Fallen 4



銀髪の上忍が、見知らぬアパートのドアに忙しない手付きで鍵を差し込む。
俺の左手は未だがっちり掴まれたままだ。
「ちょ・・・!ま、待って下さい!こ、ここ、どっ、何処ですか!!」
カカシの袖口を必死に引いて尋ねた。
「俺の隠れ家。里に三軒あるうちの一つ。」
カカシが一息に答える。鍵を回すと同時に、口の中で術らしきものをぶつぶつと呟く。術を唱え終った瞬間、
ガチャリと重い金属音を立てて錠が外れる気配がした。

カカシが強引に俺を中に引き摺り込む。暗い屋内に目が慣れる前に、ベッドの上に放り投げられた。
「・・・・なっ・・・なにす・・・!!」
慌てて起き上がろうとした。そんな俺を、長い腕が再びシーツの上に押し倒す。
俺の額に触れんばかりに自分の額を近づけ、熱に浮かされたような声で矢継ぎ早に尋ねる。
「一番、安心できるって言ったよね?俺の側が一番、安心なんだよね?俺が一番なんだよね?」
言い終ると同時に、顔を覆う口布と額当てを引き千切るように取り払う。薄く整った唇で、俺の首筋を
噛み付くように吸い上げていく。
「!!ちょ、や、止めて下さい!!カカシさん!!止め・・・!!」
激しく首を振ってカカシの舌から逃れた。途端、大きな手が俺の顎を軽々と押さえ込む。嫌がる俺の言葉が
全く耳に入らないように、カカシが興奮に掠れた声で囁き続ける
「ねぇ・・・すごく可愛かった・・・俺の腕の中で震えてるあんた、すっごく可愛かった・・・・ね、俺に抱かれて、
安心した?俺の腕の中、気持ち良かった?俺じゃなきゃ、駄目だって思った?」
耳元で熱い吐息と共に囁かれる声に、思わず背筋がぶるりと震える。その隙に、長い指が俺の胸元に
するりと滑り込んだ。固く合わされた襟に手を掛け、一気に着物の胸元を剥ぐ。
夜目にも白い女の乳房が、ふるりと震えてカカシの濡れる唇の前に突き出された。

カカシが迷いなく、その柔らかな膨らみに喰らいつく。
舌全体で乳首を舐るように吸いながら、もう一方の乳首を指先で潰すように捏ねる。
強弱を付けて与えられる刺激に、カカシの口の中で乳首がみるみる硬くしこってくるのが判った。
「あ・・・!・・・や・・・やめ・・・・!!」
カカシの銀色の髪を掴み、悲鳴のように訴えた。カカシが、可愛い、と掠れた声で繰り返す。
「可愛い・・・ねぇ・・・すごく可愛い・・・・可愛い・・・」
陶然と呟きながら顔を起こし、濡れる突起を尖った舌先で誘うように嬲る。その淫らな感触に、女の敏感な
身体がビクビクと反応を返す。カカシがまた胸の突起を口中深く舐りだした。

隠微に蠢く舌から逃れようと、必死で身を捩った。
が、逞しく張り詰めた男の腕は、女の抵抗をびくともしない。それどころか、大きな手が次第に下を
まさぐりだしていく。駄目だ、と絶望的な気持ちで思った。
カカシは女の身体に夢中になっている。夢中になるあまり、俺が男だという事を忘れている。
かつて自分が心底疎ましく思っていた、冴えない、無骨な中忍男だという事を忘れている。
眼を覚まさせるには、変化を解くしかない。何とか印を組み、カカシの目の前で元の姿に戻るしかない。
この男に現実を、突きつけるしかない。
「も・・もう止めろ・・・!いい加減にしろ・・・・っ!!」
渾身の力を混めてカカシを押し返した。カカシが一瞬身体を離す。今だ、と必死で指を組み合わせた。
バチリと大きな音を立てて封が弾けていく。白煙が部屋中を白く包んだ。

いきなり増えた体重に、ベッドがミシリと小さく軋んだ。
カカシがゆっくりと身体を起こす。濛々と立ち上る白煙の中、目を細めて俺の姿を確認しようとする。
「も、い、いい加減にして下さい。め、眼が覚めたでしょう。カカシさん、俺ですよ。」
まだ動揺の収まらない心臓に、ぜいぜいと呼吸を乱しながら訴えた。
カカシが呆然としたように、色違いの眼を大きく見開く。チャンスだ、と勢い込んで顔を近づけた。
「ね、俺なんですよ。ここにいるのは、俺なんです。ねえ、判りましたか?」
着物の襟を引き上げながら、ここぞとばかりに重ねて訴えた。銀色の男が眼を見開いたまま、
俺をまじまじと見下す。

突然、カカシが深々と震える溜息をついた。
薄い唇をうっとりと綻ばせ、夢見るような声で囁く。



「イルカせんせい・・・」



陶然と俺の名を呟きながら、カカシがゆっくりと手を伸ばす。
長い指で、なぞるように俺の頬を優しく撫ぜる。
「・・・ほんとに、イルカ先生だ・・・さっきの、ほんとにアンタが言ったんだね・・・」
そのまま肩を引き寄せて、柔らかく唇を押し付けてくる。愛しげに何度も口付けを繰り返しながら、
蕩けるような声で囁く。
「・・・ね、もう一回言って?この姿で、もう一回・・・」
「な、何をですか・・?」
予想外の展開に動揺するあまり、反射的に尋ねた。
「俺の側が、一番安心だって。それ、この姿でもう一遍言って?」
繰り返すキスの合間から、カカシが甘たるい声で強請る。
「え?な、何でですか?」
銀髪の上忍の突然の豹変ぶりに、一層動揺しながら尋ねた。色違いの瞳に、ふいに悲しげな光が浮かぶ。
「なんで、何で、って言うの。・・・あんた、何でそんなケチなの?」
やりきれない、と言った風情でカカシが銀色の睫を伏せる。
「ケチ?俺が?」
思いもかけない表現に、思わず聞き返した。そりゃ、今まで様々な陰口を叩かれてきた。が、これでも
ケチと言われた事だけは無い。むしろ中忍連中の間じゃ、「気前がいいイルカ」で通ってるんだ。
その俺が何でケチだ。聞き捨てならない。
カカシがいかにも辛そうに薄い唇を歪ませる。
「ケチじゃなきゃ、意地が悪すぎだよ。何であんた、俺にそんな冷たくすんの。」
「!?はぁ!?」
なんだそりゃ。ケチよか一層聞き捨てならない。いつ俺がカカシに冷たくした。いつ意地悪した。
むしろ、そりゃお前だろうが。散々俺を馬鹿にしたくせに。何言ってんだこの糞上忍。

憤然とカカシを見上げて睨んだ。
銀髪の上忍が一層辛そうに溜息をつく。
「・・・だって、そうでしょ。あんた、酷過ぎるもの。別れる別れるの一点張りで。俺が何言っても聞いて
くれなくて。上忍の俺なんかいらない、なんて言い張って。」
大きな手が、血の気が引くほど強く握り締められる。
「・・・命令しなきゃ、こっち見てもくれなかったくせに。俺の事なんて、気付いてもくれなかったくせに。
そんな事言われたら、俺はどうすればいいの。それじゃ、今度はどうやってあんたを手に入れればいいの。」
薄い唇が、激しい痛みを堪えるようにぐっと噛み締められる。
「・・・あんたみたいな酷い人間、見た事ないって思ったよ。何で、全部要らないって言うの。
何で中忍のくせに、上忍の俺まで必要無いって言うの。何でそれくらいも、受け取ってくれないの。」
俺の身体をぐいと引き寄せ、震える声で訴える。
「何で、俺なんか要らないんだって、何度も俺に思わせるの。」


カカシが俺の肩に顔を埋める。
途方にくれる子供のような、細く頼りない声で訴える。
「・・・ねぇ、それじゃ続かないでしょ?俺ばっかじゃ、続かないでしょ?あんたも俺を必要だって思って
くれなきゃ、どうしたって続かないよ。あんた俺から、離れてっちゃうよ。」
縋るように俺の耳に唇を寄せ、微かに語尾を震わせて言う。
「・・・もう一遍言ってよ。もう一遍、俺が一番だって言って。助けてって言って。何でもしてあげる。
何でも、やってあげる。だから・・・」
滴るような甘い声が、誘うように耳元で囁く。


「俺のこと、必要だって言って・・・・」







寝言は寝て言えこの写輪眼野郎。

思わず拳がぷるぷると震えた。
何だこの言い草。この手前勝手な理屈。
黙って聞いてりゃ、好き勝手に人を悪者扱いしやがって。何が「俺なんか要らない」だ。哀れっぽい
言い方しやがって。要するに、あれじゃないか。
ヒクヒクと顔を引き攣らせて思った。

自分が先に好きになったのが、気に食わないんじゃないか。


絶対そうだ。
今まで思いを寄せられる一方だった天才忍者。それはそれはいじらしい想いを抱えて、告白してくる女達。
いいよ、と鷹揚に頷く自分。
それが当たり前だったのに、ある日どうしたわけか、格下の地味な中忍男をいいと思ってしまった。
あの男と付き合いたいと、思ってしまった。

しかし、今回は勝手が違った。
相手はどうも自分に特別な感情を持っていないらしい。待っていても、一向自分に惚れる気配も無い。
仕方なく、初めて自分から告白せざるを得なかった。それも、死ぬかもしれない、と死を盾に迫るような
真似をされられた。
つまりはそれが嫌なんじゃないか。この天才上忍様は。

腹の中にムカムカと怒りが湧き上がる。
大体、「必要と言え」って、どういう事だ。どこからそんな発想が出るんだ。
だって、必要だから付き合ったんじゃないのか。
カカシの笑顔がいいと思ったから。
あの笑顔を、欲しいと思ったから。
だから、付き合ったんじゃないか。男同士なのに。上忍の男娼呼ばわりされるのに。
それでも、カカシと付き合いたかったんじゃないか。それは必要とは違うのか。

なのに、今のこの状況は何だ。
何で俺がこんなに責められてるんだ。
カカシに上忍風吹かされまくって。陰口叩かれまくって。心身共に疲れきって。
絶対、こっちの方が被害甚大じゃないか。その俺が何で、「酷すぎる」なんて言われなきゃならないんだ。
ふざけんのもいい加減にしろ。
俺の心中の大激怒も知らず、カカシがぎゅっと一層強く俺を抱きしめる。ふと思った。



けれど。



けれど、カカシは不安だったのだ。


俺を離そうとしない男の広い背中を、じっと眺めた。
けれど、カカシは不安だったのだ。初めて自分から告白した事が。それが殆ど強制に近いやり方だった事が。
俺が一向、踏み込んでこない事が。
「・・・ね、言ってよ・・・」
カカシがまた甘い声で強請る。その声に微かに哀しみが混じっている事に、心臓がズキリと痛んだ。

カカシに信じて欲しいと思っていた。
俺を信じて欲しいと思っていた。
そして、またあの笑顔を見せて欲しいと思ってた。
それは容易な事では無い。人を信じる事は、人を信じて笑い続ける事は、決して容易な事では無い。
何故なら、人は騙す生き物だからだ。容易く裏切る生き物だからだ。中でも、忍はそれが生業だからだ。
疑い、騙し、裏切るのが忍の業だからだ。そして、カカシはその醜い現実を知り抜いているからだ。
その醜さから眼を逸らせば、カカシは生き残ってこれなかったからだ。

それでも。

それでも、俺は笑って欲しかった。
カカシに笑って欲しかった。
あの笑顔は本当に、俺の心を一瞬で捕らえたから。
そうして、カカシに信じて欲しかった。

あなたの笑顔を待つ者が、ここにいると。




けれど、それを伝えなかった。

いつまでも強請り続けるカカシの声に、堪らなくなって眼を伏せた。
俺はそれを、カカシに伝えなかった。
カカシに信じて欲しいと思いながら、俺はカカシを信じなかった。俺を好きだと言ったカカシを信じて、
踏み込む事をしなかった。
カカシに上忍でなければ駄目だと思わせた。上忍の自分で無ければ、駄目だと思わせ続けた。
俺はそれを、訂正する事すらしなかった。


顔を上げ、大きく息を吸い込んだ。
この男に、きちんと言わなければ。ちゃんと、あなた自身が必要だと答えなければ。
そう決意して、カカシの肩を掴んでぐいと身体を引き離した。決然とした動作に、銀色の男が驚いたように
色違いの瞳を瞬かせる。
「・・・先生?」
不安げな響きに、早く言わねばと改めて強く思った。よし、言うぞ。
「カカシさん、いいですか。俺には、あなたが・・・」
そう言いかけた瞬間、声が出なくなった。


愕然とした。
まるで強烈な印で封じられたように、喉から全く声が出てこない。
出るのはただ、ひゅうひゅうと苦しげな空気だけだ。
突然言葉を切らせる俺を、カカシがきょとんと眺める。益々焦った。まずい。何やってるんだ俺。早く
続きを言わなければ。が、そう思えば思うほど、喉が強く詰まっていく。声どころか、次第に呼吸まで
おかしくなってくる。
その時、カカシの呆気に取られたような声が頭上から降ってきた。


「・・・どしたの先生。あんた顔、真っ赤だよ?」


言われた途端、ばったりと倒れそうになった。
頬が燃えるように熱い。いまにも耳からしゅうしゅうと煙が出てきそうだ。
限界まで赤くなった顔を、片手で慌てて覆い隠した。
そう。そうなのだ。つまり、自他共に認める無骨男の俺は、こんな台詞一度も言った事が無かったのだ。
『俺にはあなたが必要なんです。』
『あなたの笑顔は、俺の一番の宝物です。』
んなキザっちい、こっぱずかしい言葉、今までの人生で一度だって言った事が無かったのだ。

早く言え馬鹿、と罵る言葉と、言えるか阿呆、と怒鳴り返す言葉が胸の中で大格闘する。
言えるか。言えるのか俺。
この綺麗な顔した男に向かって。こんな地味な男が。まるで優男みたいに気取りまくって。
カカシさん、あなたの笑顔は・・・うわ駄目だ。馬鹿、駄目なんて言ってる場合か。いやでも駄目だ。
駄目だ駄目だ駄目だ。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。

心臓が無茶苦茶な速さで打ち出す。
何だこの速度。ネズミか俺は。うう。しっかりしろ俺。
カカシは待ってるんだぞ。お前だって、カカシにちゃんと伝えたいだろ。
必死で自分を奮い立たせ、ガバリと顔を起こした。その途端、カカシの嘘みたいに綺麗な顔がバンと
目の前に広がる。意気地無くまたベッドに両手をついた。駄目だ。鼻血が出そうだ。くそう。そんな面白い
真似してたまるか。決めるトコだろココは。
ほんとしっかりしろよ俺。何やってんだ一体。

一人真っ赤になって奮闘する俺を、カカシが呆然と見守る。
当たり前だ。俺だって目の前でいきなり、こんな瀕死のタコみたいにもがかれたら呆然とする。
自分の不甲斐なさに涙が出そうになった。畜生。もう、どうしたらいいんだ。何で俺はこうなんだ。
と、カカシが俺の肩をちょいちょいと突付いた。
弾かれるように顔を上げた。銀色の男が、ねぇ、と嬉しげに首を傾げて俺を覗き込む。

「もしかして、照れてんの?」

「・・・・・っ」
思わず口元を手で覆った。カカシがあはははは、と声を立てて笑いだす。いや、笑うなんてもんじゃない。
大爆笑だ。腹を抱えて笑ってる。
「・・・・・・・っ、おれ・・は・・・っ」
その馬鹿笑いに、ようやく喉の緊張が解れ始めた。真っ赤になったまま、何とか言葉を捻り出そうした。
そんな俺に、カカシがはしゃぎまくって顔を近づける。
「あーそう!先生、照れてるんだ!あははははは!かっわいいねぇ!言えないんだ!それっくらいも!」
いくつだアンタ、とカカシがベッドにひっくり返ってまた大笑いする。
「・・・・・なぐ・・・っ」
殴るぞこの野郎、と言いたかったのだが、まだ喉が本調子じゃない。まともな声が出てこない。
カカシがヒイヒイ笑いながら、ゆっくりと身体を起こす。
「・・・・ねぇ、イルカ先生。」
さっきよりも一層うっとりと、幸せそうに頬を染めてカカシが尋ねる。


「先生、俺の事が好きなの・・・?」



ようやく収まりかけていた顔の赤みが、また一気に戻ってきた。
口元を覆ったまま、うんうんと無言で頷いた。カカシじゃないが、いい年して何だこの有様は。
どこの純情小学生だ俺は。
カカシがゆっくり俺の頬に手を伸ばす。
「・・・俺、それだけは無いと思ってたよ。あんたが、俺に惚れるなんて。あんたも俺を、好きになるなんて。
俺はずっと、あんた追いかけるだけだと思ってた・・・」
夢みたい、と呟きながら、カカシが赤く上気する俺の唇に自分の唇を柔らかく押し付ける。
「・・・好き。好きだよ、イルカ先生。・・・あんたに触る奴等、皆纏めて消しちゃいたいくらい。」
甘い口調と裏腹な物騒な台詞に、ぎょっと顔を上げた。カカシがにっこりと笑う。
「怖いデショ?・・・だから、俺を見張っててよ。そういう酷い真似しないように、俺を止めて。」
長い腕が絡めとるように俺を抱きしめる。ふと何かに気付いたように、ひょいと長い首を傾げる。
「・・・ま、でもアンタには難しいかもね。あんた、中忍だもの。ちょっとやそっとじゃ、無理だよね。」
挑発的に言い切ったかと思うと、またにっこりと眼を細めて笑う。
「・・・・だからね、先生。」
凄腕の天才上忍が、薔薇色の唇をうっとりと綻ばせて囁く。
「先生の全部で、俺を止めて。イルカ先生の全部で、俺の事ずっと見張ってて・・・」


・・・駄目だ。勝てない。
がっくりと肩を落として思った。
なんかもう、隅々まで完敗した気分だ。敗者気分満喫だ。
何でこんな恥ずかしい台詞、堂々と言えるんだ。むしろ、聞いてるこっちが恥ずかしさで憤死しそうだ。
しかも、これが浮いて無いってどういう事だ。場数の違いだけじゃないだろコレ。天性だな天性。
殆ど呆れた気持ちで思った。
こんなとこまで才能つけてやるなんて、ちょっとえこ贔屓過ぎないか神様。

そんな事を考えてるうちに、カカシが本格的に俺にキスしだした。巧みに絡みついてくる舌に、たちまち
呼吸が上がっていく。
「・・・・ふ・・・」
小さく漏れた吐息に、カカシの口付けが一層深くなっていく。長い指が、俺の股を割って下の茂みを探り
始める。
「・・・・・ぁ・・・」
やんわりと揉まれる袋に、吐き出す息の温度が急激に上がる。快感に甘く解けそうになる舌を、カカシが
嬲るようにくちゃりと軽く噛んだ。
「・・・・・んっ・・・・」
思わず鼻がかったような声が漏れた。また顔を赤らめる俺に、カカシがふふ、と嬉しそうに笑う。
「せんせい、大好きだもんね。ここと・・・・」
言いながら長い指を思わせぶりに口で舐る。たっぷりと湿らせた指で、くい、と俺の乳首を揉むように摘む。
「ここ」
「・・・・・・っ」
竿がビクビクと反応する。カカシがその敏感な先端を、笑いながら指の腹で軽く擦る。背中が微弱な電流
でも流れたようにビクリと反った。
カカシが陶然と俺の耳朶を舐めあげる。
「・・・ずっと、こうしたかった・・・どうやったらもう一度、こうやってあんたに触れるのか、ずっと考えてた・・・」
首筋に甘く舌を這わせながら、掻き口説くように囁く。同時に、白く器用な指が、先端の切れ目を押し
広げるように突付く。あぁ、と女のように蕩けた声が喉から勝手に漏れた。
「・・・・あんたの匂い、大好き。あんたのここも、大好き。」
カカシが熱い溜息を吐きながら、ぬるりと指を俺の中に差し入れる。思わずひくりと震える喉に、
銀色の男が愛しげに目を細める。
「ここ、気持ちいいでしょ?あんたと俺で、見つけたんだもんね。あんたもここが、大好きだよね?」
そう尋ねながら、二本の指でぐちゅぐちゅと俺の中を掻き回わしていく。
「ここ、俺の場所だよね?他の奴になんか、触らせないよね?」
蠢く指が、集中的にある一点を嬲る。たちまち全身に回っていく強い快感に、あ、あ、と身を震わせて
喘いだ。銀色の男が口先ばかりは優しげに、ね、ともう一度尋ねる。夢中で頷いた。
「良かった。」
カカシが安心したように頬にチュッとキスをする。
「じゃあ今日は、いっぱい楽しめるね。先生のここ、俺でいっぱいにしてあげる。」






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