59 偉大な事柄や大変革が地上に起こる際に、このような星が昇ってきて、諸王の交代とか戦争とか、人々の間に生起して地上の事柄を動揺させ得るすべてのことを指し示すのが観察されている。また我々は、ストア派のカイレモンの彗星についての著作の中で、時に彗星がどのようにして、幸先のよい出来事の上に登ったのかを読んだことがある[1]。彼は、これらの出来事についての話を引用している。それゆえ、地上における新しい王(の誕生)とか他の大きな出来事の上に、いわゆる彗星ないしはこれに類する何らかの星が昇るとすれば、人類の間に新しいことを始め、ユダヤ人ばかりでなくギリシア人にも、また未開の多くの異邦人たちにも教えをもたらそうとする人が誕生するときに、星が昇ったのは、なぜ驚くべきことだろうか。私としては、たとえば然々の王や然々の時には然々の星が昇るというように、彗星については、いかなる預言も与えられていないと言いたい。これに対してイエスの誕生の時に昇った星については、バラムが預言していたのである。モーセが書き記しているように、バラムは次のように言っている。すなわち「ヤコブから星が昇るだろう。そしてイスラエルから人が立ち上がるだろう[2]」と。しかしイエスの誕生に際しての魔術師たちについて、および星ら見られたことについて(聖書に)書き記されていることを吟味する必要があるならば、我々は以下のようなことを、一部はギリシア人たちに対して、また他の一部はユダヤ人たちに対して述べてみたい。



[1] カイレモンは、ネロ帝の家庭教師であったことが知られている。

[2] Nb.24,17.

 

次へ