14  これに続けて、次のようなことが言われております。「あなた方は、<あなた方の>神のために割礼を受けよ。そしてあなた方の心の包皮に取り去れ[1]」と。「あなた方の神のために割礼を受けよ」とあります。「あなた方の神のために割礼を受けよ」という言葉が付け加えられているのには、それなりの理由があります[2]。そしてあなたは、感覚的な例から[3]それを理解することができるでしょう。感覚的な次元で申しますと[4]、割礼を受ける人々には、モーセの律法に即した割礼によって割礼を受ける人たちばかりでなく、その他にも多くの人がいます。エジプト人たちの祭司たちは、諸々の偶像のために割礼を受けます[5]。しかしその割礼は偶像のための割礼であって、「神のために」行う割礼ではありません。他方、ユダヤ人たちの割礼は、とにかく当時[6]、「神のために」行われたものでした。さて、み言葉が「あなた方は、あなた方の神のために割礼を受けよ」と言われ、あなたがその言葉(の文字通りの意味)を理解したのでしたら、比喩的解釈[7]の方にお進みください。そうすれば、一体どうして、比喩的に割礼を受けた人々のうちには    たしかに彼らのなかには、おそらく、「私たちこそ、(まことの)割礼者なのだ[8]」と言う人たちがいるでしょう    神のために割礼を受けた者もいれば、また神のために割礼を受けなかったものがいるのかが、おわかりいただけると思います。真理の教え、教会の教えとは異なる他のさまざまな異説が存在します[9]。哲学者たちは、俗習と心とに割礼を施して、節度ある生活のようなものを送っています[10]。異端に属する人たちも、節度ある生活を保ち、自分自身に割礼を施しています。しかしそれは、神のための割礼ではありません。彼らの割礼は、偽りの教えによって行われているからです[11]。ところがあなたが、教会の規範、健全な教えの提示に従って(教会と)交わりを保っていれば[12]、あなたは単に割礼を受けただけではなく、「神のために」割礼を受けたことになるのです。

  それで「あなた方は、あなた方の神のために割礼を受け、あなた方の心の包皮を取り去らなければならないのです[13]」。(しかし)この(後者の)言葉を、まるで明晰なものであるかのように見過ごす人が誰かいるでしょうか。心には包皮のようなものが存在し、それを切り捨てねばならないと言っているのです。精緻な議論をして、この個所におけるこれらの問題を探求する人は、検討してみてください。包皮というものは生まれつきのもので[14]、割礼は付帯的なもの[15]ではないでしょうか。割礼は、生まれつきあるもの[16]を取り去るのです。ですから、み言葉が「心の包皮を」取り除きなさいと命じたからには、生まれつき心に属するものが何かあって、それが包皮と呼ばれているに違いないのです。人は、「心の包皮を」切り離すために、これを切除しなければならないのです。ある人が、「私たちは、他の人々と同じように、生まれながらに怒りの子でした[17]」という言葉を考察したとします。また、私たちがそのなかに生まれたところの「惨めな身体[18]」を考える人がいるとしてみましょう。さらに、「汚れを免れているものは一人もいない。たとえその人の人生が、一日であっても、またその人の月日が数えるほどであっても[19]」という言葉を理解する人がいるとしましょう。その人は、どのようにして私たちが、私たちの心の汚れと包皮を伴って生まれてきたかがわかるでしょう。

 



[1] Jr.4,4.

[2] a,nagcai,wj pro,skeitai

[3] a,po. tou/ paradei,gmatoj tou/ ai,sqhtou/

[4] kata. to. ai,sqhto.n le,gw

[5] Cf. Pseudo-Barnabé, Ep.IX, 6; Origène, Com.Rom.II, 13 (PG 14, 910 D - 911 B); C.Celse V, 47-48.

[6] ta,ca, pa,twj de. to,te

[7] tropologi,a

[8] Ph.3,3.

[9] Ei,si.n de. kai. a;lloi lo,goi para. to.n lo,gon to.n th/j a,lhqei,aj, para. to.n lo,gon to.n th/j e,kklhsi,aj.

[10] w[j te ei,pei/n swfroni,zousin

[11] Cf.Hom.Nombr.XI, 7.

[12] o[tan de. kata. to.n e,kklhsiastiko.n kano,na, kata. th.n pro,qesin th/j u.giou/j didaskali,aj koinwniko.j h-|j,...

[13] Jr.4,4.

[14] suggenna/tai

[15] e,pikthto,j

[16] o[per e,k gene,sewj e,lh,luqen

[17] Ep.2,3.

[18] Ph.3,21.

[19] Jb.14,4-5.

 

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