「平塚K邸 住まい手の声−3」  

 


■ 外観について

完成した我家は、緑に囲まれた郊外の敷地に建つ平屋型住宅です。外壁は茶系の落ち着いた色合いで、周囲の緑の中に溶け込むように佇んでいます。北側から西側へと建物を回りこむように近づいていくと、外壁のガルバリウム小波板と大和張りの木外壁によってできる微妙な凹凸が、少しリズミカルな印象を与えます。そして高さの抑えられた南側の軒先に向かって、四角ではなく末広がりな形で大きく掛けられた片流れ屋根が視線を誘います。外観は、周囲の山並みに沿うように、異なる方向に掛けられた片流れ屋根がかみ合うように配されているのが特徴です。


建物を西側から見ると、一部2階となっている望楼部分の細めの台形フィックス窓と、玄関部分のまるで餌を食べる時の魚の口のような台形のくぼみが、印象的です。地形的に北風が強く、南風が弱いので、北側は軒なし、南側は大きく深い軒が掛かっています。北側に軒の出がないのは、一度台風の強風で北側の屋根を壊された経験があるからです。

もう1つの大きな特徴がスロープ。玄関へ導くように、細長い平行四辺形の形をした、建物に対して斜めにふられた直線状のスロープが、建物へのアプローチを楽しげに演出しています。出来たてで植栽などがされていない状態の時は、周囲よりも高いため舞台を歩くようでちょっと恥ずかしかったですが、植栽がされた現在ではちょっとした小道を歩くような印象で圧倒的によくなりました。スロープの採用は最後の最後まで悩み、何度もスロープと階段との間を揺れ動きましたが、今ではすっかり我家を代表するポイントになりました。

南側に回り込むと、列柱に支えたれた大きな軒と縁側のような木製デッキ、レーモンド設計の「高崎哲学堂(旧井上房一郎邸)」のような屋根の掛かった中庭空間とが存在感を発揮しています。近所の人たちが遊びに来てくれる時は、大体この南側へ回り込みます。中庭には第二の玄関のような役割も生まれました。野菜作りとガーデニングが趣味である両親は、この空間のおかげで一年を通して雨も関係なく、周囲の恵まれた自然を身近に感じた生活を楽しんでいます。



南側の庭に造られた藤棚の下から家を見ると、屋根の上に覗く望楼の巨大なガラスの存在を感じながらも、落ち着いた色の木の外壁、列柱、深い軒、縁側のようなデッキ、そんな語彙がどことなく懐かしさを感じさせてくれる佇まいになっています。そのため「昔からこの場所にたっていたようだ」とは訪ねてくれた人たちがよく言ってくれる台詞。住まい手である私達家族もそう思っています。

 

※この記事は、平塚Kさんの文章に、アイプラスアイ設計事務所で説明写真を加えたものです。複数のページありますので、下の▽マーク、リターンマークなどをクリックしてみてください。