Neurosis 神経症 (自由損傷症候群)
《治療・療養・克服のための新療法による=在宅心理カウンセリング》
1) 定義
神経症は主体性が未だ成熟していない精神疾患である。主体性の要であるのは主体の私意識である主観である。主観は
“自由の概念” をその根拠としている成立している。“自由の概念” は、後天的に取得した言語の体系的領野に発生する。主観は概念に過ぎないが、この主観が本能身体の先天的な意志を必要なその都度、剥奪しつつ、自前の自由の概念を植え込んで、主体的行為に及ぶ。
主観が主体性を立てると、その意志は現実的な目的価値を志向する。“自由の概念” は、“所有・支配・権力・翻弄“の現実力となって身体上に営為し始めるのである。資本主義、それは土地や資本や有形無形の財(学や技術などの能力は無形財である)を”所有・支配・権力・翻弄“の道具として使用することで、己の”所有・支配・権力・翻弄“力そのものとなった本能身体を社会的に誇示していくことである。
“群雄割拠の時代“に、われわれはその典型を見ることができる。
“自由の概念” を植え込まれた身体を、“自由の意志“と言い換えることができる。それゆえ未熟なゆえに社会的に主体性を低く見積もられている神経症主体を、私の精神病理学では自由損傷症候群と呼ぶ。
自由損傷主体はそれぞれ第一反抗期で自立の、第二反抗期で自律の葛藤症状を現出する。この葛藤症状と同時に根本情態性反応を起こし、更に、小児は〈睡眠時主体性崩壊〉の症状を、成人は〈覚醒時主体性崩壊〉を起こす。
成人はまた成人の神経症症状を持ちながら、小児の自立葛藤症状と〈睡眠時主体性崩壊〉の症状が出ることがある。社会的にしっかりした成人であっても、甚(はなは)だ困難な事態に立ち至ったりした場合に、動物恐怖や緘黙、また睡眠時に金縛り、歯軋り、涎垂らし、夢中遊行の症状が出たりする。これはもちろん主体性が生育史的に一段階後退した姿である。
主体性は自己主体性と精神主体性に大別される。前者は“所有・支配・権力・翻弄“の目的価値を、後者は”感謝・愛・善・美“の目的価値を、それぞれ意志に措定している。前者の神経症を通常神経症、後者を精神神経症と呼ぶ。
〈自由損傷症候群(通常神経症)の自律(自立)葛藤の主体度〉
∴対象の圧力に対して
(自由力の自由)
┌─────────┐ │ ┌──────────┐
│上位葛藤 ― 怒り│ │ │ 葛藤の超出―偽自立 │
└─────────┘ │ └──────────┘
”圧力に抵抗する”が、 │ 生育史を一段階落として、
「自律できない」 │ 「自立・自律」しているので、
│ 彼の前に圧力はない。
│
│ 自律に無関係であるという
自己視線恐怖 │ 意味で、「自律せずともよい」
自己臭恐怖 │ ので、葛藤がなく、従って、
異性恐怖 │ 葛藤症状はない。
│
│ 【癇癪・不機嫌・わがまま・甘え】
│
│ 自立・自律が成功した場合は、
│ この領域では自由拡張症候群主体に成る。
───────────────┼────────────────
(現実の力の不良) │0 (現実の力の良)
│
│
服う │ 他者視線恐怖
従う │ 他者臭恐怖
│ 同性恐怖
│
│
”圧力に抵抗しない”ので、 │ ”圧力に抵抗できない”ので、
「自律しなくてもよい」 │ 「自律したくない」
┌───────────┐ │ ┌─────────┐
│下位葛藤 − 根本情態性│ │ │中位葛藤 ― 呪い│
└───────────┘ │ └─────────┘
(自由力の不自由)
∴ (+・+)域の主体度の【癇癪・不機嫌・わがまま・甘え】は、
自立、あるいは自律を放棄して、生育段階を一段階落とした主体性に
居直った「偽自立」あるいは「偽自律」の主体像である。
従って、この主体性では葛藤などの諸症状は超出している。
自律(自立)が成功すれば、この(+・+)域の主体度には
自由拡張症候群主体(自己主体性)が来る。
∴ 精神神経症の場合もこの座標が共有される。
但し、(+・+)域の主体度の価値度が、【無意識的摂理主体性(仮想主体性)】、
あるいは【無意識的摂理価値(仮想価値)】 となる。
通常神経症は偽(にせ)であるにせよ「主体的に自律している」。
通常神経症主体は“所有・支配・権力・翻弄“という目的価値が明確であるからである。
彼は只、自由量をその最大量に達しさえすればよいからである。
本能から無意識に突き上げてくる“感謝・愛・善・美“の仮想価値による精神神経症では、
あくまでも仮想的な主体性に留まる。仮想的であるかぎり、偽自立も自立もできない。
仮想価値を擁する主体性は、いつも自律(自立)の葛藤段階の仮想主体性に留まる。
従って、精神神経症では偽自律(偽自立)の【癇癪・不機嫌・わがまま・甘え】は、
成立しない。
通常神経症では主体は本能を振り切って自由を達成することで自律(自立)を可能とするが、
仮想主体性(精神神経症主体)では、主体性が本能を背負って立たねばならない。
すなわち精神神経症主体では本能を背負う力を養うという必要不可欠の自律試練を持っている。
それゆえ精神神経症主体が、この(+・+)域の主体度で真の自立、あるいは自律を
達成できるのは、“感謝・愛・善・美“が仮想価値から真の目的価値に昇華
できた場合となる。つまり、精神神経症では、価値不全症候群が併症している。
〈小児神経症の自立葛藤症状〉
┌─┬───┬──────┬───────────┬─────────┐
│時│表現 │《上位葛藤》│ 《中位葛藤》 │ 《下位葛藤》 │
│空│形式 │抵抗できない│ 抵抗したくない │抵抗しなくともよい│
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤
│権│意志型│対人恐怖 │対人場面の緘行動と緘黙│対人場面の無抵抗 │
│ │ │ │ │ │
│力│運動型│遺精 │弄精 │対人場面で逃げる │
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤
│支│意志型│暗闇恐怖 │暗闇場面の緘行動と緘黙│暗闇場面の無抵抗 │
│ │ │ │ │ │
│配│運動型│遺糞 │弄便 │暗闇場面で逃げる │
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤
│翻│意志型│一人恐怖 │一人場面の緘行動と緘黙│一人場面の無抵抗 │
│ │ │ │ │ │
│弄│運動型│遺尿 │弄尿 │一人場面で逃げる │
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤
│所│意志型│動物恐怖 │動物場面の緘行動と緘黙│動物場面の無抵抗 │
│ │ │ │ │ │
│有│運動型│遺唾 │弄唾 │動物場面で逃げる │
└─┴───┴──────┴───────────┴─────────┘
∴「意志型」は「感情型」、「運動型」は「官能型」に同じ。
〈睡眠時主体性崩壊〉
┌───┬──────────────┬──────┬────────┐
│ │ 自由 │自由の無 │根本情態性 │
├───┼──────────────┼──────┼────────┤
│感情型│夢中遊行 │夢魔 │夜驚 │
│ │ │ │ │
├───┼──────────────┼──────┼────────┤
│ │夜精(権力)・夜糞(支配) │ │叫び、走り回り、│
│官能型│ │金縛り │ │
│ │夜尿(翻弄)・歯軋り(所有)│ │抱きつく=夜驚 │
└───┴──────────────┴──────┴────────┘
∴夜驚では頻脈、呼吸促迫、発汗、立毛、散瞳等の身体症状がある。
感情型では上半身を起こして眼を剥き、叫び声を出す。
∴表現型は混交し得る。夢中遊行中に夜尿を行なったりする。
∴崩壊時の「歯軋り」は”自由”の概念の了解です。
歯軋りは口唇を含む口腔の快に結び付いています。
歯軋りをするとき唾液の分泌が盛んになるので、
歯軋りを「夜唾」としても同じです。
あるいは歯軋りのない「睡眠時の涎」も同じカテゴリーです。
〈成人神経症の自律葛藤症状〉
A・感情型(強迫神経症)の 葛藤症状
〔意志了解型(強迫神経症)・権力型〕
┌──┬───┬───────────────────────────┐
│ │ ∧│自己視線(正視)恐怖、自己臭恐怖、発汗恐怖 │
│ │上 抵│ │
│ │位な抗│放屁恐怖、震声恐怖、頻尿恐怖、醜貌恐怖、醜形恐怖 │
│意 │葛いで│ │
│志権│藤∨き│舞台恐怖、長上恐怖、異性恐怖、対人緊張恐怖 │
│了力├───┼───────────────────────────┤
│解型│ ∧│他者視線(横視線)恐怖、他者臭恐怖、赤面恐怖 │
│型 │中 抵│ │
│ │位 抗│蒼面恐怖、吃音恐怖、排尿困難恐怖、美貌恐怖、美形恐怖 │
│ │葛なし│ │
│ │藤いた│会食恐怖、年下恐怖、同性恐怖、表情恐怖 │
│ │ ∨く│ │
└──┴───┴───────────────────────────┘
注:すべて〈対人恐怖〉のカテゴリー。
〔意志了解型(強迫神経症)・支配型〕
┌──┬─┬─────────────────────────┐
│ │ │広場恐怖、狭所恐怖、方位恐怖、乗物恐怖、川恐怖 │
│ │上│ │
│ │位│地平線恐怖、高所恐怖、閉所恐怖、トンネル恐怖 │
│意 │葛│ │
│志支│藤│埋葬恐怖、人ゴミ恐怖、独居恐怖、静座恐怖、海恐怖 │
│了配├─┼─────────────────────────┤
│解型│ │洗浄強迫、反復強迫、確認強迫、強迫儀式、嘘恐怖 │
│型 │中│ │
│ │位│放置恐怖、開始恐怖、終止恐怖、手抜かり恐怖 │
│ │葛│ │
│ │藤│排便排尿強迫、衣服不安、不正確恐怖、不眠恐怖 │
└──┴───────────────────────────┘
注:上位自律葛藤は〈場所恐怖〉、中位自律葛藤は〈不完全恐怖〉
〔意志了解型(強迫神経症)・翻弄型〕
┌──┬─┬─────────────────────────┐
│ │ │刃物恐怖、電車恐怖、殺人恐怖、放火恐怖、文書恐怖 │
│ │上│ │
│ │位│涜神恐怖、不貞恐怖、背徳恐怖、窃盗恐怖、殺生恐怖 │
│意 │葛│ │
│志翻│藤│毒物恐怖、破損恐怖、不幸恐怖、精子恐怖、責任不安 │
│了弄├─┼─────────────────────────┤
│解型│ │人名恐怖、看板恐怖、回想恐怖 │
│型 │中│ │
│ │位│注意強迫、数恐怖、計算症、質問症 │
│ │葛│ │
│ │藤│文法恐怖、穿鑿症、疑問強迫 │
└──┴─┴─────────────────────────┘
注:〈翻弄型〉の上位自律葛藤は、〈強迫観念〉、あるいは〈衝動恐怖〉。
中位自律葛藤は〈雑念恐怖〉、〈瑣事恐怖〉。
〔意志了解型(強迫神経症)・所有型〕
┌──┬─┬───────────────────────┐
│ │ │殺され恐怖、稲妻恐怖、溺死恐怖、災難恐怖 │
│ │上│ │
│ │位│焼死恐怖、先鋭恐怖、睡眠恐怖、迷信恐怖 │
│意 │葛│ │
│志所│藤│虹恐怖、オーロラ恐怖、事故恐怖、 │
│了有├─┼───────────────────────┤
│解型│ │不潔恐怖、接触恐怖、埃恐怖、空気恐怖 │
│型 │中│ │
│ │位│心臓神経症、胃腸神経症、梅毒恐怖、頻回手術症 │
│ │葛│ │
│ │藤│痴呆恐怖、脳疾患恐怖、結核恐怖、癌恐怖 │
└──┴─┴───────────────────────┘
注:〈所有型〉の上位自律葛藤は〈終末恐怖〉。
中位自律葛藤は〈疾病恐怖〉、あるいは〈心気症〉。
B・官能型(ヒステリー)の 葛藤症状
〔運動表現型(ヒステリー)・権力型〕
┌──┬─┬────────────────────────┐
│ │ │首チック、足チック、手・腕のチック、足を動かす │
│ │ │ │
│ │ │足を組む、手・腕を前後に組む、手を腰に当てる │
│ │上│ │
│ │位│手で体を触る・押さえる、手をポケットに入れる │
│運 │葛│ │
│動権│藤│生殖器を弄る、拳を握る、体を揺する、髪を触る │
│表力├─┼────────────────────────┤
│現型│中│インポテンツ、冷感症 │
│型 │位│ │
│ │葛│痙性斜頚、失立失歩、脊柱側湾、 │
│ │藤│ │
│ │ │その他全身の運動筋の麻痺と拘縮 │
───┴─┴────────────────────────┘
∴上位自律葛藤は、〈チック〉。
中位自律葛藤は、〈麻痺〉及び、〈拘縮〉。
〔運動表現型(ヒステリー)・支配型〕
┌──┬─┬────────────────────────────┐
│ │ │舌打ち、しかめ面、眉を上げる、耳チック │
│ │上│ │
│ │位│口をひん曲げる、ぶうぶう唸る、叫ぶ、喚く │
│運 │葛│ │
│動支│藤│猫の鳴くような声、アッアッアッと言い続ける、言葉チック │
│表配├─┼────────────────────────────┤
│現型│中│皮膚感覚脱失、失声 │
│型 │位│ │
│ │葛│声帯拘縮、顔面神経麻痺 │
│ │藤│ │
│ │ │ヒステリー性聾、感覚錯誤 │
└──┴─┴────────────────────────────┘
∴言葉チックを含め、口腔に関するものを、「口腔チック」とする。
〔運動表現型(ヒステリー)・翻弄型〕
┌──┬─┬────────────────────────┐
│ │ │瞼チック │
│ │上│ │
│ │位│きょろきょろ見回す眼球チック・首チック │
│運 │葛│ │
│動翻│藤│首回し運動や手・腕・足・胴などの運動チック │
│表弄├─┼────────────────────────┤
│現型│中│視野狭窄、斜視、ヒステリー盲、眼瞼下垂、二重視 │
│型 │位│ │
│ │葛│眼筋麻痺、失行性書字、書痙、失調歩行、運動麻痺 │
│ │藤│ │
│ │ │色視、暗点、補色代替視、大視、半盲、色盲、小視 │
└──┴─┴────────────────────────┘
〔運動表現型(ヒステリー)・所有型〕
┌──┬─┬──────────────────────────┐
│ │ │唇を噛む・舐める、爪・頭髪・その他の部位を噛む │
│ │上│ │
│ │位│鼻を鳴らす、鼻糞をほじる、咳払い、舌しゃぶり │
│運 │葛│ │
│動所│藤│咬筋チック │
│表有├─┼──────────────────────────┤
│現型│中│ │
│型 │位│味覚喪失、嗅覚喪失、味覚錯誤、嗅覚錯誤 │
│ │葛│ │
│ │藤│記憶喪失、記憶錯誤、錯書、書字忘失、思考麻痺 │
└──┴─┴──────────────────────────┘
〈根本情態性反応―意志了解性〉
∴価値性は感情性ともいう。
┌───┬──┬───┬───────────────────┐
│ │集団│知覚性│赤面 │
│ │ │ │ │
│ │ │価値性│発熱、発汗 │
│ ├──┼───┼───────────────────┤
│根 │家族│知覚性│胸部圧迫、蒼面 │
│本意∧│ │ │ │
│情志感│ │価値性│動悸、失神、眩暈 │
│態了情├──┼───┼───────────────────┤
│性解性│休息│知覚性│吃音、排尿困難 │
│反性∨│ │ │ │
│応 │ │価値性│呼吸促迫(気道、あるいは横隔膜の震え)│
│ │ │ │震え声、頻尿 │
│ ├──┼───┼───────────────────┤
│ │食 │知覚性│嘔吐(悪心性)、空気嚥下(呑気) │
│ │ │ │ │
│ │ │価値性│悪心(胃の震え)、腹部膨満(腸管の │
│ │ │ │運動異常、げっぷ、ガス) │
└───┴──┴───┴───────────────────┘
∴根本情態性は“不安、絶望、混沌、恐怖”の感情である。
∴空気嚥下症は、食事時や唾液分泌昂進により、
呑み込む動作と一緒に空気を嚥下します。
〈根本情態性反応―運動発動性〉
∴価値性は官能性ともいう。
┌───┬──┬───┬────────────────────┐
│ │ │感覚性│緊張性頭痛(頭蓋筋の痙縮による) │
│ │集団│ │痛み(各筋肉) │
│ │ ├───┼────────────────────┤
│ │ │価値性│痙攣(各筋肉) │
│ ├──┼───┼────────────────────┤
│ │ │感覚性│心臓の痛み、胸部圧迫、生理痛 │
│ │ │ │睾丸痛、皮膚感覚痛、顔面神経痛 │
│ │家族├───┼────────────────────┤
│根 │ │ │心臓痙攣、血管痙攣、失神(心臓、血管痙攣│
│本運∧│ │価値性│性)、声門痙攣、顔面神経痙攣、眼瞼痙攣 │
│情動官├──┼───┼────────────────────┤
│態発能│ │感覚性│膀胱痛、腎臓痛、眼痛(視神経、眼筋) │
│性動性│ │ │息が詰まりそうに込み上げてくる熱感 │
│反性∨│休息├───┼────────────────────┤
│応 │ │ │しゃっくり(横隔膜痙攣)、膀胱痙縮 │
│ │ │価値性│呼吸促迫、眼筋細動、膀胱括約筋痙攣 │
│ ├──┼───┼────────────────────┤
│ │ │感覚性│痛み(胃、胆道などの痙攣性)、歯痛、腹痛│
│ │ │ │嘔吐(痙攣性)、胃の収縮感・圧迫感・括れ│
│ │食 │ │感、ヒステリー球(食道の絞縮)、肝臓痛 │
│ │ ├───┼────────────────────┤
│ │ │ │便秘(大腸の痙攣による)、胃痙攣(幽門、│
│ │ │価値性│噴門等)、下痢(小腸の痙攣による) │
└───┴──┴───┴────────────────────┘
∴顔面筋は骨格筋(集団)でもあり、表情筋(家族)でもある。
∴過敏性腸症候群は、下痢、便秘、腹部ガス貯留、胃痛、腹痛など。
∴熱性痙攣は、根本情態性反応で「発熱」して「深崩壊」に至る。
∴癇癪発作(泣き入り引付け、息止め発作)は、
てんかん発作に似た機序で「深崩壊」に至る。
2) 発病機序
自由損傷症候群(神経症)はその主体性が第一反抗期で自立が、第二反抗期で自律が失敗した精神疾患である。自由損傷症候群主体は社会的に自立(自律)している自己主体性(自由拡張症候群)や精神主体性の前に、自己を比較して、その主体性が未熟で対等に立てない。
この疾患離脱の課題は、端的に自由拡張症候群主体(自己主体性)に成ることである。自己主体性の目的価値は資本主義社会の価値である“所有・支配・権力・翻弄“である。これら四つの価値は自由という概念に帰納できる。自由は無制限性である。その力の発揮する時空に果てがない。自由損傷症候群主体はこの無制限な自由を得ることに失敗した。
間接的には両親や社会の成人の威圧によって彼の自由力の成熟が妨げられたのであるが、直接的には人間がその本能身体に主体性を組み込むという存在の機構に原因する。主体性は自由という無制限性の概念で成立している。身体(本能)は主体が身体にこの概念を組み込むときに、本能の価値“感謝・愛・善・美“を押し潰されるのに抵抗する。
このとき自由(所有、支配、権力、翻弄)は、根本情態性の洗礼に、”おそれ、おののく”。根本情態性は主体の意志が死に直面したときの本能の“不安、絶望、混沌、恐怖”の感情であり、主体はこの根本情態性によって身体を完全に“所有・支配・権力・翻弄“できないとき、自由損傷症候群(神経症)に罹患する。
すべての人は大なり小なりこの自由損傷症候群を持っている。人間はその後天的に取得した自由という無制限性を持つことによって、生きる価値の消滅の時空、即ち、生の根拠を見失う”無”に相見える運命を背負ってしまっているからである。”おそれとおののき”はこの本能が発する”無=死”の時空から、主体の無制限性に向かって立ち現れてくるのである。
自由損傷症候群(神経症)主体が自立(自律)の目標とする自由拡張症候群主体はしかし、その主体性を確立(確律)する際の、根本情態性の”内観”に於いて、面と立ち向かうのではなく、「逃走」という卑劣な方法を採る。
この逃走形態には4つあり、存在の力の強度がある順に「狂気症候群」「虚偽症候群」「根本情態性遮蔽症候群」「判断停止症候群」と呼ばれる。
自由損傷症候群は、従って序列としては判断停止症候群の下に就いている。
※ 私の療法は資本主義社会にフィットする対症療法ではなく、命の価値を回復する本態療法を行うので、自由損傷症候群は精神主体性に自立(自律)することを目指してその疾患から離脱する手当てを受ける。従って、通常神経症は精神神経症に一旦シフトしてから、精神主体性へと自立(自律)することを目指す。
「主体性崩壊」
葛藤が深いと主体性崩壊の現象を起こす。 ※ 精神病の「崩壊主体」の項を参照。
更により深い場合には深崩壊に至る。 ※ てんかんの「症状」の項を参照。
「癇癪発作」
小児神経症に主体性が崩壊する「癇癪発作」の症状がある。
「癇癪発作」は「息止め発作」、「泣き入り引付け」、「呼吸停止発作」などとも言われる。
癇癪発作は自由が損傷しているゆえに生ずる自立葛藤状態に巧みに煙幕を張って、
原自由の最大領域に偽自立している様態で起こる。
小児神経症の場合、自立という目標を持っているので、
心身症で起きる憤怒痙攣の乳幼児よりも高い年齢から生じる発作である。
癇癪発作では自由損傷症候群に罹患している幼児がそれから遁走しているもの、
即ち、本能の根本情態性に打ち倒される。
このとき根本情態性に「捕縛」されて、主体は通常の主体性崩壊よりも深い深崩壊に達する。
「熱性痙攣」
「熱性痙攣」もまた自立葛藤そのものに於いてではなく、自立葛藤がもたらす
根本情態性反応である「発熱」を原因とする。小児の原主体性は”「発熱」
という本能の根本情態性発動”に打ち倒されて「深崩壊」するに至る。
自立葛藤による根本情態性捕縛がある上に、その反応による急性の発熱という、
重畳される根本情態性の発動が、主体を自立葛藤の深い内省域にまでおびき寄せ、
そこで主体性を崩壊させるのである。