71.施設の必要性 |
建物の寿命を考える上で一番重要なのはその建物が本当に必要なのかということです。必要性の無い建物はすぐに壊される運命にあります。公共建築で特に問題になります。 |
72.間取り変更への対応 |
自由度の高い平面づくりは長寿命化にとって大切なポイントです。物理的な耐用年数をお金をかけて高めるよりも、建築の可変性を高めた方が
遙かに有効です。 |
73.エレベーター設置の可能性 |
高齢になって2階建て住宅の1階しか使えなくなるのはもったいないことです。最初からエレベーターを設置する必要はありません。設置できるスペースを最初から想定しておけばいいのです。
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74.設備更新への対応 |
設備配管や設備機器は、更新のサイクルがとても短いので、ピットやPSを設け、設備を集約するなど更新を見越した建築の計画が必要です。 |
75.どこでも点検 |
耐用年数が短い部分、機能障害を起こしやすい部分、傷みのはげしい部分は竣工後もメンテナンスができなくてはいけません。点検は被害を拡大させないという意味もあります。点検口やPSを設ける、乾式工法でビスをはずせるようにしておく等の配慮が必要になります。 |
76.躯体や設備の露出 |
見えない部分があるから点検が必要になるわけで、露出していれば点検口など最初から不要になります。木造建築だと設備配管を露出させるのはかなり大変ですが、構造は是非とも露出させるべきです。 |
77.痛みやすい部分の保護 |
ちょっとした庇や水切りを出すと壁面の汚れは少なくなります。木造高断熱住宅では通気層を外壁に設けることが近年増えてきました。通気層を設けると、壁体内の内部結露が発生しにくくなります。また木材を乾燥状態に保つので、躯体の保護にもつながります |
78.清掃の容易さ |
何でもかんでもつるつるになっていく今の風潮には賛成しかねますが、維持管理の費用を少なくする重要な要素です。 |
79.木材の耐久性 |
建築家池辺陽さんの研究によれば、柱の太さを1cm太くすると家の寿命が15年長くなるそうです。樹種ではサイプレスと呼ばれるオーストラリア桧が優れているようです。 |
80.シロアリ対策 |
参考となるHPがあります。どうも旧来のシロアリ対策はすべて間違っていたようです。一読をおすすめします。 http://www.sinfonia.or.jp/~isoptera/ |
81.コンクリートの耐久性 |
RC構造体の耐用年数の理論値は、コンクリートの中性化が鉄筋まで進行する年数で一般に判断されます。中性化を防ぐには、鉄筋のかぶり厚を大きくする、水セメント比を小さくする等の方法があります。 |
82.シンプルデザイン |
洋服でもそうですが、丈夫でシンプルなものほど長持ちします。ユニクロや無印良品のような住宅があればそれが一番いいのではないでしょうか。日本の戦後小住宅(一般の住宅ではありません)やアメリカのケーススタディハウスはそれに近いニュアンスを持っています。 |
83.浴室の防水 |
住宅の内部では浴室がもっとも傷みやすい部分です。年中水のかかる部分ですから防腐対策が当然必要となります。また、水蒸気の問題は深刻です。湿潤空気は外部が気密化していれば内部に向かって(水蒸気圧の低い方に)流れようとするので、浴室の隣の部屋が冷えていれば内部結露を生じます。そのため水蒸気を完全に遮断する防水が必要不可欠になります。 |