第7講話

「『その日が来ても、私はお前を終局まで打ちはしないお前の神は言われるから、「このようにお前たちは、自分の土地でないところで他国の者たちに仕えねばならないまで


 

 

 懲らしめを受ける人たちを「少しずつ裁かれる」神は、彼らに「悔い改めの機会を与えます[1]」。神は、罪を犯す者を直ちに懲らしめ、罪を犯した者に懲らしめの「終局[2]」をお与えになるようなことはいたしません。それゆえ神は、「少しずつ裁き」、懲らしめをお与えになるのです。このことの実例は、『レビ記』にあります。すなわち、律法を犯した人たちに対する呪いが述べられている箇所で、最初に懲らしめが告げられた後に、次のように書き記されています。「そしてそれでも、お前たちが立ち返らないなら、と主は言われる、私はさらに七つの災いをお前たちに加える[3]」。さらにもう一つ、懲らしめが述べられています。「しかしそれでも、お前たちが立ち返らず、腹黒い態度で私に立ち向かうなら、私も腹黒い憤りをもってお前たちに立ち向かう[4]」。あなたは、神が哀惜の情をもって懲らしめを抑えているのに[5]お気づきにでしょう。なぜなら神は、罪を犯した者を回心へと導こうと望んでおられるのであって、(彼らに対して)直ちに(罪を)報いをしたりはしないからです。

 ですから文字通りに取るかぎり[6]、そのようなことが、(イスラエルの)民に起こったのです。そしてみ言葉は、彼らが被ることになる諸々の災いで彼らを脅かした上で、こう述べています。「『その日が来ても、私はお前を終局まで打ちはしない』と、お前の神は言われる[7]」と。しかしこれらの事柄は、何よりも来るべき懲らしめに関するものだと<あなたがお考えになる>としたらどうでしょう。もしも来るべき懲らしめに関するものでないとすれば、能力のある人は、この(世の)生活において(イスラエルの)民に降り掛かる数々の出来事から出発して、あの来るべき懲らしめへと進んでみてください。私は確信をもって次のように申し上げたいと思います。すなわち、「(祭司たちが)天にあるものの写しと影に奉仕している[8]」のと同じように、あの(イスラエルの)民も、自分たちの犯した罪のゆえに、真の懲らしめの写しと影によって懲らしめられたのです。したがって、この(イスラエルの)民に対して律法と預言者たち(の書)とに書き記されているすべての懲らしめは、真の懲らしめの影を含んでいると、私は確信をもって申し上げたいと思います。

 さて、諸々の罪に基づく終局が、彼らに臨んでおらず、終わりのいつかに臨むものであるとすれば、罪を犯した者たちに対する懲らしめは、死後でも[9](まだ)存在しないのではないでしょうか。しかし、エルサレムに対しては、ネブカドネザルの捕囚があったときに、終局が訪れました。しかしそれでも、ある人はこう言うかもしれません。「終局は、そのときあったのではなく、また、マカベアの時代にあったのでもない。終局は、私たちの主・イエス・キリストの到来の時に(イスラエルの)民に起こったものだ」と。たしかに、救い主が彼ら(エルサレムの住人)に対して、「見よ、あなた方の家は、(荒れ果てたまま)あなた方に残されるだろう[10]」と言われなかったとすれば、(彼らの)その家は、捨て置かれなかったでしょう。ところが、救い主がエルサレムに対して嘆きながらこう言われたとき、すなわち、「エルサレム、エルサレム、預言者を殺し、自分に遣わされた者たちを石で殺すエルサレムよ。<雌鳥が>自分の翼の下に雛を集めるように、私は何度あなたの子供たちを集めようとしたことだろう。しかし、あなた方は、それに応じようとはしなかった。見よ、あなた方の家は、荒れ果てたまま、あなた方に残されるだろう[11]」と言われたとき、(彼らの)その家は、捨て置かれたのです。「エルサレムは軍隊によって」包囲され  なぜなら(彼らの)家は捨て置かれたのです  「その滅亡が近づきました[12]」。そして彼らの罪の後、異邦の民である私たちに、救いが訪れたのです[13]

 このように彼らは懲らしめを受けましたが、私の主・イエスの来臨まで、彼らに終局は臨みませんでした。



[1] Sg.12,10.

[2] Jr.5,18:sunte,leia th/j kola,sewj

[3] Lv.26,21.

[4] Lv.26,23-24.

[5] to.n qeo.n evpimetrou/nta kola,seij meta. feidou/j

[6] o[son evpi. tw/| r`htw/|

[7] Jr.5,18.

[8] He.8,5; cf. Com.Jn VI, 52 (33)§266 (SC 157, p.333); X 15 (12),§85; 16(13),§91;Hom.Jos.XII, 1 etc.

[9] meta. th.n e;xodon

[10] Mt.23,38.

[11] Mt.23,37-38.

[12] Lc.21,20.

[13] Rm.11,11.

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