情勢と課題について
1.群馬県平和運動センターが、自主財政を確立し、自前の歩みを開始し、労戦再編の余波を受けて、組織・財政上の困難に直面した時期から、すでに数年が経ちました。この間、群馬ユニオンの解散に引き続く主要単産の脱退、地区連帯ユニオン(旧地区労)の解散が相次ぎ、最近における高崎地区連帯ユニオンの解散までに、前橋・北群馬・利根・吾妻・桐生・多野・甘楽と7地区で地区連帯ユニオンが解散、現在残っている旧地区労組織は、碓氷地区労センター・伊勢崎地区労・太田地区労・館林連帯ユニオンの4地区組織にとどまっています。

2.しかしながら、非核平和行進や5・3憲法記念日行動、その他の取組みを通じて、前橋勢多・利根沼田で地区平和運動センターが結成されたのをはじめ、吾妻や多野藤岡で非核平和行進地区実行委員会の取組みを基礎に、地区組織の準備が始まろうとしています。また、高崎では、地区労解散後直ちに新地区労の結成準備が開始され、去る10月11日には、高崎平和フォーラムが簑生結成されています。甘楽富岡地区では、従来からあった地区平和運動実行委員会が引続き存続、一定の活動を担っています。非核平和行進県内行進をはじめ、群馬県平和運動センターの活動は、加入の諸団体や、これら地区組織に支えられてはじめて、この間の運動を展開することができたと言えます。

3.一方、中央では、原水禁・憲法フォーラムや労農市民会議などを軸に発足した「フォーラム平和・人権・環境」(略称・平和フォーラム)が、この間の「有事法制」反対闘争や反原発・プルトニウム利用反対などの諸闘争を通じて、センターとしての役割を果しています。群馬県平和運動センターも、その一員として、また基地間額全国ネットワークの一員として、この間、不充分ではありますが、平和と民主主義、自由と人権をめぐる運動のローカルセンターとしての役割を果たしてきました。

4.内外の情勢を見ると、プッシュ政権の下、米国の単独行動主義への傾斜がますます強まっています。その単独行動主義は、環境問題や人権や核軍縮など、政治・軍事はいうまでもなく、ひろく生活や経済に関わる分野にまで及んでいます。そして、対テロ戦争の名のもとに、国際世論や国連をも無視して、単独で対イラク戦争に突き進む動きやその際の核兵器使用にさえ踏み込もうとしています。こうして、平和・軍縮を基調とした冷戦後の流れが、大きく引き戻され、ふたたび軍事的安全保障に依存する動きが各国で強まりつつあります。これは、地球規模での環境破壊、軍事力の重圧、貧困、飢餓、疾病、差別・人権抑圧などへの取組みを通じて、核と戦争の恐怖の下から脱出することをめざす、「人間の安全保障」 の取組みに冷水を浴びせ、この地球上に、平和と人権、環境をめぐつて、より一層深刻な事態をもたらそうとしています。

5.国内では、中国・朝鮮をはじめとしたアジアの国々・人々との間の歴史の反省もしないまま、新ガイドラインによる戦争(国家)体制づくり、教育基本法改悪と教科書攻撃、「靖国神社特殊法人化」の策動と首相の公式参拝強行などがすすめられ、ついに戦争国家への道を決定づける「有事法制」が登場してきました。「武力攻撃事態法」など有事関連三法案にくわえて、あらたに登場した「国民保護法制」は、国家総動員体制の再現を狙った悪法といわねばなりません。一方、このような動きをにらみながら、両院憲法調査会の論議がすすめられており、早期に「結論」を得て、前文・第九条をはじめとした改憲への布石としようとする策動が強まっています。

6.東京電力による組織的な原発事故隠しと原子力安全保安院の無能・無力ぶりの暴露は、高速増殖炉「もんじゅ」の事故や、JCOの臨界事故など相次ぐ重大事故の発生で高まっていた核燃料サイクルへの国民の不安と不信を決定的なものとしました。事故隠しは、東北・中部・日本原電など、他の電力各社にも波及、政府・電力業界が予定していたプルサーマルの導入は白紙に、六ヶ所の再処理工場も廃止の声が聞かれる事態となっています。しかし、政府・電力業界は、ここまできてもなお、原発推進路線を捨てず、プルサーマル計画の強行、六ヶ所再処理工場の運転をあきらめていません。

7.私たちを巡る内外の状況はこれまでになく厳しいものとなっています。それだけに、組織や財政をめぐる諸困難を克服し、群馬県平和運動センターを一層強化し、当面する諸課題に全力投球する中から、平和・民主主義、自由と人権、環境をめぐる開いを前進させていかねばなりません。


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