性エネルギー昇華秘法

入門編

  性の強力なパワーを
        創造のエネルギー源にする   (ミゲル・ネリ)
性とは快楽的・官能的なものだけではない。それはほんの表面的な現象にしかすぎず、
その奥には、性−脳−心を結びつける古代からの秘法が隠されていた。

すなわち、性とは、まさに生命そのものなのである。




人間の性は内なる創造のパワーだ

 
 われわれがこの世に生を受けた日から、表現は異なるにしろ、何らかの形で「性のプロセス」とつな
がりを持って生きる。とくに思春期以後の人生は、性を中心として展開するといっても過言ではない。
            
 われわれの内部から湧き出るこの驚くへき力については、すでに『性の神秘』(別ページ参照)ても
述べたが、その力は人生の方向を決定させ、すへての活動を成功へと導く源泉てあった。
 
  しかし、現在「性」というと、快楽的・官能的なものをすぐに連想させられるほど、われわれの性に対
する視野は限られている。また、消費社会の中にあって、人目をひきつける性的イメージは、いやおう
なく潜在意識に訴え、知らず知らずにその商品を買わせる。

  「性」は日一日と巨大な産業になりつつあるのだ。そこには性にひそむ快楽が見える。性は大きな
快楽であると同時に大きな問題でもある。東京都の統計(1983年)が示すところによると、高校生の10
パーセントは、性体験C″を持つという。だが、思春期のこの性の衝動をだれがおさえることがてき
よう。たれもこのエネルギーの操作法を示してはくれないのだから。
 
  表面的な性教育や多くのまちがった概念が、性の本当の意味を変形させ、われわれの人生におけ
る正確な、また本来の性の機能を理解することから、ますます遠ざけてしまっているのだ。
 
 もちろん「性」を快楽や生殖として受け取ることが悪いといっているのてはない。それは人間として動
物としてまったく普通のことてある。ただ、そうした動物的機能を超越する「人間の性」の意味を、少なく
とも知る必要があるということだ。


 動物には発情期がある。人間にはそれがない。というより、1年365日が発情期てあるといったほうが
正しい。動物の発情期は生殖のため、子孫を絶やさないためのもので、だから一度メスが妊娠すると
決してオスに触れることも、触れさせることもない。
 
  それでは、1年365日の発情期を待つ人間の性も動物と同じ目的だけだろうか?もしそうなら、人
口過剰の地球が1年てパンクしかねないだろう。明らかに人間と動物の性は異なるのだ。
                          クリエーション
 人間の性は単なる「生殖」だけてはなく、「創造」の意味がある。性エネルギー=精気は、人間を作
るたけでなく、人間の内なる「創造する」パワーでもあるのだ。
 
 「性」はまた、よく「愛」と混同される。13、14歳ころになると、男性には声変りがある。これは性ホルモ
ンの働きが、外的な二次性徴を示し始めたあかしてある。女性もまた異なった形で、肉体の変化に気
づくだろう。
 そのころから異性の磁場(陽極は陰極に、陰極は陽極)に強くひきつけられる衝動を、だれでも感じ
始める。これがわれわれの内にある磁力、磁気エネルギーである。
 
  現在、思春期にいる人、あるいはすでに思春期を通ってきた読者なら、身に覚えがあるだろう。どう
しようもなく強く、せつない思いがわれわれの内に充満する。すると何が起こるか?最もありふれた現
象は、いとも簡単に、有名な歌手や同級生、学校の先生などに恋をするということである。
 
 おさえきれないパワーが、ありとあらゆる口実を使って、満たされることを求めてわれわれを突き動か
すのだ。しかし、これらの感覚は一時的なもので、一度満足が得られると、あれほどの渇望もあっとい
う問に消える。
 
  すなわち、それは本当の愛ではないからだ。愛とはもっと深く確かなものなのてある。、そして愛は
力の源泉になるが、性的欲望は逆に破滅をしかもたらさない。その違いは十分に心得ておく必要があ
るだろう。


生命を左右する性の超エネルギー


  医学の分野でわれわれの手に届く情報は、生物学的な生殖機能としての性に焦点を合わせたも
のだけてあり、もっと広範囲に及ぶ性ホルモンの用途、操作に関する情報やテクニックが不足してい
るのが現状だ。
 
 生まれる時、われわれはある一定量の生殖細胞を持ってきているが、これらの細胞は次々に分裂
して増殖し、精管を上昇して前立腺て内分泌液と混合する。こうして精液=創造エネルギーができあ
がる。
 
              


  男性の体内てはこのように約40歳くらいまで、たえまなくテストステロンと呼ばれるホルモンが分泌
される。その分泌が終わる年齢には個人差があるが、ホルモンの分泌がなくなると肉体の衰退がは
じまり、死に至るまでそれは続く。
 女性の体内でも似たようなプロセスがある。一般には生まれた時に50万個の卵胞を持っているが、
一生のうちに排卵する数は400個ぐらいしかない。残りは体内に再吸収されるのてもなく、受精するの
でもなく、体外に捨てられるだけだ。そして結局はメノポース(月経閉止)にいたり、老いがはじまる。
                                                 みけん
  ところで、こうした性腺と密接につながっているのが「脳下垂体」と呼ばれる、眉間の奥にある小さ
な内分泌腺司令室てある。すなわち性的な興奮を感じるたびに、エストロゲン、プロゲステロン(黄体
ホルモン)、またはテストステロンの分泌をうながすのだ。これは脳と性は相互関係を持つということ
を示す。
 
  ここまでが一般にわれわれが持っている性に関する知識たろう。しかしそれ以外に、われわれの有
機体全体がホルモンの分泌によって調整されていることも事実てある。また性ホルモンは、われわれ
の体形、筋肉、体毛などのよく知られた二次性徴以外に、血液型、血の洗浄といったことにも影響を及
ぼしている。
 
  アメリカのニューヨーク州では、数年前にブラウン・セカートを中心とした研究者のグループがコミュニ
ティ(共同体)を設立し、「カレッツァ」と呼ばれる性関係システム、すなわち性エネルギーを消耗するこ
となく性的な交わりを持つ、という方法をもとにした、科学的・医学的調査を行った。
  この実験的な試みに自発的に参加したカップルたちは、健康面や創造性発揮の面で、じつに有益な
体験をしたのである。さらに、この実験にヒントを得た多くの科学者たちは、老人に性腺を移植すること
で、驚くほどの速さで若返りの結果をみた。

  あるいはまた、この性ホルモンは、われわれが幽体離脱に使う乗り物てあるアストラル体を含めた
霊体(霊の乗り物)とも密接な関連を持つ。
 
  こうしたことは、いかにわれわれの性が生命を左右する重要性を持つかを理解させてくれる。同時
に、われわれの性に対する視野を広げ、さらに科学的な、また超経験的な角度から性を見ることの必
要性をも感じさせるのである。



性−脳−心を結びつける昇華秘法

  男性は一度の射精て、約4億から6億の数の精子を放出する。顕微鏡で見ると、それぞれ輝く頭を
持った、オタマジャクシのように元気よく動き回る生命てある。その中の1つが卵子にもくりこむと人間
1人が生まれる。
 それでは残りの何倍という輝く細胞はどうなるのだろう? 体外に捨てられるだけてある。1を得るた
めに4億なり6億を失うのは、どう考えても合理的とはいえない。たった一度の射精て、日本の全人口
の4、5倍の人間を作りえるエネルギーを失うことになるのだから。
 
   だが、これだけのエネルギーを体外に排出するかわりに、体内に再吸収するとしたらどうなるだろう
か。すなわちホルモンのフィードバックてある。これは性ホルモンのパワー(精気)を体内の内分泌腺
の栄養とするだけてなく、生まれる以前に閣に葬られる多くの生命の発生をくいとめることもできる。
 女性の場合、エネルギー消耗に関しては、これほど重大ではない。統計によると性交時、30パーセ
ントの女性のみがオルガズムに達するとある(女性にオルガズムがある場合、その90パーセントは妊
娠の可能性がある)。
   すなわち、男性ほとのエネルギー消耗はないといえるのだ。しかし、正しい性エネルギー昇華法を知
らないために、性ホルモンの大部分は下腹部に蓄積されるだけて、残念ながら再吸収されず、生かさ
れることはないのてある。
 
 性エネルギー昇華の基礎は、決して性エネルギーを消耗しないこと、つまり、射精をせず、オルガズ
ムに達しないことてある。そうすればホルモンのフィードバックによって、われわれ自身の体内て昇華
することができるのだ。
  詳しくは実践編で述べるが、脊柱から内分泌腺に通じる神経網を、昇華された性エネルギーが脳に
まで至る。それによって脳細胞の血液循環を促進させ、思考力をまし、神秘的な力が生まれてくるのて
ある。
 
 人間は天才であろうが凡人てあろうが、まったく同じ脳を持つことはすてに立証されている。ただ違い
があるとすれば、脳細胞の活動の割合だけてある。人類が150億もの脳細胞を持っていながら、最高
でもその10パーセントしか機能させていない最大の原因は、性エネルギーの消耗にあるのだ。
 昇華されたエネルギーが脳を満たしたあと、ハートにおり、われわれの内に本当の愛を目覚めさせる。
脳ばかり発達させても、愛がなければそれを破壊的に使ってしまうからだ。そして同時に精神的機能を
も活動させはじめる。この方法で、性−脳−心を結びつけ、肉体的・精神的バランスの調和を可能にす
るのだ。
 
  エジプトのファラオやローマ法王、司祭たち、また七福神のl人、福禄寿などが持つ杖をご存じだろうか。
のような形をしているが、それは脊柱を上昇して脳とハートを満たすエネルギーの流れを示し、また彼
らがその秘法を会得した者てあることを象徴している。
         
 さらに、形而上学的な話になるが、性エネルギーの昇華が完全になされると、人類の歴史の中て名を
残す偉大なイニシュート(奥儀に通じた者)たちが作った「永遠の霊体」、すなわち魂をおおう純金(また
は太陽エネルギー)で満ちた霊体を作ることが可能になるのてある。(別ページのイラスト参照)
 
 性ホルモンの主成分である水素は、高温にさらされるとヘリウムに原子転換する。すなわち性ホルモ
ンは、有機体内の高温の磁気によって昇華され、より洗練された成分に変換される。

  この成分(へリウム=金の粒子)が霊体を作るための原料に使用されるのである。性エネルギーとは
まさに超人への原動力ともいえるのだ。

                 

           生命細胞てある精子の群れ。        ファラオの杖は性エネルギーの象徴。


  こうした奥儀中の奥儀、性の秘密を、これからの『実践編』で学ぶことになるのだが、あまりむずかし
く考えることはない。われわれは無意識のうちに性エネルギー昇華法の基礎を実行しているからだ。
たとえば、緑の多い場所ての散歩、ハイキンク、適度のスポーツや、絵画・彫刻、洗練されたクラシック
音楽の鑑賞などは、知らず知らずのうちに性エネルギーの昇華に役立っている(残念ながらロックやポ
ップスなどの音楽は、この日的には望ましくない)。
 
  また、すばらしい景色を目の前にして深呼吸をしたりすることでも、創造エネルギーの変換はなされる
し、ほかにも、他人に親切にし、病人などを助けるといった人道的行為もその役に立つ。
 つまり、われわれの純粋な内的感情、健康な考、え、正しい行動は、性エネルギー昇華の刺激剤とな
るのてある。

  性エネルギーが人間が内的に持つ最も偉大な力てある以上、われわれは無意識的にせよ、その力
を活用しようとしているのてある。したがって、すべての人が基礎編はすてに終了しているといってもい
いだろう。あとは『実践編』 の訓練を持続して行うことて、真の目覚め、奥儀の道に至るだけである。
 
  ただ、この奥儀への道をきわめる上て、結婚前の性交やマスターベーションは厳禁だ。さらに、性ホ
ルモンが成熟するのは、男性21歳、女性18歳とされるので、この年齢前の結婚もおすすめできない。
 
  さて、いよいよ実践に入るわけだが、次から紹介する性エネルギー昇華のテクニックは「完全なる結
婚」、すなわち「精神的進化のための神聖なる陰陽の結びつき」の準備投階として7歳の子どもから結
婚前の人を対象としたものである。
  基本は呼吸法(酸素)とマントラのバイブレーションを組み合わせたものだから、根気よく続ければ必
ずマスターできる。各訓練はそれぞれ異なった形てエネルギーを活動させるので、時間と指導内容に
は必ず従うこと。また、実際の訓練に入る前に、必ず最後の『心得編』を通説しておくこと。全体的な注
意事項を書いておいたのて、よく理解してから訓練を始めよう。