間違った設計法

どんな建物でも必ず設計という作業が行われます。生産者は、この非常に無駄の多い作業の生産性を上げることを考えます。モデルプランを作ったところで個別の検討作業は必ず必要になります。もっとも稚拙なレベルの設計は下記のような流れで行われます。木造住宅を想定して考えてみましょう。まず間取りを考えます。

  1. 要望、法規、コストにより全体規模の想定。
  2. 道路斜線、隣地斜線などから建築可能なヴォリュームをチェック
  3. 最低子供人数分の個室、一室の和室を設ける。人数分の個室を設けることが望ましい。
  4. リビングは8畳以上、個室は最低4.5畳とする。
  5. 大体4角形になるように枠を決める。総2階とするか、1階に6割から7割、2階に4割から3割の面積を割り当てる。
  6. 枠の中に廊下や階段によって諸室をつなぐ動線を確保しつつ、機能や要望に従って諸室を配列。廊下の面積はできるだけ小さくすること。
  7. 原則として南側にリビングを設け、dkを隣接させる。
  8. 各部屋は他の部屋を経由しないでもアクセスできること。
  9. 客が来たときの対応を考慮。

次のような事を気にしておけば大体構造は何とかなります。

  1. 部屋の短辺を3600以下にする(最大でも4550以下にしておく)
  2. できないときは上記スパン以下で部屋の中に柱を建てる
  3. 外壁、間仕切り壁内に1800以下で柱を配置
  4. 2階の外壁の下には原則として壁を設ける。
  5. 建物の角には壁をL字型に、間仕切りとの取り合いはT字型に壁を設けることが望ましい。
  6. 外壁は角辺1/4程度は必ず壁を設ける。
  7. 吹き抜けは玄関や階段部だけに止め、リビングの吹き抜けは最小限にする。

設備は次のように考えます。

  1. 水回り諸室はまとめると無駄がない
  2. レンジ上部には換気扇を設ける
  3. 要望に基づき、部屋ごとに必要設備を配置

部屋をひとつの単位とするこのような設計法だと、意匠、構造、設備の計画を合理的にスピーディに進めることができます。四角いコマを最小限の動線で並べるパズルのようなものです。住まい手からの要望は、部屋単位で処理し、全体を微調整すれば対応可能です。しかし、当然このやり方には限界があり、このルールに従って設計すれば、誰がやっても大体同じ画一的なプランが出来上がります。

上記の方法の最大の問題は、始めから部屋ありきということです。そして下図のように、すべての部屋を一つの廊下のよって結びつけることによってプライバシーを確保しているということです。これにより住まいは細かく分断され、結果的に視覚的にも動線的にも狭い家ができるのです。なにより腹立たしいのは、部屋ごときに我々の活動が制限を受けることです。

玄関 廊下
dk 個室 個室 個室