「東京文化会館の謎」  2002. 9.24

 


東京文化会館といえば、建築関係者なら誰もが訪れる名作中の名作である。でも今日の話題は建築本体の話ではない。西洋美術館側の歩道に面して、お城のミニチュアのような、ちょっとした壁面や水面がある。前々からホワイエ空間への視線を遮ってしまうこの一連の外構の設えはいかがなものかと思っていた(ホワイエ空間を都市に開放するのは近代的なホールの条件)。

しかし現実は理屈より遙かに面白い。この歩道を往来する殆ど全ての子供たちがこの壁面を登ろうとするのである。暫くずっと見ていたが、登らない子供は単にこの壁面自体を認識していないだけなのだ。気づけば必ず走ってくる。子供目線で見ると、水盤は見えない。見えないことが子供にとっては非常に重要。

床がめくれ上がったような、湾曲した壁面の裏がどうなっているか、子供は確認せずにはいられないのである。好奇心がデザインに取り込まれている。

注意深く、質の高いデザインが施されているのでわかりにくいが、調べてみると、このお堀右手の部分は後からの増築である。
東京文化会館の基本設計案をみても、この部分はコルビュジェの西洋美術館の外構と一体となった広場空間として構想されている。動物園・博物館方面に行く圧倒的な人の量を考えても、やはりこの増築部分の上部は積極的に市民に開放するのが筋だろうと思う。