大逆転  1 (episode4)





「どうしたの?具合でも悪いの?」

小声で囁くアーヴィンに、ゼルはハッと顔を上げた。
「え?い、いや、別に。」
「さっきから、全然喋んないじゃないか。頼むよ〜。ただでさえ、主役があんな感じなんだから、
お笑い要員の君が頑張ってくれなきゃ〜。」
ほら、とはしゃいだ声で笑うキスティスを顎で指し示す。
「君が黙り込んでるから、彼女、必死で盛り上げてるよ。可哀想でしょ?あーゆー、キャラじゃ無い事
やらせちゃ。」
悪戯っぽく笑ってゼルの顔を覗き込む。
「伝説のSeeD様の誕生パーティじゃない、もっと盛り上げようよ。」

だって、俺は別に来たくなかったんだから。
憮然としながらゼルが思う。
俺がスコールに「大嫌いだ」と言い放ったその場にいたくせに、キスティスは俺を強引にスコールの
プレゼントの買い物に連れ出して、そして強引にこの場に引っ張ってきた。
気まずくて、スコールの顔なんて見れたもんじゃない。
スコールだって、こっちに話し掛けようともしない。無言で酒を飲み続けてるだけだ。
これでどう、盛り上がれって言うんだ。

「・・・本当は、リノアも来れれば良かったんだけどね〜。」
アーヴィンがぼそりと呟いた。
「別れたりしなけりゃ、スコールも、もう少し寂しくなかったのにね〜。何か寂しそうじゃない?彼。」

え?とゼルが眼を大きく開く。この前も、それを聞いた。買い物の時に。
全く同じ事を、キスティスとセルフィが言っていた。

買い物が一段落して、お茶をしている時、リノアも来れれば良かったのにね、とセルフィが突然
言い出したのだ。それで、久し振りにリノアの事を思い出した。
黒髪で黒い瞳の、かわいいリノア。いつもスコールの側にいたがった、甘えん坊の少女。
スコールとすごくお似合いだったのに。
それなのに、あっという間に別れてしまった。突然スコールの元から去ってしまった。
イデアの所へと行ってしまった。魔力をコントロールする方法を勉強するの、と笑いながら皆に告げた。
スコールも、止めようとしなかった。
二人は運命の恋人同士だと思っていた自分は、唖然とその成り行きを見守っていた。

「・・・なあ、どうしてあの二人、別れたんだろう?」
そう問い掛けると、キスティスがフォークでケーキを突つきながら、溜息をついた。
「何かね・・・寂しかったんですって。」

『私達二人とも、寂しがりや過ぎるの。寂しくて、相手に求めてばっかりなの。だけどお互い
寂し過ぎて、何も与えてあげれないの。二人でいても、寂しくて堪らないの。そんなの、駄目だよね。』

「・・・何だそりゃ。」
意味が全然分からない、と言うと、キスティスとセルフィは顔を見合わせて苦笑した。
何となく子供扱いされてるようで、ムッとした。ムキになって言い返した。
「何でだよ。寂しいのに別れたりしたら、もっと寂しいじゃんか。第一、何で二人でいて寂しいんだよ。」
キスティスがクスリと笑う。
「ゼルはそういうの、無さそうね。」
「おお。俺は相手が寂しいなら、ずっと一緒にいてやる。もう寂しくない、って言ってくれるまで、
何でもしてやる。つか大体、俺、うるせぇから、寂しいなんて言わないだろ相手も。」
そう言うと、セルフィがあはは、と明るい笑い声を立てた。
「ゼルと付き合う人は、幸せやね〜。」
その割にモテねぇけどな、と言うと、二人に一層大きな声で笑われた。笑いが収まると、キスティスが
静かな声で自分に言った。
「・・・それぐらい、寂しがりやって事なのよ。そういう人も、いるのよ。」
優しい、諭すような声だった。


皆、スコールは寂しいんだと言う。
じゃあきっと、そうなんだろう。スコールは寂しいんだろう。寂しがりやなんだろう。
何だか、可哀想な気がする。そんなに寂しがりやなのに、リノアと別れてしまったのか。
一人ぼっちになってしまったのか。

ああ、そうか。
スコールは、寂しかったのかもしれない。
初めて、そう思った。

『ゼル、俺の事が好きなんじゃないか?』

繰り返された質問。俺はずっと、あれを嫌がらせだと思っていた。俺を馬鹿にして言ってるのだと
思ってた。
けど、あの言葉には、もうちょっと意味があったのかもしれない。

スコールは、誰かに好きだと言って貰いたかったのかもしれない。
一人ぼっちの寂しさを、誰かに紛らわして欲しかったのかもしれない。
だからあんなに、何度も繰り返し聞いてきたのかもしれない。

考えてみれば、いくら誘われたからって、男同士でセックスしようなんて普通じゃない。
キスティスの言葉が耳に蘇る。
『・・・それぐらい、寂しがりやって事なのよ。そういう人も、いるのよ。』
そんなに、寂しかったのか。
酔った俺に誘われて、その手を取ってしまうほど、スコールは寂しかったのか。
その手を離せないくらい、スコールは寂しいのか。

「スコール!大丈夫!?」
突然の大声に我に返った。慌てて周囲を見回すと、スコールが全身ぐったりと椅子に凭れ掛っていた。
酒に染まる薄紅色の瞼が、瞳を完全に覆っている。
「あーあ、ついに潰れちゃった。」
アーヴィンが舌打ちをして肩を竦めた。
「強いのばっかり、ひっきりなしに呑んでたからな〜。いくらスコールでも、潰れちゃうって。」
「主役がこれじゃね〜。しょうがないなぁ、今日は、これでお開きだね〜。」
セルフィがスコールの髪を軽く引っ張って笑う。そして、急にくるりと振り返ってゼルに指を
突きつけた。
「よ〜し!今度はゼルが、スコールを部屋まで送っていくことに決定〜!」
「俺!?」
驚いて声をあげると、アーヴィンもうんうんと頷いた。
「そうだよ〜。この間の君の誕生日、酔いつぶれた君を、スコールが連れ帰ってくれたんだからね〜。
今度は君の番だよ〜。」
「お、おい、ちょっと。俺、困るよ、嫌だよそんなの!」
「そんな恩知らずな事言っちゃ駄目〜。許しませ〜ん。恩返し恩返し!」
「そう、恩返し恩返し〜。」
すっかり押し付ける気満々の二人に、ゼルは慌てた。キスティスに助けを求める視線を必死に送った。
お前なら、今俺達が険悪だって知ってるよな。そんなこと、俺がやりたくないって分かってくれるよな。
キスティスがゆっくりと頷く。ゼルはホッと溜息をついた。

「・・・・そうね、それがいいわ。じゃ、ゼル、後はよろしくね。」

そう言い残して、セルフィ達とさっさと立ち去っていく。
馬鹿。鈍感。冷血女。
腹の中で喚きながら、ゼルは一人立ち尽くした。


タクシーを降りてからは大変だった。
「ほら、ちゃんと立てよ。俺の方に体重かけて・・うわ!違う、そっちじゃない!」
ただでさえ体格が違う上に、酔っ払いの重心はふらふらと頼りない事この上ない。
僅かに意識がある感じなのが、更にやりにくい。何とか自分で歩こうと、とんでもない方向に身体を
倒すのだ。その度、肩を貸している自分まで一緒に転んでしまいそうになる。
もうこいつ、一発殴って完全に気絶させてやろうか、と思いかけた時、やっとスコールの部屋に辿り着いた。

部屋に入って、スコールの身体をベッドに放り投げた。乱暴に脚を持ち上げて靴を脱がし、そのまま
帰ろうとした。すると、背後から「みず」と掠れた声が追いかけてきた。
しょうがねぇなあ。
首をふって、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出す。
「ほら、水。」
ベッドにのぼって、後ろから抱っこするようにスコールの身体を起こしてやる。ボトルを持つ手が
ふらついているので、その手を取って口元まで導いてやった。
スコールが瞼を閉じたまま、ゴクゴクと水を喉に流し込む。酒に酔った薄い唇から、飲みきれなかった
水が零れ落ちる。それが白い喉を濡らしながら伝っていくのは、ひどく扇情的な光景だった。思わず
ドキリとした。今更ながら、何て綺麗な男だろうと感嘆した。

こんなに綺麗なのに、一人ぼっちなのか。寂しいのか。

ふいに胸が痛くなった。
そんなに寂しいのに、一人ぼっちで悩んでるのか。
何も打ち明けずに、いつも緊張に冷えた指先をして。
そうやって耐えてるのか。
スコールの身体を支える腕に、ぎゅっと力を入れた。
ごめんな。お前を助けてやれなくて。お前に抱かれてよがってるような男になっちまって。
お前の支えになれなくて、ごめんな。

「・・・ル?」
スコールがうっすらと瞼を開いた。トロリと霞む蒼い瞳が、不思議そうにゼルの顔を見上げる。
「なんで・・・いるんだ・・・?ここ、どこだ・・・?」
「お前の部屋。お前が店で酔い潰れちまったから、連れ帰った。」
「・・おまえが?」
「・・・うん。」
皆に無理矢理押し付けられて、とか言い訳しようかと思ったが、酔っ払い相手に説明したって無駄だと
思い直した。それで、ただ頷くだけに留めておいた。
「へぇ」
可笑しそうにスコールが唇を綻ばせる。
「だいっきらいな奴に、そんなことするのか。やさしいな、おまえ。」
この前の事を根に持ってるな、こいつ。ゼルがムッと唇を尖らせる。
お前だって相当意地悪くからかったくせに。もしかしたら、今でも友達だと思ってくれてるんじゃ
ないかと僅かな期待をかけて質問した俺に、最後まで真面目に答えようとしなかったくせに。

突然、スコールが体を反転させた。ベッドの背に凭れるゼルに、腹這いになって乗っかる。
そのまま両手を伸ばして、ゼルの襟首をぐいと掴んだ。
「きらいなおとこに、そんなこと、しないよな。」
呂律の回らぬ舌で喋りながら、酒に染まる顔を寄せる。

「おまえ、ほんとうは、おれのこと、好きなんだろう?」

一瞬、しん、と部屋が静まり返った。と、いきなりスコールが大声で笑い出した。
ゼルの胸に顔をドサリと埋めて、可笑しくて堪らないように笑う。笑いすぎて、喉が痙攣まで
起こしてる。ヒクヒクと苦しげに息を切らせながら、それでもまだ笑い続けようとする。

可哀想に。

突然湧き上がった感情に、胸が一杯になった。
お前、そんなにリノアと別れたのが寂しいのか。取り残されたのが辛いのか。
どうせこの酔いっぷりなら、明日になれば忘れてるだろう。忘れてしまうなら、からかわれずに済む。
馬鹿にされずに済む。それなら、今だけでも言ってやろう。リノアの替わりに、言ってやろう。
引き攣った笑いに震える髪に、宥めるように手を置いた。そっと唇を近づけて、囁いた。


「そうだよ、スコール。俺、お前が好きだよ。」


スコールの笑い声が急に止んだ。そのままピクリとも動かなくなった。
・・・もしかして、寝ちゃったのか?
ゼルが思わず苦笑する。何だよ、せっかく言ったのに。これだから、酔っ払いって奴は・・・

その時、大きな手が突然ゼルの腕を強く掴んだ。
ゼルが驚いて身体を強張らせる。と、腕を掴んだまま、スコールがゆっくりと顔を上げた。
信じられないものを見るように、蒼い瞳が大きく開いている。驚きで声も出ない、という顔だった。
あまりの反応の激しさに、むしろゼルの方が狼狽した。
何だ?どうしたんだ?何でそんなに驚いてるんだ?やっぱ言わない方が良かったのか?
「あ、あの・・・す、スコール・・・?」
スコールの唇が、僅かに開く。震える喉から、掠れた声が流れ出す。

「・・・俺も」

そう聞こえた瞬間、ゼルは全身スコールの腕に抱きしめられていた。

「おれも、俺も、お前が好きだ。好きだ・・お前が、好きだ・・・ゼル、好きだ・・」
制御の効かない機械のように、スコールが何度も好きだと繰り返す。
「お前、全然言ってくれなくて。俺のこと、全然好きになってくれなくて、」
声を震わせながら、ゼルの首筋に唇を押し付ける。
「ずっと、許してくれなくて。お前が好きだって言ってくれなきゃ、俺は、言えないのに、なのに、
ずっと、言ってくれなくて。ちっとも、許してくれなくて、」
キスを繰り返しながら、唇が上へと這い登ってくる。
「ゼル。好きだ。お前が、好きだ・・・お前が・・」
うわ言のように語られる言葉が、ふいに途切れた。そして、もどかしげに熱い唇がゼルの唇に
押し付られる。激情に昂ぶる舌が、ゼルの舌に激しく絡みつこうとする。

一体、これは何だ。何が起こってるんだ。
パニックに陥りながら、ゼルが必死で考える。
正気じゃない。それは分かる。繰り返し掻き口説く言葉には、酔いがはっきりと現れている。
だけど、内容が。
最初、リノアと間違えられてるのかと思った。だけど、名前を呼んだ。俺の名前を。
どうしてこんなに、好きって言葉に熱が篭ってるんだ。許してくれないって、何だ。
俺が好きだって言わなきゃ、好きって言えないって、何だ。

突然、思考がもぎ取られた。
「・・!スコール、止めろ・・!!」
熱に浮かされたように、スコールがゼルのシャツの中に手を入れて、身体をまさぐっている。
「好きだ。」
「馬鹿、止めろ!」
今、必死で考えを纏めようとしてるのに。余計な事してる場合じゃねえのに。
ぐっと手のひらに力を入れて、スコールの身体を押し返そうとした。
「スコール、よせ!手ぇどけろ!」
「好きだ。」
抵抗する言葉が全く耳に入らないように、スコールが難なくゼルの上着を剥ぎ取っていく。酒の力を
借りた腕は、普段より一層強引で力強い。益々焦った。
「聞けってば!!スコール!酔い覚ませ!!」
衣服の下から現れた滑らかな素肌に、恍惚の溜息を洩らしながらスコールがぎゅっと抱きつく。
酔った腕は、全く力の加減が出来ないらしく、ぎりぎりと締め上げる腕に息が止まりそうになった。
「・・・っや・・めろ、くるし・・・」
殆ど窒息しながら訴えると、やっと腕の力が緩んだ。解放された瞬間、激しく咳き込んだ。
その息苦しさに霞む視界に、スコールが自分の衣類を投げ捨てている姿が入ってきた。まずい、と
思った途端、がっちりと力強く抱きしめられた。そして次の瞬間、胸の突起が暖かい舌に含まれた。

ねっとりと舐めあげる舌に、ビクリと身体が震えた。濃厚な愛撫に、たちまち乳首がツンと立ってくる。
それをまたスコールが嬉しげに舐める。思わず呻き声が漏れた。
「・・・く・・っ」
「ゼル、好きだ・・・」
乳首を舐めながら舌を蠢かせられ、頭の芯がぼうっと霞んだ。やばい。このままじゃ流される。
必死でスコールの髪を掴んで訴えた。
「やめろ・・!おれ、いま、考え・・・っあ!馬鹿!」
何時の間にかチャックの下ろされたジーンズを、スコールが下着ごと一気に下ろす。すかさず長い指で、
立ち上がり始めた根元を袋ごと転がすように揉む。
突然の刺激に思わず全身から力が抜けた。たちまち下半身に熱が集中してくる。
「あ・・っだめだ・・っ・・や・・」
「愛してる。」
逃げようとする腰を、酒に浮かれた腕が力ずくで引き寄せる。なぞるように竿を撫ぜ上げられ、
敏感な先端を押しつぶすように擦られる。
「・・・ん・・っあ・・!や、やめ・・・っ!」
止めろ。考えさせてくれ。俺に、考えさせてくれ。
そう叫ぼうと思った瞬間、激しいキスで唇を塞がれた。
貪り食われるように舌を絡めとられ、息が出来なくなる。下半身から沸きあがる熱を吐き出す先を
失って、体中が溶けるように熱くなった。
「・・・っ・・ふ・・・」
濃厚に舌を絡ませ合うキスに、唾液が唇からトロリと垂れ落ちる。
「・・・好きだ」
僅かに唇が離れた途端、スコールが掠れた声で囁いた。蕩けるような響きに、背筋にゾクリと快感が
走り抜けた。ビクビクと汁を零す先端を、スコールが淫猥に撫ぜる。
「・・・っやめ・・おれ・・かんがえ・・・あ・・やあ・・っ!」
拒否する言葉に、甘く震える吐息が混じる。これじゃ拒否じゃねぇよ。なにやってんだよ俺。
情けないくらい感じやすい自分の身体に、泣きそうになった。
今、すごく大事な事を考えてるのに。大事な事だと思うのに。
それなのに、スコールがこんな事するから。
スコールが、好きだなんて囁くから。

「・・・・あ・・っも・・う・・」
嬲られつづけた先端が、痛いくらい充血している。先走りの汁に濡れる竿を、スコールの指が上下
するたび、頭の中が快感に霞んでいく。
「スコ・・ル、おれ・・でちゃ・・・」
スコールが無言で指の動きを早める。声もなく喉を仰け反らせた。息を詰めて喘いでいると、
スコールがまた乳首を舌で転がし始めた。
「あ!・・やっ・・あ・・!!」
堪え切れずに腰が震える。ふっと浮遊する感覚と共に、白い液体が先端から飛び散った。

その瞬間、スコールが濡れた指をゼルの中にぐいと押し込んだ。
「―――――あ!!!」
出した直後で、全身性感帯のように感じやすくなっている身体に衝撃が走る。
「や!だめだ・・・!!あ、あっ・・・!!」
狂ったように身体を仰け反らせた。
「スコ・・・ル!だめ・・・!!ひっ・・あ!!」
二本の指が、知り尽くした一点を揉むように擦る。激しすぎる快感に眼が眩んだ。涙が勝手に流れ出す。
「・・あ・やだ・・っスコール・・・っ!」
泣きながらスコールの肩に抱きついた。回らぬ舌でスコールの名前を呼んだ。
その呼び声に、スコールが幸せそうに眼を閉じる。うっとりと、酩酊しながら繰り返す。
「好きだ・・お前が、好きで・・好きで・・」
緩やかに、ずるりと指を引き抜く。そして、熱く立ち上がった自分の竿を、ゼルの中に一気に
押し込んだ。

慣れされた身体が、呑み込んだモノが動くたび、敏感に反応して熱を帯びていく。
それでも、いったばかりの身体は、すぐには限界まで高まってくれなかった。
ただ、じりじりと快感だけが身体を巡る。拷問のような快楽に、どうしていいか分からなくなる。
濡れる竿の上を、スコールの身体がゆっくりと上下する。その度に耐え難い快感が走った。
もっと激しく動いて欲しかった。もっと激しくあの一点を掻き回して、そして自分をいかせて
欲しかった。
「スコ・・ル・・・も、と・・うごい・・て、おねが・・」
「・・っ、好きだ」
苦しげに眉を顰めながら、スコールが熱っぽく囁く。泣きたくなった。
こんな恥ずかしい事頼んでんのに、全然聞いてねえよ。馬鹿。酔っ払い。
その時ふいに、スコールがぐっと腰を入れた。思わず全身が跳ねた。
ビクビクと跳ねる身体に激しく腰を打ちつけながら、スコールが好きだ、愛してる、と繰り返し
掻き口説く。
もう殆ど耳に入らなかった。夢中でスコールの身体にしがみついた。
「・・あ・・ぁ・・・ああっ!!」
「愛してる。」
そう囁かれると同時に、精液が飛び散った。同時にスコールが一際大きな呻き声をあげて、自分の
欲望を放つ。やっと訪れた開放に身体中が弛緩していく。
気が遠くなりそうな快感の中で、スコールが浮かされたようにキスを求める。
それを、たたひたすら受け止め続けた。


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