58 次にケルソスの書に出てくるユダヤ人は、福音書の魔術師たちの代わりにカルデア人たちを登場させ、次のように言わせている。すなわちカルデア人たちは、イエスの言葉によると、イエスの誕生の場に行き、イエスがまだ幼かったのに彼を神として伏し拝むように促されたと。そして彼らは、このことを四分領太守のヘロデに明かした[1]。しかしヘロデは、イエスが十分に長生きして王となることのないよう、人を遣わして、彼と同じ時に生まれた子どもたちを殺し、これらの子どもたちとともに彼を亡き者にしようと考えたと。さてあなたは、この言葉の中に彼の聞き違いをご覧ください。彼は、魔術師たちとカルデア人たちとを区別せず、彼らの主張がそれぞれ異なっていることを看取しておらず、したがって福音書を歪曲しているのである。さらに私にはどうしてだかわからないが、彼は、魔術師たちを動かしているものに沈黙しており、それが聖書によれば、彼らによって「東の方に」見られた星であったことを述べていない。このことに対して何と答えるべきか、我々は見てみよう。我々が考えるに、「東の方に見られた星」は、新しい星であり[2]、普段見かける星のどれ一つとも似たものではなく、不動の天蓋の星の一つでもなければ、その下の諸々の天球の星の一つでもない。むしろそれは、種類において次のようなものであると、我々は考えている。すなわち矢柄のような、あるいは髭のような、あるいは壷のような、あるいはギリシア人たちが好んで名づけるような様々な違いにおいて、然るべき時に現れる彗星のようなものである[3]。我々は、この点を次のような仕方で明らかにしよう。



[1] ケルソスは、四分領太守ヘロデ(Lc.3,1)と彼の兄ヘロデ大王(Mt.2,1-3)を混同している。

[2] Cf.Com.Jn.I,26(24); Clement, Exc.Theod.LXXIV,2; Ignatius, Ephes.19.

[3] Cf.Eusebius, D.E.ix, I,420A; Sen.Nat.qu.VII,4,2s. また髭のような彗星についてはArist.,Meteor.I.7,3、壷のような彗星についてはArrien, Stob.Ecl.I,28.

 

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