酒と文学


大伴旅人 

歌人、大伴旅人の万葉集に入っている酒を譛える歌十三首は、酒なしの人生は考えられなかった人としてよく知られている。

 しるしなき物を思わずは一杯
     濁れる酒をのむべくあるらし

 なかなかに人とあらずは酒壺に
     成りにてしかも酒に染みなむ


若山牧水 

  明治以降では、生涯酒と旅を愛した歌人、若山牧水が第一だろう。
  牧水の酒は一日一升が定量だったという。

 船なりき春の夜なりき瀬戸なりき
     旅の女と酌みし杯

 それほどうまきかと人の間うたらば
     何と答えんこの酒の味


石川啄木
  
  牧水の親友でもあった石川啄木にも酒を詠んだ歌は多い。ただ、
  思想や生活環境の違いから表現は著しく異なっている。

 
こころざし得ぬ人々のあつまりて
      酒飲む場所がわが家なりしか


 
若くして数人の父となりし友
      子なきがごとく酔えばうたひき


藤本義一

  
学生時代に作った飲酒哲学は酒徒の真骨頂といえる。

 昼間の酒は残酷
 黄昏の酒は美酒
 深更の酒は陶酔
 夜明けの酒は恍惚


青木雨彦 (コラムニスト)

 
このセンスがたまらなく好きだ。今度本を読んでみようと思う。

 飲むのは月、水、金と火、木、土だけと決めている。
 加えて日曜日は週に一遍しか飲まない。