第4講話

そして主は、ヨシアの時代に私に言われたから、「イスラエルは、裏切り者のユダによって自分の魂を義としたまで


  いま朗読された節の言葉それ自体は、何かしら不明瞭なものを含んでおりませんので、まずそれを考えてみなければなりません。そしてその次に、神がお許しくださるのであれば、その言葉の神秘的な意図[1]を理解するようにいたしましょう。

  さて、(預言者は)これらの個所で、列王記に書かれているように[2]、民がレハブアムの時代に、十の部族からなるヤロブアムの王国と二つの部族からなるレハブアムの王国に分裂したことを、私たちに知らせようとしております。そしてこの分裂は、歴史的意味に即するかぎりでは、今日まで続いているものです。実際、私たちは、歴史がイスラエルとユダとを一つに集めたこと[3]を知りません。そして先ずイスラエルの方が、つまりヤロブアムと彼の後継者たちに治められた民が、より大きな罪を犯しました。彼らはユダ以上にはなはだしく大きな罪を犯したので、み摂理によって彼らは断罪され、「アッシリアに」捕囚されたしまいました。聖書に書かれているとおり、それは「今日に至っている[4]」のです。その後ユダの子らも、罪を犯してしまいました。そして彼らは、断罪され、バビロニアに捕囚されてしましましたが、イスラエルのように今日までではありません。彼らは、「七十日間」捕囚されたのです。それについてはエレミアが預言しましたし[5]、ダニエルも言及しています[6]

もしも私たちが、それらの言葉を、あの当時の民に向けられたものであるとして理解すれば、預言者の発言は、何かしら次のようなことを明らかにしているのではないかをお考えください。すなわち、(聖書の)言葉にあるとおり[7](神は)イスラエルの諸々の罪を批難した、そしてこれだけたくさんの罪がイスラエルに降りかかっていただから、ユダの会衆は彼らの数々の躓きを聞き、神が彼らをどのような仕方で捕囚にされたかを聞いていたはずだ。しかしユダの会衆は、(自分たちの罪に)懲りず、罪に罪を増し加えてしまった。そしてこのように罪を増し加えた結果、彼らの罪をイスラエルの罪と比べてみると、ユダよりもイスラエルの方に正義が見出されることになってしまった。そのように、お考えになっていただきたいのです。そして、ユダがイスラエルよりも悪くなってしまったので[8]、預言者は、(イスラエルの人々が)これらの罪を改めて回心しなさいと預言するように命令されたのです[9]。それから、イスラエルに回心を命じる預言をした後で、預言者は、イスラエルとユダが一緒になること、そしてそのとき二つの民からなる一つの王国ができることを預言したのであります[10]

ですから、この朗読個所が気にかかる人は、今日朗読された言葉のすべてを取り上げてみるべきでしょう。そうすれば、そこで言われていることの意味[11]が明らかになってくるのがおわかりいただけると思います。こう言われております。「そして主は、ヨシア王の時代に私に言われた。お前は、イスラエルの家が私にしたことを見たか」。ユダの家ではなくて、最初にイスラエルの家がしたことをだ。「彼女は、高い山、茂る木の下のどこにでも行って、<そこで>淫行にふけった。そして彼女がこれらの淫行をことごとく行った後で、私は、『私のところに戻ってきなさい』と言った。<しかし彼女は戻ってこなかった>。そして彼女の背信を」、イスラエルの会衆の背信を「背信したユダが見た」。また、ユダの人々は、「イスラエルの家が行ったすべての姦淫のゆえに捨てられ、私が彼女と離別し、彼女に離縁状を渡したのを見た[12]」と。ユダは、(自分の背信に) 懲りるべきだったのです。    なぜなら私は、イスラエルすなわちイスラエルの会衆と離別し、彼らをアッシリアに追いやり、「彼女の手に離縁状を渡した」からだ。    それなのに「背信のユダは、恐れなかった[13]」。神がイスラエルに対してそれだけのことを行い、彼と離別し、離縁状を渡したのですから、ユダの会衆は、イスラエルの人々が受けた苦しみによって(自分たちの所業に) 懲りるべきだったのです。ところがユダの会衆は、懲りるどころか、罪に罪を加えてしまい、挙げ句の果てには、イスラエルの会衆の罪が、ユダの会衆の罪と比べると、正しいように見えてしまったのです[14]。そして「私は、彼女の手に離縁状を渡した。しかし背信のユダは、恐れなかった」。彼女の姉妹である背信のユダ「も行き、淫行にふけり、むなしく姦淫を行った。ユダは、木や石と姦通を行った。そして背信のユダは、これらすべてのただなかで、真心から私のところに戻ろうとはしなかった。彼女は、偽りの心で[15]」私のところに戻ってきた。私は、ユダが完全に立ち帰るようにと、イスラエルに対して(諸々の罰を)行ったのに、ユダは、私を恐れようとはしなかった。かえって彼女は、真心から[16]立ち帰るべきであったのに、偽りの心で戻ってきた。「そして背信のユダは、それらすべてのただなかで、真心から私に立ち戻ってこようとはしなかった。彼女は偽りの心で立ち戻ってきた。そこで主は私に言われた。背信のユダに比べれば、イスラエルは、自分の魂を義とした[17]」と。    ユダの数々の躓きに比べてみますと、イスラエルの諸々の罪は、イスラエルの会衆の魂を義としたのです。 



[1] to. bou,lhma au,tou/ to. mustiko,n

[2] 1 R.12 s.

[3] Jr.3,18.

[4] 2 R.17,23.

[5] Jr.25 s.

[6] Cf.Dn.9,2.

[7] Jr.3,6s.

[8] Cf.Jr.3,11.

[9] Cf.Jr.3,12-14.

[10] Cf.Jr.3,18.

[11] ta. noh,mata

[12] Jr.3,6-8.

[13] Jr.3,8.

[14] dikaiosu,nh ei-nai dokei/n

[15] Jr.3,8-10; ou,k...e,x o[lhj th/j dardi,aj au,th/j a,ll~e,pi. yeu,dei

[16] e,n a,lhqei,a

[17] Jr.3,10-11.

 

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