日中の電気は不要です。
この案件も、高価な窓が多かったので、塗装工事はお施主さんが活躍。床の塗装に加え、枠や階段、家具を白く塗装するのも施主工事で行いました。
■ローコスト住宅事例-11 高円寺I邸
実質工事費2100万円(税別) 93.6u(ロフト含む)
密集地に建つ準耐火構造の住宅です。道路から向かって左が南。高度斜線が横からかかる敷地ですが、箱型のイメージの住宅を建てたいというご要望でした。

狭小地なので、面積は法規との戦いになります。確認機関に聞いたところ、屋根のない壁であれば床面積に算入されないとのことでしたので、道路側に自立壁を建て、見上げたときは印象が箱型になるようにしました。同時に、ご要望のあった洗濯物干し場を自立壁との間に設置しました。

敷地面積からすれば、3階建てとすべきところですが、ロフト付2階として、コストを大幅に節約しています。
フローリングは無節の杉材です。やわらかくてキズがつくことを気にしなければ、安価で暖かくて質感の高い材料です。
■ローコスト住宅事例-12 飯能i邸
実質工事費2150万円程度(税別・施主工事分を仮に600万として) 109.4u(ロフト含む)
現在建設中の飯能i邸です。ハーフビルドの住宅で、構造と、外まわりは工務店工事。内装の木工事、タイル工事、家具工事、建具工事、電気工事が施主工事です。
材料は外回りと木材関係は工務店手配、機器は施主手配です。

ともかく時間はかかりますが、質を落とさずコストを下げる最も有効な方法は、施主工事を増やすことです。もちろん、そんなことができることは、ごくまれなケースだとは思いますが、設計者、施工者と相談し、少しでもできることがあれば協力するというスタンスが大切だと思います。
■ローコスト住宅事例-13 西国分寺T邸
実質工事費万円(税別) u(ロフト含む)
■ローコスト住宅事例-14 宇奈根S邸
実質工事費万円(税別) u(ロフト含む)
■ローコスト住宅事例-15 松戸N邸
実質工事費万円(税別) u(ロフト含む)
■ローコスト住宅事例-16 高崎K邸
実質工事費万円(税別) u(ロフト含む)
なお、 上記コストは下記の様に算出しています。
・金額はすべて税抜き金額です。
・造り付け家具やオーダーキッチンの費用は上記に含まれています。
・特記なき限り支給品は含まれています。
・建物から道路までの給排水工事はもちろん含まれています。(道路から宅地へは給排水は引き込まれているものとしています。)
・設計料および、確認申請などの手数料は含まれていません。
・地盤改良費は含まれていません。
・外構費用(舗装、植栽、縁石切り下げ、フェンスなど)は含まれていません
・カーテンブラインド、置き家具は含まれていません。
・エアコンや引っ掛けシーリング用照明、配線ダクト用照明は含まれていません。
アイプラスアイでは、@建築基準法上の床面積、Aロフト含む床面積、B施工床面積の三種類で坪単価を整理しています。それぞれ、@72万/坪 A66万/坪 B60万/坪 が過去27軒の税抜き平均坪単価です。
まお、ハウスメーカーや地場工務店のように、窯業系のサイディング、ウレタン塗装のフローリング、シート張りのドアや幅木、
既製品の階段や家具、そういった「〜風」とか「〜調」の出来合いのパーツを使えば、低レベルの職人でも施工が可能ですから、コストが下がることは分かっていますが、そういった建材が、長期間価値を維持できるとはとても思えないので、いくらコストが安くても、アイプラスアイでは新建材は極力使わないようにしています。
|
|