「そして(彼女は)その場所で淫行にふけった。そして彼女がこれらのことをすべて行った後でも、私は言った。『私のところに戻ってきなさい』。しかし(彼女は)戻らなかった。そして背信のユダが、彼女の背信を見た[1]」。(この言葉によって)私たちも叱り付けられたのです。すなわち、私たちも罪人であり、神との契約を守らなかったのです。そしてあの(イスラエルの)人たちが、高貴な血筋を受け、アブラハムの末裔であり、約束を受けていたにもかかわらず契約を破棄したのを、私たちは見なかったのです。ですから私たちは、こう考えなければなりません。もしもあの人たちが、諸々の祝福と約束とから堕ち、また、数々の(偉大な)師父たちからの出であることが、彼らに何の利益ももたらさなかったとすれば、ましていわんや私たちの場合には、もしも私たちが罪を犯せば、必ずや見捨てられるだろう、と考えなければなりません。「もしもあなた方がアブラハムの子どもなら、あなた方はアブラハムの業を行うだろう[2]」と、救い主は彼らに言っております。また、(洗礼者)ヨハネは、「あなた方は心のなかで、『われわれには、父アブラハムがいる』と言い出してはならない。私はあなた方に言っておく。神はアブラハムのために、これらの石からでも子どもたちを造ること[3]ができる[4]」と言っております。(洗礼者)ヨハネは、これらの石によって、「石の心[5]」を持ち、真理に対して(石のように)硬くなった[6]私たちのことを暗示しているのです。そして力ある神[7]はアブラハムのために、本当に石から子どもたちをお造りになったのです。私たちは、「産みの苦しみを耐え[8]」、「(神の)子とする霊[9]」を保ちましたので・・・。

ですから「背信のユダ」は、彼女の、すなわちイスラエルの家の「背信を見た」のです。神との契約を守らなかった「背信のユダ」は、「何ゆえあの(イスラエルの)女が(その犯した)すべての(淫行の)ゆえに捨てられたのかを見た」のです。実際、ユダである私たちは、聖書(の次のような言葉)を読めば、それらのことをすべて見るでありましょう。こうあります。「イスラエルの家は、その行ったすべての淫行のゆえに捨てられた。神は彼女と離別し、彼女に離縁状を渡した[10]」と。私たちも、神が彼らに対して行われたことから教訓を得なければ[11]なりません。神は、彼らをその罪に従って裁き、彼らを捕囚に委ね、彼らを人殺しに、彼らを諸々の敵(の手)に引き渡したのです。私たちはこれらのことによって、立ち返らなければなりません。そして一人ひとりこう考えねばなりません。「もしも神が、自然のままに生えた枝を惜しまなかったとすれば、いわんや私たちを惜しむことはなかろう[12]」と。もしもこれらの太祖たちの末裔が、罪人となってこのように放逐されたとすれば、諸国の民から招かれた私たちは、どれほどの苦しみを忍ぶことになるでしょうか。ところが私たちは、これらのことを何ひとつ考えませんでした。私たちが招かれたのは、あの(高貴な生まれの)民が奴隷の尊ばれるのを見て、そして生まれの卑しい奴隷が近づいてくるのを目の当たりにして、嫉妬に掻きたてられるようにするためだったのですが・・・。あの人たちがすでにこれほどまでの苦難を味わったとすれば、まして私たちが罪を犯せば、私たちは必ずや見捨てられるでありましょう。

「イスラエルの家が姦淫を行ったので、私は彼女と離別し、彼女の手に離縁状を渡した。しかし背信のユダは」、私がイスラエルの家に対して行ったことを「恐れなかった」。すなわち背信のユダは、「私がイスラエルの家と離別し、彼女に離縁状を渡した」のに、彼らの身に起こったことを「恐れませんでした[13]」。ある人が、主人の家に奉公に来ました。彼は最近(主人によって)買われたのです。そして彼は、以前の奉公人の誰がどうして尊ばれ、また奉公人たちのうちの誰がなぜ蔑まされたのかを聞きました。彼は、主人の家にいたいのかどうかをよく考え、以前の僕たちが行ったことに陥らないように注意したのです。以前のしもべたちは罪を犯し、放逐され、懲らしめを受けていたのです。また彼は、以前のしもべたちがどんなことを行なってよく思われたのか、そしてどのようにして自由を獲得したのかを学んで、彼らをうらやましく思うようにりました[14]。私たちもまた、(以前は)神のしもべではなく、偶像と悪霊たちのしもべ、異邦の民の出身であり、昨日か一昨日に、神のみもとに来たのです。(ですから)私たちは、聖書を読むことにいたしましょう。誰が義とされたのか、誰が断罪されたのかを知りましょう。そして私たちは、義とされた人々に倣うことにいたしましょう。また、捕囚となった人々や神から放逐された人々が陥ったのと同じ過ちに、陥らないように注意いたしましょう。



[1] Jr.3,7.

[2] Jn.8,39.

[3] e,gei/rai

[4] Lc.3,8.

[5] Ez.11,19;36,26.

[6] Cf.Ex.10,20.

[7] o. dunato.j qeo.j

[8] mei,nwmen e,n th|/ teknogoni,a|; cf.1 Tm.2,15.

[9] Rm.8,15.

[10] Cf.Jr.3,7-8.

[11] paideuqh/nai

[12] Rm.11,21-24.

[13] Jr.3,8.

[14] Cf.Rm.11,11.

 

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