文学教師としてのオリゲネス

 

 オリゲネスは、教理教育に従事する前に、文学教師のもとで当時の一般教養としてホメロスやヘシオドスの作品をテキストとするギリシア古典や中期プラトン主義を学び、みずからも母親と兄弟を養うために文学教師をしたのであった。文学教師としての経歴の痕跡は、おそらく彼の使っている専門用語に見出せるだろう。たとえば彼が本講話で使用している次の言葉、すなわち、提喩法(sunekdocikw/j)、誇張法(u`perbolikw/j)、対照法(avntidiastolh,)、逆説(para,doxoj)、活喩法(proswpopoii,a)、比喩法(tropologi,a)、版(e;kdosij)、写本(avpo,grafon)、序文(prooi,mion)、節(perikoph,)、誤用(soloikismo,j)、例(para,deigma)、逸脱(pare,kbasij)、同名意義(o`mw,numa)などという言葉は、当時の一般的な文学的教養を表していると言える。さらにオリゲネスは、他のキリスト教著作家と同様に、聖書を引用する際に、しばしば主語を明記せずに、単に「(彼は)言うfhsi,・・・と」という形式を取っている。このことも、彼以前や以後の著作家たちに共通して見られるアレクサンドリアの学校的伝統の一部であると言えなくもない。

 

 

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