過去の相談  屋上緑化について

屋根緑化 投稿者:こけこっこ 投稿日:2003/06/23(Mon) 13:19 No.168  
markaitakuti.gif はじめまして。
スタジオジプリ本社の屋根みたいにするのって大変ですか?
屋根のうえに草が生い茂っていて、なかなか素敵です。
よろしくお願いいたします。


Re: 屋根緑化 飯塚 - 2003/06/24(Tue) 20:36 No.172  

marknikoniko.gif こけこっこさん、こんばんは。掲示板はこういう質問があると楽しいです。

となりのトトロで、夜中に木が急激に成長するシーン?とか、天空の城ラピュタで植物に覆い尽くされるシーン?とか、もののけ姫のラストシーン?とか(全部うろ覚えですいません)、宮崎アニメの植物表現はすごく魅力的です。

きっとカンボジアの廃墟か何かからイマジネーションをふくらませて、ああいう世界観を構築していくのでしょう。あのイメージを忠実に建築化できたら、すばらしいと思いますが、なかなかそう簡単にはいきません。三鷹の森の美術館でも、宮崎駿さんのイメージのほんの一部しか、実現できていない感じでしたね。

ジブリ本社屋上のしつらえは良く知りませんが、三鷹の森の美術館の屋上と同じようにRC造の建築だとすると、緑化はそんなに大変じゃありません。ただ、相手が生き物ですから、気を付けないとトラブルになります。根がきちんと呼吸したり、水分を補給したりできないと、枯れてしまいます。また、根が防水に対して悪さをしたり、樋を詰まらせたり、という様なことがおこります。構造的には重い土の荷重が問題になります。

敷地面積1000u以上の建築は、平らな屋上の20%以上を緑化せよ(ただし勾配屋根の時は除く)という、東京都の意味不明な条例の後押しで、防水メーカーその他が、簡単、軽量に施工できる緑化工法を色々売り出しており、管理の容易なセダムという植物による屋上緑化が注目されています。気味の悪い植物で、これだったら、私も草が生い茂っていた方が良いと思います。

私は緑化については次のように考えます。

@セダムのように、人が立ち入ることの出来ない(=活用できない)屋上庭園は基本的に価値がない。
A室内と密接に関係づけられていない空間(=純粋な屋上)を緑化しても、次第に活用されないスペースになる。緑化するなら、屋上でなく、主空間(=住宅ならリビング)の前を緑化したい。
B活用できないなら、下から見える壁面や勾配屋根を緑化すべき。活用できない、どこからも見えないという陸屋根の緑化は、魅力が無い。

簡単にいうと、緑化で大切なのは、「使えること」、「見えること」じゃないかと思うんです。今幅をきかせてる屋上緑化はどっちもダメです。

そもそも、屋上緑化するくらいなら、屋根をきちんと断熱化した方が、ヒートアイランドにとっては効果的であるそうです。(建築知識2001-12)
こういう意見が大好きなへそ曲がりな御仁には、「環境問題を考える」というサイトhttp://env01.cool.ne.jp/
 の槌田敦さんという方のコラムがお勧めです。エコロジカルだと思われていることの多くが、実は化石燃料の消費を増大させるだけである、というようなこの方の主張は非常に説得力があります。

私、善意のエコロジー活動を否定する気は毛頭ありません。しかし、我々が普段目にするのは、企業や行政にとって都合の良い情報ばかりですから、まずは疑ってみるという姿勢が大切ですね。


Re: 屋根緑化 Strayt Sheep - 2003/06/29(Sun) 15:59 No.174   HomePage

marknasi.gif 建築の要素は「使えること」や「見えること」で全てがはかれる問題ではないと思います。それ以外をダメと決めつけるには、よほど確かな自信と経験と裏付けが必要でしょう。「なかなか素敵です」というのは感覚ですが、それは性能や金額だけでは追求できない大切な要素ではないでしょうか。そういうことを含めて論議していただきたいと感じました。

「使えること」という点からもダメですとの回答ですが、私はそうは考えていません。建築ではいろいろな面から検討して評価する必要があるからです。例えば、都市部では舗装面積が多いために雨水が一気に排水されるのが現状で、それを時間的にずらすために調整池などが設けられるわけですが、屋上緑化は小さいながらその役目を持ちます。

水の蒸発潜熱は1g当たり540calであり、一日当たり土や水面から蒸発する水の量は6〜8mm程度。それは1m2で一日当たり約3000kcalとなります。これは10帖用エアコンを1時間運転するのと同じ熱を奪うことに相当します。たかが1m2でです。当然屋根面は断熱されているからその蒸発熱分まるごと室内空気が冷やされるわけではないのですが、屋根面の断熱性能が低ければ低いほどインテリアの空気環境に与える効果は増します。

飯塚氏は高気密高断熱が良いとの方針でしょうが、世の中にはいろいろな考え方があります。普通の土と植物である程度の断熱ができるとすれば、それをよしとする人もいます。建築はカタログのようにデータでこちらの数値が上だからいいのだ・・・という単純なものではないはずです。大量生産の商品ではないのですから。

屋上緑化というのは、可能性の一つです。可能性が増えるという事は素晴らしいことだと思いますよ。当然、「可能性」には短所と長所があるわけです。それを簡単に切り捨てるように感じたので文章をアップしました。


Re: 屋根緑化 飯塚 - 2003/06/30(Mon) 22:42 No.175  

marknasi.gif 長村さん、こんばんは。御指摘ありがとうございます。

そうですね。切り捨てたつもりはないんですが、私の白黒つけにくい難しい問題を、簡単に扱い過ぎている感じもしますね。短所だけ書いて、長所を書かないのも確かにバランスが悪かったと思います。
長村さんが仰るように、「なかなか素敵です」と感じる気持ちを大切にするべきでしょうし、この手の話では、設計者たるもの、住まい手の可能性を摘み取らず、一緒になって面白がることができなければなりません。現実問題として実現が難しそうな話であっても、こういう住まい手のこだわりに何とかしてリアリティを持たせられなければ、何の特長もない家ができてしまいますね。

一応断っておきますと、私、長村さんが思ってらっしゃるほど(たぶん)、高断熱マニアではありません。高断熱は単なる方法論の一つ、可能性の一つだということは、サイト内にも何度か書いています。普通の土と植物である程度の断熱ができればそれでよしとする人に、それを勧めることはまずないと思います。

同意ばかりでは議論にならないので、生意気ですが、少し反論します。前回の私の書き込みで私が言いたかったことは、エコロジーの名のもとに、屋上緑化を善とする考え方は少し危ないぞ、ということです。前回書き込んだ建築知識の記事を投稿した方は、緑化屋上の灌水のために大変な量の水が必要とされるということを指摘しています。私は地球環境全体を見渡して、これが正しいかどうか検証することはできません。しかし 、少なくとも、それまで自分が持っていた屋上緑化に対する考え方をまず疑ってみるべきだと感じました。

結局、環境問題を考えるときは何がベストであるか、誰にも分からない訳です。だから、ヒートアイランドのような抽象的な問題から発想するより、「利用価値の高い部位を、利用したい(これは人間にとって都合のよい反エコ的な行為という意味ではありません)から緑化する」といったすごく身近な「必然性のある」事柄として発想する方が、緑化に対して住まい手は責任もてると思うんです。もちろんこれは、私の独特な考え方です。

ps.「一日当たり土や水面から蒸発する水の量が6〜8mm程度」興味深いデータをありがとうございます。知らない情報でした。潜熱が期待できないとき、どの程度の土の厚みが必要になるか等、個人的にも興味があるので、是非調べておきます。


Re: 屋根緑化 Strayt Sheep - 2003/07/01(Tue) 07:00 No.176   HomePage

marknasi.gif 一日当たり土や水面から・・・については、半年前くらいの日経アーキテクチュアに掲載されていました。屋上緑化の有無で、防水の経年変化の差が著しいことも載っていたはずです。

>緑化屋上の灌水のために大変な量の水が必要とされる
↑これは「使える緑化」や「見える緑化」でも同じことです。しかし、それを工夫するのが設計者でしょ。一日に住宅から排水される水の量はどれだけでしょう ? 灌水必要をまかなえますよね。一番小さな5人槽くらいの浄化槽と小さなポンプがあれば十分ではないでしょうか。

>エコロジーの名のもとに、屋上緑化を善とする考え方は少し危ないぞ
バリアフリーとうたいながら・・・。自然素材とうたいながら・・・。と同じことでしょうけど、それはそれで最初の質問とは別に議論する問題だと思いますよ。

私としては、飯塚氏に議論を吹っかけたいわけではありません。私は建築というハードウェアについては今の時代ほとんどなんでもできると思っています。ところが質問はだいたいハードウェアの話が多くて、その回答はデータ的になっていかざるをえません。そういうスレッドを読みながら、建築はそうじゃないんだけどなと感じていました。『屋根のうえに草が生い茂っていて、なかなか素敵です』という感性のある質問が出たことこそ素敵だと思ったのに、ハードウェア質問的回答だったので。


Re: 屋根緑化 飯塚 - 2003/07/01(Tue) 21:04 No.177  

marknasi.gif おそらく雨水利用なども含めて、トータルでうまくいくシステムをイメージされながらお話されているものと思います。色々ヒントも頂いたことですし、ともかくこの問題は、少し時間をかけて私なりの工夫を検討してみます。どうもありがとうございました。

「つかう」という視点から緑化を考えてみるのは、サイトの本文とも関連づけられる考え方で、個人的には、あまりデータ的な回答というつもりはなく、今でも我ながら結構良いなと思っています。

ハードウェアに偏らない質問や建築の本質を問うような質問がくれば、もちろん嬉しいです。そうあるべきだとも思います。ただ、色々な方の協力もあってゼロから始めた掲示板です。あまり贅沢は言えません。聞きっぱなしで返信頂けない方もいるので、最低限の情報はきちんと送ってもらうようにしようとか、地味なことは少し考えつつありますが。


Re: 屋根緑化 飯塚 - 2003/07/07(Mon) 19:42 No.178  

marknasi.gif 先日、本屋にいったら、長村さん御指摘の日経記事(2002-6/24号〜2002-11/11号の特集記事)を取りまとめた本販売していました。日経BPムック、タイトル「実例に学ぶ屋上緑化」、税抜き\2400です。


先日の屋根散水の件につい... 投稿者:飯塚 投稿日:2003/07/16(Wed) 21:14 No.183    
marknikoniko.gif 長村さんよりメール頂戴しました。屋上緑化ではありませんが、夏期負荷低減のため、屋根面に散水を行っている住宅の実例(長村さん設計)http://web1.incl.ne.jp/nagamura/03sakuhin/oshimizu/photo.html を紹介頂きました。この住宅では水を無駄にしない散水システムを採用されています。また、ここでは他にも熱環境や、木造の本来あるべきに姿ついて、独自の意欲的な取り組みをされていてます。