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2010年 バックカントリーの記録 厳冬期の遠い山
日時 : 1月17日(日) 4:40〜16:10 (11時間30分)
山域 : 吾妻連峰 前大巓
天候 : 小雪時々日が差す のち 晴れ
スキー : DYNASTAR LEGEND8800 168cm + Voile Switchback
ブーツ : CRISPI CXP LIGHT
移動距離 : 約26km

【動機】
ここ数日気温が低く、軽い良い雪が降っていると思われる。吾妻山域の積雪はいまだ不十分ではあるが、近場で手頃なコースとして、高山下りがある。これに前大巓と蓬莱山を追加設定したコースを計画。新しいビンディング・VoileのSwitchbackも試したいし。

【行動記録】
土湯裏の男沼付近の駐車スペースを目指す。既にワカサギ釣り目当ての車が10台程度停まっていて、その脇に駐車。奥のゲート付近まで進めそうな雰囲気だが、昨年苦い思いをしてるので、今回はここでストップする。急いで出発準備。

4:40 645m
ヘッドランプ点灯。シール登高開始。初めてのツアーモード付きビンディングでの歩きは、前のめりになりそうだが、慣れると快適、歩きやすい。林道を不動湯ゲート方向へと進む。まだラッセルは浅く、踝程度。昨年は満月時期を狙ったため月明かりがあったが、本日は真っ暗で、ヘッドライトの灯りのみが頼り。もっとも、天候は小雪模様で、満月であったとしても月明かりはさほど期待出来ないか。

不動湯ゲートを右に折れ、林道を辿って高山への尾根コース分岐点を目指す。林道はヘアピンが連続しており、これをそのままトレースするのは効率が悪いので、当然所々ショートカットする。が、同時にショートカット位置を誤り、余計な時間と労力を費やしてしまう。

5:50 910m
尾根への分岐点でちょっと休憩。周囲はまだ暗い。予定タイムは、高山山頂9時、前大巓山頂11時半、烏子平戻り14時、高山山頂戻り14時半ぐらい。まあ順調なペースでしょう。ここからは高山へ向け、単調なラッセルが続く。このルートは、夏、冬含め数度訪れており、地形は概ね把握出来ているので、ペースを作りやすい。途中2度程休憩を入れよう。

夜が明けて来ると、青空も見えるようになる。冬型の気圧配置が残り、風はやや強く吹いているものの、天候は回復傾向で気分も上々。登るほどにラッセルは深くなるが、雪は軽く支障は無い。ツアーモード付きビンディングは足上げが容易でラッセルに強く好印象。樹林の隙間から高山の反射板が見えてきた。

8:50 1804m
高山山頂。風が強い。東吾妻は確認出来たが、目指す前大巓方向は雲の中。写真を数枚撮り、烏子平を目指す。先日、吾妻でシール剥がれのトラブルがありグルーを塗り足したが、貼り替えの繰り返しには若干不安がある。ビンディングをスキーモードにして、シールを貼ったまま下ることにする。夏道を忠実にトレースして下るつもりでいたが、道筋が明瞭ではなく、ペンキの目印も見失う。やや迷走気味に下ると、深い雪と藪に邪魔され思った以上に時間を費やしてしまう。

9:25 1610m
烏子平。東吾妻が美しい。冷たい風と低い気温に体は冷え気味。深い雪で進行ペースにも不安があり、気持ちは弱気方向に。スカイラインを横断し、樹林帯で大休止。栄養補給をし、気合いを入れ直す。コンパスを鎌沼方向へ合わせ、行動再開。

迷路のような樹林帯を縫うように進む。昨年よりもラッセルは深く、進行は容易ではない。全体的には登りだが、小沢の横断も多くアップダウンもある。雪を大量に蓄えた木の枝が進路を遮り、時折雪を浴びせかけてくる。ルーファイにも気を遣う。聞こえるのは風の音のみ。ここで消えたら、二度と見つけて貰えない、なんて想像したら寒気がした。

標高1760m程度まで来ると、漸く前大巓が見えてきた。ルートをやや左寄りに取り過ぎたため、鎌沼へのアプローチでは効率の悪いアップダウンを要してしまう。

斜め前方からは冷たい風。三日月型の鎌沼上を縦断し、前大巓への登りにかかる。さすがに疲れが出てきたが、ここを登り切れば楽しい滑りも待っている。やや滑降予定の東斜面側に寄り、雪の状態を確認する。

11:30 1911m
前大巓山頂。雲行きが怪しく、長居はしたくない。写真を数枚撮り、シールを剥がして滑降準備。替えたばかりの新しいビンディングはスプリングが強く、その場で足を前後に入れ替える慣らし運転を実施。いつものフィールドぶっつけ本番だが何とかしよう。

東斜面にドロップ。短い斜面だが快適パウダーで満足。酸ヶ平へ向けスキーを走らせる。避難小屋への分岐点の岩陰を利用しシールを貼り、蓬莱山東斜面へのエントリー地点を目指す。

12:15 1785m
滑るのは昨年同様、やや南寄りの最大傾斜地点。前大巓よりも斜度があり、深そうな雪。シールを剥がして滑降準備。吾妻小富士と浄土平方向の写真を撮りたいが、ガスは切れない。時間も気になるので、滑降開始。

思ったより深い雪。パウダー滑降に心躍るが、快適斜面は短く刹那的。浄土平を目指して下降する。右手の沢を利用しよう。平坦部でやや脱出に苦しむが・・・。

12:40 1580m
スカイライン傍に到着。雪に埋まる浄土平レストハウスが見える。本日は一切経山の噴煙の上がりは控え目な感じ。シールを貼ってから大休止。栄養補給の後は烏子平までのラッセルが待っているが、時間的には十分余裕があり焦りは無い。

13:00 
烏子平に向けシール歩行開始。スカイラインを忠実に辿るコース。予想以上に深い脛ラッセルに、疲労も合わさり進行ペースは遅め。携帯プレーヤで音楽聴きつつゆっくり進む。兎平駐車場付近にモービルらしき跡あり。いつのもので、どこからアクセスしているのかは不明。

13:45 1610m
烏子平で往路のトレースに合流。ここまで来れば着いたも同然。ちと気が早い。最後の登り返しも待っている。ちょっと一服しよう。余ったパンを一齧り。晴れた空が気持ちいい。

高山への登り返しは、往路トレースを利用すればラクチン。余力もあり、太腿筋もまだ大丈夫。

14:40 1804m
高山山頂。福島市街地方向も見える。箕輪山頂が雲の中。天候は確実に回復に向かっているが。風を避けられる場所に移動して滑降の準備。最後の高山下りが待っている。

14:55
滑降開始。冬の高山は今回が3度目だが、雪質は過去最高。終始アルペンターンだが、標高1500m程度までパウダー斜面を快適に下降。

この先は基本的に往路上をトレースするが、下部の林道まで雪質は良く、快速、快適にスラローム滑降。満足。

林道を下りきると、若干の登りも入るので、シールを貼ってラクしよう。。不動湯ゲート分岐を左に折れると、数分の歩きで駐車地点へ。

16:10
出発地点に到着。本日も無事帰れて良かった。

※ VoileのSwitchbackは、概ね好印象でした。使用感とメリット、デメリットについては、HP上の別枠で後日詳細に報告したいと思います。
          
高山山頂直下から反射板
  
烏子平から東吾妻山
 
前大巓が見えてきた
前大巓山頂のミニモンスター 奥に中吾妻
前大巓東斜面を滑降
蓬莱山東斜面エントリー地点から
 
 蓬莱山東斜面を滑降
 
 浄土平から蓬莱山と一切経山
 
スカイラインを辿り高山を目指す 
 
 高山山頂から箕輪山方向
 
GPSログデータ