「ライフサイクルコストで考えよう」  

 


■ライフサイクルコストって何?

建築のライフサイクルコスト(以降LCC)とは、企画・設計から、解体・撤去されるまでの総費用、すなわち建築の一生分の値段です。LCCでみると初期投資費用、すなわち設計費用・建設費用というのは、全体の支出のほんの一部でしかありません。
ローコスト住宅のひとつの目標は、初期投資費用を抑えることではなく、LCCを最小にすることです。オフィスビルなどの分野では、LCCで考えるのはもはや常識ですが、これからは住宅の分野でも、LCCで考えることが当たり前になってくるはずです。

■耐用年数を伸ばすのが最重要課題

具体的な資料を見てみましょう。金融公庫調査によると日本の住宅の平均寿命はわずか25年です。この25年住宅と、倍の耐用年数をもった住宅を比較したのが図?のグラフです。両者を比較すると、総経費は、実に1800万円の開きがでています。大きな差を生みだしている原因は、建て替えの費用です。初期投資費用を節約しても、すぐに建て替えが必要になれば、全く意味がないということが分かります。
50年建て替えなしで済ますためには、住宅の物理的な耐久性を高めるのはもちろんですが、家族構成の変化等に伴う間取り変更、設備の更新などへの対応が求められます。構造的に重要な壁があって、間取り変更が出来ないとか、設備更新のために、大きく壊さなければならないといったことがあれば、たちまちそれは建て替えの動機になってしまうからです。

■長い目で見て考える

LCCというとなんだか難しそうですが、要は物事を「長い目で見て考えよう」ということです。光熱費、修繕・維持管理費、撤去費などをトータルで考えれば、初期投資を抑えるのは必ずしも得策ではないのです。家づくりにおいては、様々な場面で選択を迫られる事になりますが、その際、常にこのLCCで考えておけば失敗がありません。この考え方は、外壁や屋根などの材料を決める際や、断熱性能を決める際の有効な判断基準になり得ます。
もちろん、自分1人で考えずに、専門家にLCCを含めたコストコントロールの協力を仰ぐのが最良の方法です。設計事務所に依頼すれば、トータルで安くなる方法を提案してくれるはずです。「支払った設計料以上のコストダウンが実現した」という話は、珍しい話ではありません。



 

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