住まいづくりの常識

生産者だけが住宅の画一化をひきおこしているか、というとそうではありません。むしろ住宅は住まい手の先入観や常識が足枷にになってつまらないものになっていることの方が多いかもしれません。

自分の家の場合、特定少数のニーズにあったものをつくれば充分ですから、 住まいづくりにおいて、我々はあらゆる先入観や常識から自由になったほうがいい。ローコストで建てようとするならなおさら、法律が許す範囲で、あらゆる可能性を考えてみるべきです。

まず、あらゆることを疑ってみることから始めましょう。建築計画的に常識とされていることも疑ってかかれば建築の可能性は膨らみます。例えば、

  1. 建物は北に寄せて、南側に庭を設ける
    住宅が密集していれば道路や空地に向かって庭をとることもありえるし、コートハウスの方が良い場合もあります。

  2. 各人の個室を設ける
    個室は必ずしも壁で囲む必要はありません。家具を間仕切りにしてもいいのです。必要な時にプライバシーが確保できれば、個室である必要もなくアルコーブでもいいのです。

  3. 南側にLDKを設ける
    そもそもLDKが必要かどうかもあやしいものです。生活の中心を最も環境の良い側におくことは重要ですが南である必要はありません。

  4. 玄関を設ける
    上下足の履き替えは必ず玄関でする必要はありません。土間や中庭で履き替えることもあり得ます。来訪者が来た時に家の中を覗かれたくない人はインターホンや宅配ポストをつけておけば足ります。

  5. ベランダを設ける
    洗濯や布団を干す場所が確保せれていればこだわる必要はありません。逆にそれ以上の使い方をするなら通常の半間のベランダなど使い物になりません。

  6. トイレ、浴室には窓を設ける
    もちろん窓があった方がいいですが、絶対に必要とはいえません。

  7. 部屋の間口は2700以上
    想定される活動によります。寝るだけのスペースならベッドの大きさがあれば足ります。

  8. トイレ、浴室は分ける
    介護が必要な場合、かえって問題になることがあります。

  9. 雨戸を設ける
    雨戸付きのマンションは見たことがありません。戸建てではほとんどついてますね。どうしてでしょうか。

  10. その他たくさんのこと
    我々は大体、今まで自分が住んだことのある家での生活しか想像できないのです。

ここでいいたいのは、今までの常識は間違っているということではありません。自分の生活から考えて常識が妥当なのか検証すべきだということです。生活はどういう機能、性能をそこに要求しているのか、どのくらいのスペースが必要なのか、といったことをまじめに考えてみた方がいい

法律を守り、環境に配慮する以外は、住まいづくりに於いて、絶対そうしなければならないというルールはないのです。「いままではこうしてた」とか「隣のうちはこうなっている」とかいうことは重要ではなことではありません。常識とは異なる特殊なことをするときは必ずそれに対する対策を考える必要が出てくるというだけです

ゼロから考え始めるのは容易なことではありませんね。 そこで次章では住宅の企画術について考えてみることにします。