「横浜大桟橋見学」  2002.9.15

 


横浜大桟橋にいってきた。国際コンペの当選案で、設計はザエラ・ポロ、ファシッド・ムサビという外国人のグループ。

およそ2階建ての構成で、一階に駐車場、2階にターミナル施設が配置され、屋上はデッキの広場になっている。2階の中心部にCIQと呼ばれる税関等のターミナルの主要機能があり、ここは旅行者以外の人は入れない(空港を思い浮かべれば分かりやすい)。1階の駐車場、2階中央のCIQはコンペの条件だから、普通に計画すると、CIQに邪魔されて、桟橋突端の土地利用上の要となる部分が台無しになってしまう。彼らの計画は、うねる床面によって、その機能上の問題を解決し、同時に様々な市民のアクティビティを発生させていこうとするものであった。そのアイデアの卓越さ、そのアイデアを実現した構造技術者、施工者の能力には脱帽する。私は、見たこともないような空間体験ができるのではと期待して見学に出かけた。

遠景は航空母艦のようである。対面する赤煉瓦倉庫のある新港埠頭から見ると、その大きさは圧倒的だ。このスケール感は、建築と言うより土木構造物に近い。下の写真は、新港埠頭から大桟橋に至る遊歩道から撮ったもの。

アプローチ部分は床が2階まで隆起し、床面の一部は屋上にまでつながっている。2階入り口から入ると、ターミナルのロビーがある。内部は正直に言ってかなり暗い。(今後もこんなに暗いのだろうか?)、天井も低く、少々圧迫感がある。この空間の両サイドには、天井までの大きなガラスが連窓するギャラリー空間がある。光を上から採らなかったのはなぜか。

この建築には階段がない。このスロープが構造を兼ねる。全体から見ると、小さい部分であるがこの建築の見せ場である。コンペ案のように、うねる床面が、天井になったり、壁になったり、というようなことはあまり感じられないが、こういう部分はこの建築の魅力。

桟橋突端の部分では、屋上床が2階レベルまで落ち込み、インテリアの空間ができている。ここはまだ工事中だった。

体験して分かったのは、複雑にうねる床の効果よりも、1階の駐車場、2階のターミナル、屋上のデッキという3層の構成が、厳密に意識されるということである。床面をつくれば、必ず上の世界と、下の世界ができてしまう。両者を一体的にするには、うねる床だけではダメそうだ。上の写真の部分のように、床の表と裏を同時に見せる視点を用意しないと、どうやら上下の一体感は生まれそうにない。また、流れるような一続きの行動は、異なった表情をもつ空間を均質化してしまう効果があるようだ。

この屋上のデッキ空間が、今後有効に利用されるか否かがこの建築の評価を左右する重要なポイントだ。コンペの案にあったように、四季折々、様々な用途に活用されて初めて、この空間は生き生きとした意味のあるものになる。