平和

 あなた方は、いかなる争いもしてはならない。あるいはできる限り速やかに争いを終わらせなさい。それは、怒りが憎しみに増幅し、わらくずが梁にならないようにするためである(Mt.7,3-5)。実際、あなた方は、次の言葉を読んでいる。「自分の兄弟を憎む者は、人殺しである(1 Jn.3,15)」。

 罵声や悪口あるいは詰問よって誰かを傷付けた者はみな、自分のもたらした傷を償いによってできるだけ早く癒さなければならないこと、そして傷付けられた者も、非難することなく赦さなければならないことを(Mt.6,12)、銘記しておかなければならない。互いに傷付け合った場合には、彼らは、あなた方の祈りによって、お互いの負い目を赦し合わなければならない。確かにあなた方は、祈りを頻繁に行えば行うほど、その祈りを聖なるものとしなければならないのである。しかし、しばしば怒りに駆られるが、自分が不正を働いたことに気付き、赦してもらうように速やかに願う者は、怒るに遅く、赦しを乞うのに遅い者より優っている。決して赦しを願おうとはしない者、あるいは心から願わない者は、たとい修道院から追放されなくても、修道院にいる理由を持たない。

 それ故あなた方は、乱暴な言葉を慎まなければならない。しかし乱暴な言葉があなた方の口から発せられた場合、傷を与えた同じ口で、治療薬を与えることをためらってはならない。

 しかし規律ある良風を維持する必要から、あなた方がやむをえず乱暴な言葉を遣った場合、たといあなた方が節度を越えてしまったことに気付いても、あなた方は、自分の配下の者たちに赦しを乞う必要はない。服従しなければならない配下の者たちの中で、謙遜が過度に守られるなら、統率する権威は粉塵に帰してしまうだろう。しかしながら、万物の主からは赦しを乞わなければならない。恐らく度を越えて不当に叱責した者たちを、あなた方がどれほど深い慈愛をもって愛しているかを、主はご存知である。しかし、あなた方の間では、愛は肉的なものでなく、霊的なものでなければならない。

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